収穫記録表の書き方と記入例|無料テンプレート(Excel・PDF)

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「今年は去年より採れた気がする」。収穫量を記録していないと、その感覚が合っているのかどうかを確かめる方法がありません。収穫記録表は、収穫のたびに、どの圃場から・何を・どれだけ・どの規格で採ったかを1行ずつ残す表です。これがあれば、圃場や品種ごとの10aあたり収量を出して翌年の作付けを考えられますし、出荷の記録や確定申告の数字とも突き合わせられます。

この記事では、収穫記録表の各欄の書き方と単位、10aあたり収量の計算方法、記入例、よくある書き間違いを整理します。あわせて、国税庁の通達や農林水産省のGAPガイドラインなど一次情報で、収穫の記録がどんな場面で求められるかも確認します。

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収穫記録表とは/なぜ必要か

収穫記録表は、収穫日・圃場・作物と品種・収穫量・規格別の内訳・出荷先を、収穫のたびに書き足していく記録です。収穫記録表そのものを作るよう定めた法律はありませんが、収穫量の記録は次のような場面で役に立ちます。

翌年の作付けと計画の根拠になる

圃場ごと・品種ごとの10aあたり収量がわかると、「この圃場は毎年少ない」「この品種は収量は多いが規格外が多い」といった判断ができます。栽培計画表や営農計画書で予定収量を出すときも、統計や経営指標の平均値より、自分の圃場の実績のほうがはるかに確かな根拠になります。

確定申告の「収穫基準」と関係する

所得税では、農産物を収穫したときに、その収穫時の価額を収入に入れる「収穫基準」が原則です(所得税法第41条。現金主義を選んだ場合を除く)。国税庁の通達「農業を営む者の取引に関する記載事項等の特例について」では、青色申告の帳簿の付け方について、農産物の区分ごとに次のような簡略化を認めています。

  • 米麦等の穀類:収穫時は数量のみを記載し、単価・金額は省略してよい
  • 野菜等の生鮮な農産物:収穫時の記載は省略してよい
  • みかん・りんご・くり、いも類などの「その他の農産物」:収穫時の記載は省略してよい

また、家事消費(自家用に食べた分)の金額は、収穫時の価額の平均額か、出荷価格の平均額で計算してもよいとされています。米や麦を作っている場合は収穫時の数量が帳簿の記載事項になり、野菜でも家事消費や棚卸しの金額を出すときに収穫量の記録があると計算の根拠が示せます。具体的な記帳方法は、税務署や税理士に確認してください。

GAPや取引先の要求に応える

農林水産省の国際水準GAPガイドライン(青果物)では、取組事項の1つとして「出荷する商品の表示の管理及び収穫記録と結びついた農産物の出荷記録」の作成・保存を挙げています。問題が起きたときに、出荷した商品がどの圃場のいつの収穫物かをたどれるようにするためです。農林水産省は、食品を扱った記録を事業者が作成・保存することで、事故の際に食品の出どころ(遡及)と行き先(追跡)を調べられる「食品トレーサビリティ」の取組も進めています。

記入例

トマト2品種を2つの圃場で収穫した場合の記入例です。

収穫記録表の記入例
収穫記録表の記入例(出典:ミノリス 無料テンプレート)

6月10日の東1号(トマト・△△)は収穫量80kg、内訳は秀50・優22・規格外8、出荷はJA72kgで、累計は80kgです。6月12日の東1号は120kg(秀80・優30・規格外10)で、JAに100kg、直売所に10kg出荷し、累計は200kgになりました。同じ日の西2号(トマト・□□)は別の作付けなので、累計は60kgから始まっています。

6月15日の東1号は150kgで累計350kg、メモには「曇天で着色遅め」と残しています。4日分の収穫量の合計は410kgです。記入例の品種名・人名は架空のものです。

書き方(項目ごと)

各欄の書き方

欄 書くこと・単位 書き方の例
収穫日 収穫した日(西暦) 2026/6/12
圃場 圃場の名前や番号。毎回同じ書き方にする 東1号
作物・品種 作物と品種。同じ作物でも品種ごとに分ける トマト・△△
収穫量(kg) その日の収穫量の合計。規格外も含める 120
規格・等級別の内訳 出荷先の規格ごとの内訳(kg) 秀80・優30・規格外10
出荷先(内訳) 出荷した先と数量。複数なら内訳を書く JA 100・直売所 10
累計(kg) 同じ圃場・同じ作物・品種の、今日までの合計 200
収穫者 収穫した人 山田・佐藤
メモ 天気、品質で気づいたこと、1箱あたりの重さなど 裂果やや多い

単位はkgにそろえる

コンテナや箱、パックで数えるほうが現場では楽ですが、記録表の中で単位が混ざると合計できません。箱で数える場合は「1箱=4kg」のように1箱あたりの重さをメモに書いておけば、あとでkgに直せます。果菜類のように1個ずつ重さが違う作物は、数日に1回コンテナごとに量って平均を出しておくと換算の精度が上がります。

10aあたり収量の計算

作付けが終わったら、圃場ごとに収穫量を合計して10aあたり収量を出します。

10aあたり収量(kg)= 収穫量の合計(kg)÷ 面積(a)× 10

たとえば面積5aの圃場で合計2,400kg採れた場合は、2,400÷5×10=4,800kg/10aです。テンプレートのExcel版には「圃場別の集計」シートがあり、面積と収穫量の合計を入れると10aあたり収量が自動で計算されます。

