農業向け作業記録・労務管理アプリ比較8選【2026年版】無料で始める作業時間の見える化

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従業員やパートを雇って農業を経営していると、「誰が・どの作業に・何時間かけたのか」が分からないまま繁忙期が過ぎていく、という悩みは珍しくありません。紙の出面帳やホワイトボードでの管理は、集計の手間がかかるうえ、給与計算や経営分析に活かしにくいのが実情です。

こうした課題を解決するのが、スマホやタブレットで打刻・記録できる作業記録アプリと勤怠管理アプリです。ただし両者は似ているようで役割が異なります。作業記録アプリは「どの作業に何時間かけたか」を記録して経営分析やコスト把握に使うもの、勤怠管理アプリは「何時に出勤・退勤したか」を記録して給与計算に使うものです。

本記事では、農業特化の作業記録・作業時間管理アプリ5つと、農場でも使える汎用の勤怠管理アプリ3つを、料金・打刻方式・機能の観点から比較します。営農管理ソフト全般の比較は営農管理ソフト10選比較【2026年版】をご覧ください。

作業記録アプリと勤怠管理アプリの違い|どちらを選ぶべきか

まず、2種類のアプリの違いを整理します。どちらも「時間を記録する」点は同じですが、記録の単位と使い道が異なります。

分類 機能の重心 向いている経営体 代表サービス
作業記録アプリ
(農業特化)
作業の「内容」と「時間」を作業別・圃場別に記録し、経営分析やコスト把握に使う 作業ごとの時間配分を見直したい経営体、GAP認証や栽培履歴の記帳が必要な経営体 ミノリスタイマー、アグリノート、Agrihub、Agrion、豊作計画
勤怠管理アプリ
(汎用)
出勤・退勤の「時刻」を記録し、労働時間集計と給与計算に使う 従業員数が多く、給与計算の効率化や有給管理・法対応を重視する経営体 ジョブカン勤怠管理、KING OF TIME、タッチオンタイム

「トマトの収穫に月何時間かかっているのか知りたい」なら作業記録アプリ、「パート10人分の給与計算を楽にしたい」なら勤怠管理アプリが起点になります。両方の課題がある場合は、まず無料の作業記録アプリで時間の見える化から始め、給与計算の負担が大きくなった段階で勤怠管理アプリを追加する、という順番が現実的です。

農業向け作業記録・労務管理アプリの選び方

打刻のしやすさで選ぶ

農業の現場はオフィスと違い、圃場が分散し、作業者は手袋をしていて、全員がスマホを持っているとは限りません。パートの方に個人のスマホでアプリをインストールしてもらうのはハードルが高い場合もあります。

そこで重要になるのが、作業場の入口にタブレットを1台置き、全員がそこで打刻できる「共用タイムカード」方式に対応しているかどうかです。ログイン不要で名前を選んでタップするだけなら、スマホを持たない作業者や機械が苦手な方でも運用できます。ワンタップで打刻が完了するか、休憩の記録が取れるかも確認しましょう。

作業別の記録が取れるかで選ぶ

単に「8時間働いた」だけでなく、「収穫に3時間、選果に2時間、片付けに1時間」と作業別に記録できると、データの価値が大きく変わります。作業別・作業者別の集計ができれば、どの工程に人件費がかかっているかが分かり、機械化や外注の判断材料になります。CSV出力に対応していれば、Excelでの分析や税理士・社労士への共有も容易です。詳しくは農作業の時間を記録・見える化する方法で解説しています。

給与計算・法対応で選ぶ

前提として押さえておきたいのが、農業と労働基準法の関係です。農業は労働基準法41条により、労働時間・休憩・休日の規定が適用除外とされています(法定労働時間の上限や休日規制が直接は適用されません)。ただし、年次有給休暇・深夜割増賃金・最低賃金は農業にも適用されます。また、技能実習生を受け入れている場合は、労基法に準拠した労働時間管理が求められます。「農業だから勤怠管理は不要」ではなく、有給管理や深夜労働の把握のために記録は必要です。詳細は農業の労務管理入門をご覧ください。

給与計算まで一気通貫で効率化したい場合は、給与計算ソフトとの連携機能を持つ汎用勤怠管理アプリが向いています。

料金で選ぶ

農業特化アプリは無料プランを持つものが多く、まずは0円で試せます。ただし無料プランには記録件数や圃場数の制限がある場合があるため、自分の経営規模で使い続けられるかを確認しましょう。汎用勤怠管理アプリは1ユーザーあたり月額200〜300円程度が相場で、従業員数に応じて費用が増えます。

