生育調査表の書き方と記入例|草丈・茎数・葉色の測り方と無料テンプレート

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生育調査表は、あらかじめ決めた株を、決まった方法で1株ずつ測り、その平均を出して生育を比べるための表です。水稲なら草丈・茎数・葉齢・葉色、トマトなら1週間の茎の伸びや茎径が代表的な項目で、中干しや追肥、穂肥、温度管理の判断材料になります。

生育調査は「測ること」より「毎回同じように測ること」のほうが難しく、ここがずれると数字を比べる意味がなくなります。この記事では、兵庫県・広島県の水稲の調査法や、熊本県・岩手県のトマトの研究成果をもとに、調査株の選び方、各項目の測り方、よくある間違いを記入例つきで整理します。

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生育調査表とは/なぜ必要か

栽培記録との違い

作物の様子を日記のように残すのが栽培記録(栽培日誌)、決まった株を決まった方法で測って数字で比べるのが生育調査です。栽培記録は写真や気づきが中心、生育調査は株ごとの測定値と平均値が中心、と考えると使い分けやすくなります。作業の記録は農作業日誌に分けて残します。

生育調査でわかること

  • 水稲:茎数の増え方から中干しの開始時期を、葉色から穂肥の量を考える
  • トマトなど果菜:茎の太さや開花花房の高さから、生育が葉・茎に偏っているか(栄養生長)、実に偏っているか(生殖生長)という草勢を読む
  • 品種・作型・施肥を変えた年に、前年と同じ時期の数字で比べる
  • 部会や普及センターの調査結果と、自分の圃場の数字を比べる

岩手県農業研究センターの研究成果では、トマトで週1回程度の定期的な生育調査データを1作以上蓄積して解析することで、30日後までの草勢の強弱の傾向を予測できるとしています。調査の指標には、茎周(開花花房直下の茎の周囲長)、開花花房高さ、開花速度が使われています。

記入例

水稲で、調査地点Ⅰ・Ⅱから株を選んで生育期の項目を測った記入例です(数値は説明用の架空のものです)。

生育調査表の記入例
生育調査表の記入例(出典:ミノリス 無料テンプレート)

地点Ⅰの1株目は草丈54cm、茎数22本、葉齢10.2、葉色(SPAD値)38.5。5株の平均は草丈52.6cm、茎数21.2本、葉齢10.1、葉色37.9です。地点Ⅱの1株目に葉いもちの病斑を1つ見つけたので、写真番号をメモ欄に書いています。稈長・穂長・穂数の欄は成熟期に測るため、生育期の調査では空欄のままです。平均値は「調査結果の推移」シートに転記し、調査日ごとに前回・前年と比べます。

書き方(項目ごと)

調査する株の選び方

兵庫県の生育・収量調査法では、水稲の生育調査は生育が中くらいで欠株のない、連続した10株を2か所(連続した20株を1か所でも可)としています。広島県の生育収量調査法(水稲)でも、本田の草丈・茎数・稈長などの調査数は20〜40株とされています。

  • 圃場の端や、水口・水尻の近くは避ける
  • 調査する条の両脇の条間には入らない(踏むと生育が変わるため)
  • 株に目印の棒やテープを付け、毎回同じ株を測る

トマトの場合、岩手県の研究成果では調査個体数は8株が望ましく、最低限、中庸な株を4株、定期的に調べることを優先するとしています。

地点-株No.

調査地点(Ⅰ・Ⅱ)と株の番号を書きます。地点の場所は表の上にメモしておき(例:Ⅰ=北側の畔から5条目、Ⅱ=南側)、翌回も同じ場所に入れるようにします。

草丈(cm)

兵庫県の調査法では、水稲の草丈は「最長茎の地際から最長葉の先端までの長さ」です。葉を伸ばして一番長い葉の先までを測ります。抜き取って測る場合は根際からになるので、その旨をメモしておきます(広島県の調査法でも、抜取り調査の場合は根際からとしています)。

茎数(本/株)

主茎を含めた全部の茎の数です。分げつは、分げつ節の葉鞘から出たものをすべて数えます。㎡あたりの茎数は「1株の茎数×㎡あたり株数」で出し、㎡あたり株数は「1÷(条間m×株間m)」です。条間30cm・株間22cmなら1÷(0.30×0.22)で約15.2株/㎡、1株21本なら約320本/㎡になります。

葉齢(葉)

主茎の葉の枚数で、展開中の葉は途中まで数えて小数で書きます。広島県の調査法では、最上位葉の葉身が前の葉の葉鞘から抽出した長さ(m)と、その葉が全長に達したあとの葉身長(M)を測り、「(n−1)+m/M」で計算するとしています。たとえば10枚目の葉が全長の2割まで出ていれば9.2です。

葉色(SPAD値など)

葉緑素計(SPAD)やカラースケール(葉色板)で測った値です。兵庫県の調査法では、SPADを使い、最長茎の展開葉の第2葉の中央部2か所で測るとしています。測る葉の位置と測定器をそろえないと比べられません。SPADの値と葉色板の番号は意味が違うので、どちらで測ったかも書いておきます。

稈長・穂長・穂数(成熟期)

成熟期に測ります。稈長は株内の最長稈の地際から穂首まで、穂長は穂首から穂先まで(芒は含めない)です。穂数は遅れ穂を除いて数え、兵庫県の調査法では遅れ穂の目安を、稈長が50%以下で着生籾の80%以上が不稔または完全粒10粒以下のものとしています。

