秋の収穫が一段落すると、来年どの畑に何をどれだけ作るかを考える時期に入ります。頭の中では決めているつもりでも、圃場や品目が増えてくると「空いている畑があった」「同じ場所に同じ科の野菜が続いていた」「収穫が重なって手が回らなかった」ということが起きがちです。
この記事では、作付け計画の作り方を5つの手順に分けて説明し、エクセルでの作付け計画表の書き方、計画を翌年に生かすための記録の残し方まで紹介します。
作付け計画とは
作付け計画は、どの圃場で、いつからいつまで、何を、どれだけ作るかを1年(または1作期)分まとめたものです。似た言葉と混同しやすいので、先に整理しておきます。
- 作付け計画(作付け計画表):圃場×時期で、どこに何を作るかを並べた全体の計画
- 栽培暦:1つの作物について、播種から収穫までの作業を時期ごとにまとめたもの
- 営農計画書:水田農家などが経営所得安定対策の交付金を申請するときに提出する国の様式。作付け予定の作物と面積を記入します
作付け計画は、栽培暦や営農計画書のもとになる「全体の地図」のようなものです。これがあると、資材の注文量や作業の人手、出荷の見込みまで逆算できるようになります。
作る前に集めておく情報
- 圃場の一覧:名前(番号)、面積、所在地、水はけ・日当たり、水利、ハウスか露地か
- 過去の作付け履歴:各圃場で直近数年に何を作ったか(輪作・連作の確認に使います)
- 販売の見込み:売り先ごとの品目、数量、出荷したい時期
- 人手:家族・従業員が作業できる時期と時間
- 機械・施設:使える機械、育苗施設、保冷庫などの能力
- 土壌診断の結果:pHやECなど、圃場ごとの土の状態
このうち、多くの方がつまずくのが「過去の作付け履歴」です。記録が残っていないと、輪作を考えようにも前作が分かりません。後半で紹介する記録の残し方も、あわせて参考にしてください。
作付け計画の作り方 5つの手順
手順1:圃場台帳を作る
まず、すべての圃場を1枚の表にまとめます。地番や面積だけでなく、「水はけが悪い」「西日が強い」「獣害が出やすい」など、作物の向き不向きに関わる特徴も書いておくと割り当てが楽になります。
手順2:売り先から品目と面積を逆算する
作れるものから決めるのではなく、売れる量から面積を決めます。計算は「必要な出荷量 ÷ 10a当たりの見込み収量 = 必要な面積」です。
たとえば、直売所と契約先を合わせてキャベツを12トン出荷したい場合、10a当たりの出荷量が4トンなら必要な面積は30aです。規格外や天候不良の分として1〜2割の余裕を見ておくと、欠品のリスクを減らせます。見込み収量は、自分の過去の実績があればそれを、なければ都道府県の栽培指針などの数値を目安にします。
手順3:圃場に割り当てる(輪作・連作を確認)
品目と面積が決まったら、圃場台帳を見ながら割り当てます。このとき必ず確認したいのが前作です。同じ作物や近い仲間(同じ科)を同じ圃場で続けて作ると、生育が悪くなる「連作障害」が起きやすくなります。秋田県の野菜栽培技術指針(農林水産省「都道府県施肥基準等」掲載)では、連作障害の原因は病害によるものが最も多く、次いで土壌の理化学性の悪化によるものとされています。
ナス科(トマト・ナス・ピーマン・ジャガイモ)、ウリ科(キュウリ・スイカ・メロン)、アブラナ科(キャベツ・ハクサイ・ダイコン)など、科ごとに色分けして割り当てると、連作になっていないかがひと目で分かります。
手順4:月単位の表に並べる
圃場を縦に、月(または旬)を横に並べ、各圃場の作付けを「播種○・定植◎・収穫期間■」のような記号で書き込みます。いわゆるガントチャート形式です。これで、次のようなことが見えてきます。
- 作付けと作付けの間に空いている期間(緑肥や短期作物を入れられるか)
- 前作の収穫が終わる前に次作の定植が来ていないか
- 同じ時期に収穫が集中していないか
手順5:作業のピークを確認する
最後に、月ごとに「どの作業が何時間ぐらい必要か」を積み上げて、人手が足りるかを確認します。定植と収穫が同じ週に重なっていれば、定植を少しずらすか、品種を変えて収穫時期を分散させます。作業時間の見積もりには、過去の作業記録が役立ちます。記録の取り方は農作業の時間を記録・見える化する方法で紹介しています。
作付け計画表の書き方(エクセル)
エクセルで作る場合は、次のような列にしておくと、あとから並べ替えや集計がしやすくなります。
- 圃場名・面積
- 作物・品種・作型
- 作付け面積
- 播種日・定植日・収穫開始日・収穫終了日(予定)
- 前作と科(輪作の確認用)
- 見込み収量・出荷先
- メモ(資材、注意点など)
