農作業日誌をつけ始めたものの、何を書けばいいのか分からないまま数週間で止まってしまった、という話はよく聞きます。ノートに書くか、エクセルにするか、アプリを入れるかでも迷うところです。
この記事では、農作業日誌に書くべき項目と記入例、続けるためのコツ、ノート・エクセル・アプリの選び方を順番に説明します。無料で使えるテンプレートとアプリも紹介するので、今日から始めたい方は参考にしてください。
農作業日誌とは
農作業日誌は、その日に行った作業を圃場・作物ごとに記録するものです。「農業日誌」「営農日誌」「作業日報」「栽培記録」など呼び方はいろいろありますが、中身はほぼ同じと考えてかまいません。
家庭菜園の日記と違うのは、あとで他人に見せる・提出する可能性がある点です。農薬や肥料の記録はJAや取引先から提出を求められることがあり、従業員や家族と作業を分担するなら共有の記録にもなります。そのため、自分だけが読めるメモではなく、決まった項目を毎回同じ形で書いておくことが大切です。
農作業日誌をつける4つの理由
1. 去年の自分に聞けるようになる
「去年は何日に定植したか」「元肥は何袋入れたか」「あの病気が出たのはいつだったか」。こうした疑問に答えてくれるのは、自分の記録だけです。天候や市況のせいにしていた不作の原因が、日誌を見返すと作業の遅れだった、と分かることもあります。
2. 農薬・肥料の記録は提出を求められる
農薬については、「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令」第9条で、使用した年月日・場所・農作物・農薬の名称・使用量または希釈倍数を帳簿に記載するよう努めることとされています。JAの共販や量販店との取引では、こうした記録を栽培履歴として出荷前に提出するのが一般的です。提出の実務は栽培履歴(生産履歴)の書き方と提出方法で解説しています。
また、農林水産省は補助事業の要件として「みどりチェック」を導入しており、農業経営体向けのチェックシートには「肥料の使用状況等の記録・保存に努める」「農薬の使用状況等の記録・保存」という項目があります。日々の日誌がそのまま、こうしたチェックへの裏付けになります。
3. 作業時間が分かると、品目ごとの手間が見える
作業ごとに誰が何時間かかったかを書いておくと、品目別・圃場別の労働時間が集計できます。「売上は多いが手間に見合っていない品目」を見つける手がかりになります。時間の記録については農作業の時間を記録・見える化する方法も参考にしてください。
4. 人に仕事を任せられるようになる
何をいつやったかが残っていれば、パートや後継者に作業を引き継ぐときの手順書代わりになります。「言わなくても分かる」状態から抜け出すための第一歩です。
農作業日誌に書く項目
毎回書く基本の7項目
- 日付(必要なら時刻)
- 天気・気温(雨量や風の強さもあると便利)
- 圃場名(ハウスは棟番号まで)
- 作物・品種・作型
- 作業内容(耕うん、播種、定植、施肥、防除、かん水、収穫など)
- 作業者と作業時間
- 使った資材と量(肥料・農薬・種苗・被覆資材など)
余裕があれば書きたい項目
- 生育の様子(草丈、葉色、開花、着果など)
- 病害虫や雑草の発生状況
- 収穫量・出荷量
- 気づいたこと、次にやること
- 写真
農薬を使った日は、上の項目に加えて希釈倍数・散布液量・今作での使用回数も書いておきます。詳しい書き方は防除日誌(農薬使用記録簿)の書き方をご覧ください。
記入例
露地ほうれんそうとキャベツを作っている場合の、ある1日の記入例です。
- 10月6日(晴れ、最高22℃)/北の畑1(30a)/ほうれんそう〇〇(秋まき)/播種(シーダー)/本人・妻 各3時間/種子2dL
- 10月6日/南の畑(20a)/キャベツ〇〇(秋冬どり)/追肥・中耕/本人 2時間/NK化成 20kg(10a当たり10kg)
- 10月6日/南の畑/キャベツ/見回り/本人 0.5時間/外葉にコナガの食害を少し確認。来週もう一度見て、増えていたら防除
1行に1作業を書くと、あとで圃場別・作業別に並べ替えたり集計したりしやすくなります。
続けるための書き方のコツ
その日のうちに書く
作業が終わったら、軽トラに戻ったタイミングや昼休みに書くと決めておきます。翌日以降にまとめて書くと、数字があいまいになります。
圃場名と作業名を固定する
同じ畑を「裏の畑」と書いたり「3番」と書いたりすると、あとで検索や集計ができません。圃場の一覧と作業名の一覧を最初に作り、毎回それを使います。
「いつもどおり」と書かない
「いつもの肥料をいつもどおり」は、1年後の自分には伝わりません。資材はラベルの名前で、量は数字と単位で書きます。
完璧を目指さない
毎日すべての項目を埋めようとすると続きません。最低限、農薬・肥料を使った日と、播種・定植・収穫の日だけは必ず残す、と決めておくと、提出にも振り返りにも困りません。
月に一度は見返す
月末に1か月分を見返し、書き忘れを埋めたり、来月の予定を書いたりする時間をとると、記録が「使うもの」になって続けやすくなります。
ノート・エクセル・アプリの比較
| 方法 | 費用 | 書きやすさ | 探しやすさ・集計 | 提出・共有 |