病害虫・倒伏

見つけた病害虫と、倒伏の程度を書きます。倒伏の程度は「無・微・少・中・多・甚」または0〜5で表す方法が県の調査法で示されています。

トマトなど果菜の項目

  • 茎の伸び(cm/週):前回の調査で印を付けた生長点から、今回の生長点までの長さ
  • 茎径(mm):決めた位置(例:生長点から15cm)の茎の太さ
  • 開花段位(段):花が咲いている一番上の花房の段
  • 開花花房の高さ(cm):開花している花房から生長点までの長さ
  • 着果段位(段):実が付いた一番上の花房の段

熊本県の研究成果(No.878)では、1週間あたりの茎伸長量と茎径は測定値のばらつきが小さく、測る人が違っても情報を共有しやすい一方、開花花房高はばらつきが大きく情報共有には向かないとしています。茎径は成長点から12cm・15cm・18cmのいずれでも、測る位置を統一すればばらつきが小さいとされています。

水稲用と果菜(トマト)用のシート、平均値の推移をまとめるシートが入ったExcel版は、ミノリスの生育調査表テンプレートのページからダウンロードできます。

気をつけること・よくある間違い

生育のよい株だけを選ぶ

目立つ株を選ぶと、圃場全体より大きな数字になり、追肥や穂肥を控えすぎる判断につながります。中くらいの株を、連続して選びます。

毎回違う株を測る

株ごとの差は大きく、違う株を測ると、生育が進んだのか株が違うのかがわかりません。目印を付けて同じ株を測ります。

葉色を測る葉がそろっていない

上の葉と下の葉では色が違います。「最長茎の上から2枚目の展開葉の中央」のように位置を決めておきます。

茎数と穂数を混同する

生育期に数えるのは茎数、成熟期に数えるのは穂数です。穂にならない茎(無効分げつ)があるため、同じ数にはなりません。

測る人によって測り方が違う

家族や従業員で分担する場合、草丈を「葉を伸ばして測るか」、茎径を「どの向きで測るか」を決めて共有します。熊本県の研究成果でも、楕円形の茎を長い辺・短い辺のどちらで測るかで値が変わり、両方の平均が茎周から出した値に近くなるとしています。

調査日がばらばらになる

トマトは週1回、同じ曜日に測ると、茎の伸びを週単位で比べられます。水稲は、兵庫県の実証ほの計画例(6月上旬植え・中生品種)で7月20日ごろと幼穂形成期(8月10日ごろ)に生育調査を行っており、生育ステージに合わせて日を決めるのが基本です。

移植後日数を書いていない

前年と比べるときは、日付より「移植(定植)後何日か」で比べるほうが正確です。表の上に移植日と調査日の両方を書いておきます。

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紙・Excelで続かないときは

生育調査の測定値そのものは、株ごとの数字を並べて平均を出す作業なので、Excelのほうが向いています。続かなくなりやすいのは、調査の数字と、その前後にした管理が別々の場所に残ることです。「追肥の1週間後に葉色が上がった」ことを確かめるには、両方を並べて見る必要があります。

当社の無料アプリミノリス日誌では、作付けごとに観察メモと写真を記録でき、同じ作付けの作業・肥料・農薬・収穫の記録と時系列で並べて見返せます。調査日の平均値(例:草丈52.6cm・茎数21.2本・SPAD37.9)と気づきをメモに書き、病斑や草姿の写真を添えておけば、中干しや穂肥の判断とその結果を1つの画面で追えます。圃場マップや衛星画像で圃場を確認することもできます。記録は栽培履歴としてCSV・Excelで出力できます。

一方で、株ごとの測定値を入力して平均やグラフを自動で出す生育調査専用の機能はありません。数字はテンプレートのExcelで管理し、アプリには平均値・写真・判断を残す、という使い分けがおすすめです。収支管理やGPSによる作業の自動記録にも対応していません。

調査の数値と写真を、作付けごとに残す

ミノリス日誌なら、調査した日の平均値や気づきをメモと写真で作付けごとに残し、作業・肥料・収穫の記録と並べて振り返れます。全機能0円です。

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よくある質問

何日おきに調べればよいですか?

決まりはありません。兵庫県の調査法では、水稲の草丈・茎数・葉色などは生育期間中に1回以上、稈長・穂数などは成熟期に調べるとしています。トマトは週1回が目安です。地域の栽培指針や普及センターの調査日程があれば、それに合わせてください。

㎡あたりの茎数はどう出しますか?

1株の茎数×㎡あたり株数です。㎡あたり株数は1÷(条間m×株間m)で、坪あたりの株数がわかっている場合は、坪あたり株数÷3.3でも出せます(60株/坪なら約18.2株/㎡)。

SPAD計がありません。

葉色板(カラースケール)でも調べられます。JAや普及センターで貸し出していることもあるので問い合わせてみてください。どちらで測ったかは必ず書き、年によって道具を変えないようにします。

JAや普及センターから調査の様式を渡されています。

測る項目や測り方をそろえるため、指定の様式を使ってください。このテンプレートは、自分用の控えや、指定様式のない作物の調査に使えます。

水稲・トマト以外の作物でも使えますか?

使えます。麦・大豆なら草丈(主茎長)や茎数、葉菜類なら葉数や株張り、果樹なら新梢の長さなど、作物に合わせて見出しを書き換えてください。項目は3〜4個に絞るほうが続きます。

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まとめ

生育調査表は、中くらいの株を決めて、同じ株を同じ方法で測り、平均で比べるための表です。水稲なら草丈・茎数・葉齢・葉色を生育期に、稈長・穂長・穂数を成熟期に。トマトなら茎の伸びと茎径を週1回、測る位置をそろえて。この基本を守れば、中干しや穂肥、温度管理の判断に使える、自分の圃場の物差しができていきます。

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