1つの圃場で年に2作・3作する場合は、作付けごとに1行を分けます。すると「延べ作付け面積」と「圃場の実面積」が別々に集計でき、経営全体の規模を正しく把握できます。
無料テンプレート:作付け計画表
圃場ごとの1年間の作付けを月単位で並べるガント形式の様式です。輪作の確認シート付き。Excelでは延べ面積と実面積の合計を自動で計算します。
1作物ごとの作業スケジュールまで落とし込みたい場合は、栽培暦のテンプレートも使えます。
計画倒れを防ぐには「実績」を残す
作付け計画は、作って終わりではありません。実際には天候で定植が遅れたり、品種を変えたり、計画になかった作物を作ったりします。計画と実際がどう違ったかが記録に残っていないと、翌年の計画はまた記憶頼りになり、輪作の確認もできません。
実績として残しておきたいのは次の項目です。
- 各圃場で実際に作った作物・品種と、播種・定植・収穫の日
- 使った肥料・農薬と量
- 収穫量と、よかった点・困った点
こうした記録を圃場・作付けごとに残しておけば、翌年は「前作は何か」「去年の単収はどうだったか」を見ながら計画を立てられます。
当社の無料アプリミノリス日誌は、この「作付けごとの記録」を残すためのアプリです。
- 圃場ごと・作付けごとに、農薬・肥料・作業・収穫の記録を時系列で残せる
- 作付けの履歴が残るので、輪作の確認に使える
- これからの予定と完了した作業を1つのカレンダーで管理できる
- 圃場マップと衛星画像(無料)で、圃場の位置や状態を確認できる
- 記録は栽培履歴としてExcel・CSVで出力できる
全体の作付け計画はエクセルのガント表で考え、決まった作付けをアプリに登録して予定と実績を管理する、という使い分けがおすすめです。なお、ミノリス日誌は収支管理には対応していません。収支まで含めて管理したい方は圃場管理アプリおすすめ11選や営農管理ソフト・システム比較で他のツールも比べてみてください。
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水田農家は「営農計画書」とあわせて考える
水田で米や麦・大豆などを作る農家が経営所得安定対策の交付金を受けるには、毎年、交付申請書とあわせて営農計画書を提出します。農林水産省の申請様式では、様式第2号「水稲生産実施計画書兼営農計画書」として、圃場ごとの作付け予定を記入する形になっており、令和8年産の提出期間は4月1日から6月30日までとされています。
営農計画書は地域農業再生協議会(市町村・JAなど)を通じて提出するのが一般的で、様式の細部や締め切りは地域によって異なる場合があります。年明けの早い時期に作付け計画を固めておけば、営農計画書の記入もスムーズです。
よくある質問
作付け計画はいつ作ればいいですか?
露地野菜なら、秋の収穫が落ち着いた頃から年内に大枠を決め、種子や資材の注文に間に合わせるのが一般的です。水田農家は営農計画書の提出(令和8年産は4月1日〜6月30日)より前に固めておく必要があります。
エクセルとアプリ、どちらで作るべきですか?
全体を見渡して組み替えるのは、エクセルのガント表が得意です。一方、実際の作業や資材を記録し、翌年に参照するのはアプリのほうが楽です。計画はエクセル、記録はアプリ、という組み合わせが無理のない始め方です。
輪作のために何年分の記録が必要ですか?
作物によって、同じ畑で間をあけたほうがよい年数は1〜2年から4〜5年以上までさまざまです。少なくとも過去3〜5年分の作付け履歴が圃場ごとに残っていると、ほとんどの作物で判断できます。
家庭菜園でも使えますか?
使えます。区画を「圃場」として登録し、区画ごとに作ったものを記録していけば、翌年の連作を避ける手がかりになります。
計画を途中で変えたらどうすればいいですか?
計画表は上書きせず、変えた内容と理由をメモに残しておくと、翌年の計画に生かせます。アプリで管理している場合は、予定を変更して実績を記録すれば、計画と実際の違いが残ります。
まとめ
作付け計画は、圃場台帳を作り、売り先から品目と面積を逆算し、前作を確認しながら圃場に割り当て、月単位の表で重なりと空きを確かめ、作業のピークを確認する、という5つの手順で作れます。
そして、計画を毎年よくしていくには、実際に何をどこで作ったかという記録が欠かせません。まずはエクセルのテンプレートで計画を立て、作付けごとの記録はアプリで残す、という形から始めてみてください。
今年の記録が、来年の作付け計画になる
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