比べる相手は「自分の前年」から

出てきた10aあたり収量は、まず自分の前年と比べます。地域の水準と比べたい場合は、都道府県の農業経営指標や農林水産省の作物統計が使えます。たとえば長野県の作目別経営指標一覧表では、トマト(雨よけ)の10aあたり生産量を11,000kg、ミニトマト(雨よけ)を6,000kgとしています。ただし経営指標は効率的な経営を想定したモデルの数字なので、目標の目安として使うのがよいでしょう。

気をつけること・よくある間違い

1. 出荷した分だけを書く

出荷量だけを記録すると、実際に採れた量と規格外の割合がわかりません。規格外、廃棄、自家消費の分も収穫量に含めて書き、内訳で分けます。規格外の割合が増えたときは、栽培の課題を見つける手がかりになります。

2. 単位が混ざる

kg・箱・パックが混ざると合計できず、10aあたり収量も出せません。記録表の中ではkgにそろえ、箱の重さはメモに残します。

3. 面積の基準が毎年違う

圃場全体の面積と、通路などを除いた作付面積が年によって混ざると、10aあたり収量を年ごとに比べられません。どちらを使うかを決めて、毎年そろえます。

4. 圃場名や品種名の書き方が毎回違う

「東1号」「東一」「東の畑」のように表記がばらつくと、Excelの累計や集計が正しく計算されません。圃場名と品種名は、最初に一覧を作って毎回同じ書き方にします。

5. 累計を別の作付けと混ぜてしまう

同じ作物でも圃場や品種、作期が違えば別の作付けです。記入例の西2号のように、累計は作付けごとに0から数えます。

6. 計量器を点検していない

国際水準GAPガイドライン(青果物)には「計量機器の点検・校正」も取組事項として挙がっています。はかりがずれていると、収穫記録も出荷の数量もずれます。シーズン前に、重さのわかるもので確かめておくと安心です。

7. 収穫量と出荷量を突き合わせていない

収穫量と出荷量の差は、規格外・ロス・自家消費です。この差が大きい月は、選別や保管の方法を見直すきっかけになります。記入例の6月12日の東1号では、収穫120kgに対して出荷110kgで、差の10kgが規格外です。

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紙・Excelで続かないときは

収穫記録は、収穫期の毎日、手が汚れたまま書くことになります。ノートを作業場に置いておいても、忙しい日は後回しになりがちで、数日分をまとめて書こうとすると数字があいまいになります。

当社のミノリス日誌は、収穫の記録を作付けごとにスマホで残せる無料の栽培記録アプリです。

  • 収穫した数量を、kg・箱などの単位と、A品・B品などの品質を付けて記録できる
  • 収穫の記録が作付けごとにまとまり、収穫実績として見返せる
  • 同じ作付けの農薬・肥料・作業の記録と並べて見られる
  • 写真で品質の様子を残せる
  • 栽培履歴としてCSV・Excelで出力できる

一方で、ミノリス日誌は収支管理(売上や出荷金額の集計)には対応していません。GPSによる作業の自動記録もできません。出荷の金額や確定申告の帳簿は会計ソフトや帳簿で管理し、アプリは「どの作付けからどれだけ採れたか」の記録に使う、という分担になります。

収穫量を、作付けごとにその場で記録。翌年の単収を自分の実績から見積もれます。

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よくある質問

JAや出荷先の様式があります。どれに書けばよいですか?

出荷の記録や数量の報告に指定の様式がある場合は、そちらで提出してください。収穫記録表は、自分で収量を振り返るための控えとして使えます。規格の区分(秀・優・良など)は、出荷先の規格に合わせて書き換えてください。

出荷台帳とはどう違いますか?

収穫記録表は「どの圃場からどれだけ採れたか」、出荷台帳は「どこへどれだけ出したか(売ったか)」の記録です。収穫量と出荷量を突き合わせると、ロスや自家消費の量がわかります。

確定申告では収穫量をどう使いますか?

国税庁の通達では、青色申告で米麦等の穀類を収穫したときは数量を記載することとされ、野菜などの生鮮な農産物は収穫時の記載を省略してよいとされています。家事消費や棚卸しの金額は収穫時の価額(生産者販売価額)で計算します。自分の作物でどこまで記載が必要かは、税務署や税理士に確認してください。

毎日量るのが大変です。

コンテナ単位で数を記録し、定期的に数箱を量って1箱あたりの平均重量を出す方法でも、年間の収穫量や10aあたり収量の傾向はつかめます。その場合は、換算に使った重さをメモ欄に必ず残しておきます。

10aあたり収量は何と比べればよいですか?

まずは自分の前年と比べるのがおすすめです。地域の水準を知りたいときは、都道府県の経営指標や農林水産省の作物統計を参考にします。統計は平均値なので、条件の違いも頭に入れて比べます。

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まとめ

収穫記録表は、収穫日・圃場・作物と品種・収穫量・規格別の内訳・出荷先を、収穫のたびに1行ずつ書く記録です。単位はkgにそろえ、規格外や自家消費も含めて書き、累計は作付けごとに数えます。作付けが終わったら、収穫量の合計÷面積×10で10aあたり収量を出し、自分の前年と比べます。

収穫の記録は、翌年の計画の根拠になるだけでなく、確定申告の収穫基準やGAPの出荷記録とも関わります。まずは無料の収穫記録表テンプレートで、次の収穫から記録を始めてみてください。

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