農業特化の作業記録・作業時間管理アプリ比較表

サービス名 提供元 料金 打刻方式 主な機能
ミノリスタイマー 株式会社トクイテン 完全無料 スマホでワンタップ打刻/ログイン不要の共用タイムカード(タブレット) 作業別の時間記録、作業ボード、休憩記録、作業者別・作業種別レポート、CSV出力
アグリノート アグリノート株式会社(旧ウォーターセル) 無料プランあり/有料は年額11,000円〜33,000円(税込) スマホアプリで記録(GPSで作業場所を判定し下書きを自動作成) 作業記録、圃場地図、作業者別作業時間集計、GAP・有機JAS認証対応、栽培履歴帳票
Agrihub 株式会社Agrihub フリー0円/スターター月220円(年額請求・税込)/プレミアム年額9,800円(税込) スマホアプリで記録 農業日誌、農薬管理、記録・帳票の見える化、GAP・特別栽培管理
Agrion農業日誌 ライブリッツ株式会社 フリー0円(1圃場のみ)/月980円〜2,980円 スマホアプリで記録 作業記録、作業時間管理、農薬使用記録レポート、勤怠入力・出勤簿(プロプラン)
豊作計画 トヨタ自動車株式会社 要問い合わせ スマホ等で作業実績を記録 トヨタ生産方式に基づく作業計画・進捗管理・人員管理

農業特化アプリ5選の詳細

1. ミノリスタイマー(株式会社トクイテン)

ミノリスタイマーは、当メディアを運営する株式会社トクイテンが提供する完全無料の作業時間記録アプリです。初期費用・月額費用ともに0円で、機能制限による課金もありません。

特徴は打刻の手軽さです。作業の開始と終了をボタンひとつで記録でき、休憩の記録にも対応します。タブレットを作業場に置いてログイン不要で使える「共用タイムカード」に対応しており、作業者が画面で自分の名前を選んで打刻するだけなので、スマホを持たないパートの方がいる現場でも運用できます。

記録したデータは日ごと・月ごとに自動集計され、作業者別・作業種別の内訳をレポートで確認できます。CSV出力に対応しているため、給与計算の基礎資料や経営分析への活用も可能です。作業ボード機能でタスクの進捗をリアルタイムに共有でき、同じプラットフォームのミノリス日誌(栽培記録)と組み合わせて使うこともできます。詳しくは無料の作業時間記録アプリ「ミノリスタイマー」とはをご覧ください。

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ワンタップ打刻・作業ボード・ログイン不要の共用タイムカード・作業者別/作業種別のCSVレポートに対応した、完全無料の作業時間記録アプリです。

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2. アグリノート(アグリノート株式会社)

アグリノートは、営農管理の定番として広く使われているクラウドサービスです(提供元は旧ウォーターセル株式会社から社名変更したアグリノート株式会社)。航空写真ベースの圃場地図上で作業記録を管理でき、スマホのGPSで作業場所を判定して記録の下書きを自動作成する機能が特徴です。

労務の観点では、作業者別の作業時間集計表を出力できるため、複数人の作業時間をまとめて把握したい経営体に向きます。GAP認証・有機JAS認証への対応や栽培履歴帳票の作成など、記帳・認証まわりの機能が充実しているのも強みです。料金は無料プラン(圃場100件・記録20件まで)のほか、記録無制限の有料プランが年額11,000円〜33,000円(税込・1組織単位)で、同一料金で複数ユーザーが利用できます。

3. Agrihub(株式会社Agrihub)

Agrihubは、農業を営むエンジニアが開発したことで知られる農業日誌・農薬管理アプリです。作業記録や農薬の使用管理、記録・帳票の見える化、GAP・特別栽培の管理に対応し、全国で5万人が利用しています。

料金はフリープランが0円で、多くの機能を無制限に使えます。有料は事業者向けのスターター(月220円・年額請求・税込)と、期間制限のない高度な分析などが使えるプレミアム(年額9,800円・税込)の2段階です。個人経営や家族経営で、まず記録の習慣づけから始めたい方に導入しやすいサービスです。

4. Agrion農業日誌(ライブリッツ株式会社)

Agrion農業日誌は、スマホで作業記録をつけると農薬使用記録などのレポートを出力できるクラウド型の営農支援サービスです。全プランで作業時間の記録に対応しており、上位のプロプラン(月2,980円)では勤怠入力・出勤簿といった労務管理機能が使える点が、今回の比較では特徴的です。

料金はフリープラン0円(1圃場のみ)、スタンダード月980円(100圃場・10アカウント)、ベーシック月1,980円(200圃場・20アカウント)、プロ月2,980円(圃場・アカウント無制限)の4段階です。作業記録と勤怠管理を農業特化アプリ1本にまとめたい経営体は検討候補になります。

5. 豊作計画(トヨタ自動車株式会社)