|---|---|---|---|---|
| ノート(手書き) | ほぼ0円 | 圃場ですぐ書ける | 探すのに時間がかかる・集計は手作業 | コピーや転記が必要 |
| エクセル | 0円(パソコンが必要) | 圃場では書きにくい | 並べ替え・集計ができる | ファイルで渡せる |
| アプリ | 無料〜有料 | スマホで圃場から書ける | 検索・集計が自動 | 出力機能があれば早い |
ノート(手書き)
道具を選ばず、電波がない場所でも書けるのが強みです。3年・5年日記のように同じ日付の記録を並べて見られる形式も、季節の比較には便利です。ただ、農薬の回数を数えたり、品目別の労働時間を出したりするには向きません。
エクセル
夜にパソコンでまとめて入力するスタイルの方に向いています。フィルタで圃場や作物ごとに絞り込めるので、ノートより振り返りが楽です。最初から様式を作るのが手間なら、無料テンプレートを使うと早く始められます。
無料テンプレート:農作業日誌
日付・天気・圃場・作物・作業内容・作業者・作業時間に、農薬や肥料など資材の欄をつけた様式です。Excel(入力用)と手書き用PDFがあります。
アプリ
圃場にいるままスマホで記録でき、あとからの検索や集計も自動です。紙やエクセルで「書くこと」には慣れたけれど「見返すのが大変」と感じ始めたら、アプリに移るタイミングだと思います。
当社のミノリス日誌は、農作業日誌をスマホで付けるための無料アプリです。
- 農薬・肥料・作業・収穫の記録を、作付けごとに時系列で確認できる
- 農薬は登録農薬から選ぶだけ。使用回数や収穫前日数もその場で確認できる(農薬適用情報10万件以上、肥料1.8万件以上)
- これからの予定と終わった作業を1つのカレンダーで管理できる
- 記録を栽培履歴としてCSV・Excelで出力し、JAや取引先に提出できる
- 写真とメモで生育の変化を残せる。圃場マップや衛星画像も無料
- ClaudeやChatGPTと連携し、会話しながら記録や検索ができる(詳しくは営農日誌はAIでつける時代へ)
なお、収支管理やGPSによる作業の自動記録には対応していません。作業時間の打刻は姉妹アプリの「ミノリスタイマー」(無料)で行えます。ほかのアプリも比べたい方は圃場管理アプリおすすめ11選、労務管理も重視するなら農業向け作業記録・労務管理アプリ比較が参考になります。
農作業日誌をスマホで、無料で
ミノリス日誌は公開中の全機能が0円。登録は約1分で、クレジットカードも要りません。
初期費用・月額0円/クレジットカード不要/登録後すぐ使えます
ノート・エクセルからアプリに移る手順
- 圃場を登録する(名前はノートやエクセルで使っていたものに合わせる)
- いま栽培中の作付けだけを登録する。過去の分は無理に移さなくてかまいません
- 最初の1か月は、農薬・肥料・播種・定植・収穫だけをアプリに入れる
- 慣れてきたら、見回りのメモや写真も追加する
- 家族や従業員と同じワークスペースで共有する
過去のノートやエクセルは捨てずに残しておき、必要なときに参照すれば十分です。
よくある質問
農作業日誌をつける義務はありますか?
作業全般の日誌をつける法的義務はありません。ただし、農薬については省令で記帳に努めることとされており、米を販売する場合は米トレーサビリティ法で取引等の記録の作成・保存が生産者にも義務づけられています(これは作業日誌とは別の取引記録です)。出荷先から栽培履歴の提出を求められることも多いため、少なくとも農薬・肥料の記録は残しておくことをおすすめします。
エクセルとアプリ、どちらがいいですか?
夜にパソコンでまとめて入力する習慣がある方はエクセル、圃場で書き留めたい方や家族・従業員と共有したい方はアプリが向いています。まずエクセルのテンプレートで項目に慣れ、見返しや集計が大変になってきたらアプリに移る、という順番でもかまいません。
スマホの操作が苦手でも使えますか?
最初は農薬と肥料の記録だけにしぼると、選ぶ操作が中心になるので負担は小さくなります。どうしても難しい場合は、手書きの日誌を続けつつ、家族の誰かがまとめてアプリに入力する方法もあります。
家庭菜園でも使えますか?
使えます。ただし記事中のテンプレートやアプリは、出荷や提出を前提にした農家向けの項目になっています。家庭菜園で農薬を使う場合も使用回数などの基準は守る必要があるので、農薬の記録だけはつけておくと安心です。
本当に無料ですか?
ミノリス日誌は、公開中の機能をすべて無料で使えます。初期費用・月額・追加料金はありません。
まとめ
農作業日誌は、日付・天気・圃場・作物・作業内容・作業者と時間・資材の7項目を、1行1作業で毎回同じ形で書くのが基本です。すべてを完璧に書こうとせず、農薬・肥料と播種・定植・収穫の日だけは必ず残す、と決めておくと長続きします。
紙やエクセルで始めるなら無料テンプレート、圃場で書いて検索や提出まで楽にしたいならアプリ、と目的に合わせて選んでください。
記録を「見返せる・出せる」形に
ミノリス日誌なら、作付けごとの記録をスマホで残し、栽培履歴としてExcel・CSVで出力できます。
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