豊作計画は、トヨタ自動車がトヨタ生産方式の考え方を織り込んで開発した農業IT管理ツールです。分散した圃場の作業計画と進捗管理、人員管理を一元化し、作業工程やコストの「異常管理」によって経営改善につなげるアプローチが特徴です。当初は米・麦・大豆など土地利用型作物が対象でしたが、2020年の刷新で野菜・果樹・畜産などにも適応品目が拡大されました。

料金は公式サイトに公開されておらず、要問い合わせです。なお、トヨタの農業向け公式ページは現在、豊作計画に加えてトヨタ生産方式による「現場改善」支援の紹介が中心となっており、ツール導入というよりも改善活動全体のパートナーを探している大規模経営体・法人向けの選択肢といえます。

農場でも使える汎用の勤怠管理アプリ比較表

サービス名 提供元 料金 打刻方式 主な機能
ジョブカン勤怠管理 ジョブカン(株式会社DONUTS) 公式サイト参照(機能を組み合わせて選択する料金体系) ICカード、GPS、スマホ、PCなど 出勤管理、シフト管理、休暇・申請管理、工数管理、給与計算システム連携
KING OF TIME 株式会社ヒューマンテクノロジーズ 1人あたり月額300円(全機能・初期費用無料) スマホ(位置情報)、ICカード、生体認証(指紋・顔)、PCなど業界最多クラス 勤怠集計、シフト管理、有給管理、給与計算ソフト連携、年末調整
タッチオンタイム 株式会社デジジャパン 1人あたり月額300円(初期費用0円) Webブラウザ、モバイル、指紋・ICカードのハイブリッド認証レコーダー、顔認証 勤怠・残業集計の自動化、有給休暇管理、シフト作成、申請・承認、給与システムCSV連携

ジョブカン勤怠管理

ジョブカン勤怠管理は、累計30万社以上が導入している大手の勤怠管理サービスです。出勤管理・シフト管理・休暇申請・工数管理といった機能から必要なものだけを組み合わせて使える設計で、ICカード・GPS・スマホ・PCなど多様な打刻に対応します。シフト制のパートを多く抱える農場では、シフト管理と勤怠をまとめられるのが利点です。料金は選択する機能数によって変わるため、公式サイトでの確認をおすすめします。

KING OF TIME

KING OF TIMEは、市場シェアNo.1をうたい440万人以上が利用する勤怠管理システムです。料金は全機能込みで1人あたり月額300円、初期費用無料と分かりやすい体系です。スマホの位置情報打刻に対応しているため、直行直帰で圃場に向かう従業員の打刻にも使えます。各種給与計算ソフトとの連携に加えて給与計算・年末調整まで統合されており、労務事務全体を効率化したい法人向けです。

タッチオンタイム

タッチオンタイムも1人あたり月額300円・初期費用0円で利用できる勤怠管理システムです。特徴は専用端末「タッチオンタイムレコーダー」で、指のハイブリッド認証とICカード認証に対応し、スマホを使わずタイムレコーダー感覚で打刻できます。事務所に端末を1台置く運用が組みやすく、変形労働時間制など複数の勤務パターン設定にも対応しています。

よくある質問

無料で使える農業向け作業記録アプリは?

ミノリスタイマーは完全無料で、打刻・作業別レポート・CSV出力まで利用できます。アグリノート・Agrihub・Agrionにも無料プランがありますが、記録件数や圃場数に制限がある場合があるため(例: アグリノート無料プランは記録20件まで、Agrionフリープランは1圃場のみ)、経営規模に合わせて確認しましょう。

家族経営でも作業時間を記録する意味は?

あります。雇用がなくても、作業別の時間が分かると「時給換算でいくら稼げている作業か」が見え、品目や作業の取捨選択、機械化投資の判断材料になります。また、将来パートを雇う際や認定農業者の経営改善計画を作る際にも、過去の作業時間データは有力な根拠になります。

勤怠管理アプリと作業記録アプリは併用すべき?

従業員数が少ないうちは、作業記録アプリのCSV出力を給与計算の基礎資料として使えば1本で足ります。従業員が増えて有給管理や給与計算ソフト連携が必要になったら、勤怠管理アプリを追加する併用が現実的です。その際、打刻の二度手間にならないよう、勤怠は出退勤のみ・作業記録は作業単位、と役割を分けて運用するのがコツです。

まとめ

作業記録アプリと勤怠管理アプリは、「経営分析のための記録」か「給与計算のための記録」かで役割が異なります。まずは無料で始められる農業特化の作業記録アプリで作業時間を見える化し、雇用規模の拡大に応じて勤怠管理アプリを組み合わせるのが失敗の少ない進め方です。農業は労基法41条で労働時間規制の適用除外がある一方、有給・深夜割増・最低賃金は適用されるため、規模にかかわらず時間の記録そのものは早めに習慣化しておきましょう。

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