ハウス環境の記録表の書き方と記入例|温度・湿度・飽差・CO2の無料テンプレート(Excel・PDF)

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ハウスの中の温度・湿度・飽差・CO2濃度と、その日に行った暖房・換気・カーテン・かん水の操作を、1日1行で残す表が「ハウス環境の記録表」です。環境測定機のデータは機械が保存しますが、人が何をしたかは残りません。操作と気づきを数値と並べておくと、結露の多かった日や高温が続いた日を、作業の内容と照らして確認できます。

この記録表を義務づける法令はなく、提出先が決まった公的様式もありません。農林水産省や都道府県の資料をもとに、記録する項目と見方を整理した任意の帳票です。この記事では、無料テンプレートの記入例を使い、各欄の書き方、飽差とCO2の見方、温度を測る場所のそろえ方、続けるための見返し方を説明します。目安の数値は作物・品種・時期で変わるので、地域の栽培指針や普及指導センターの資料も確認してください。

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目次

ハウス環境の記録表とは/なぜ必要か

法令上の義務はなく、栽培を振り返るための任意の記録

ハウス環境の記録表に、国の法令が定める様式や提出先はありません。出荷先やGAPの認証機関が記録を求める場合は、そちらの様式を優先してください。自分の栽培のために付ける記録ですから、項目は経営に合わせて増減して構いません。

岩手県農業研究センターの手順書は、ハウス内の温度、湿度、日射量、CO2濃度に、気象データ、作業記録、生育調査、収量のデータを合わせて分析し、栽培管理や経営管理の改善に使う取り組みを「環境モニタリングデータ活用」と呼んでいます。同じ手順書が示す流れは、ハウス内環境や生育・収量調査のデータを継続して記録し、栽培管理の振り返りに活用するというものです。

測定機があっても、操作と気づきは人が残す

岩手県の手順書の冒頭には、環境モニタリングシステムを導入する産地が増える一方で、十分に活用できず成果が出ていない事例も多いと書かれています。数値が自動で貯まっても、見返す習慣がなければ栽培は変わらないでしょう。

同じ手順書は、データの記録から振り返りまでの期間が長いと、記録の効果が実感しにくくなると指摘しています。対策は、定期的に振り返る場を設けることです。その日の最高・最低の数値、換気やかん水などの操作、気づいたことを1行にまとめておけば、振り返りの手がかりが1か所に集まるのです。

暖房の費用と機器の点検にも使える

農林水産省の「施設園芸 省エネルギー生産管理マニュアル」は、栽培作物の加温に多くのエネルギーを使う施設園芸では、経営費に占める燃油コストの割合が高いと説明しています。暖房の設定温度と燃料の減り方を日ごとに残しておくと、寒波の日や設定を変えた日の燃料の使い方を比べられるのです。

同じマニュアルは、暖房機の清掃、温度センサーの点検、被覆資材とカーテンのすき間の点検を取り上げています。ミノリスのテンプレートには、これらの点検結果を残す「設備の点検記録」のシートも含まれているのです。

記入例

下の記入例は、冬に暖房機を使うハウスの1月12日から14日の3日分を、架空の数値で書いたものです。晴れ、曇り、雪と天気が変わる3日間なので、天気ごとに数値と操作がどう並ぶかを見比べられます。

ハウス環境の記録の記入例
ハウス環境の記録の記入例(出典:ミノリス 無料テンプレート)

1月12日は晴れで、ハウス内の最高は26.0℃、湿度の最低は62%でした。日中の飽差は9.3g/㎥です。兵庫県の資料の飽差表を見ると、26℃で相対湿度60%が9.8、65%が8.5で、記入例の値とほぼ一致します。この日は側窓を10時に開けて14時半に閉め、かん水もしており、気づきの欄は「昼に乾燥ぎみ」です。

1月13日は曇りで、飽差は4.1g/㎥まで下がりました。朝に結露が多く、灰色かび病を気にかけています。1月14日は雪で、終日閉め切りでした。ハウス内の最低気温は10.6℃で、暖房の設定温度11℃を下回ったため、センサーの位置を確認すると書きました。残量の差を取ると、燃料の減りは12日から13日が60L、13日から14日が90Lです。

書き方(項目ごと)

記入例の列の順に、各欄の書き方を説明します。測定機がなくても、最高最低温度計と湿度計の値だけで始められるので、まずはそこからで十分です。わからない欄は、空欄のままで構いません。

ハウス名・作物品種・年月・記録者

表の上に、ハウスの名前、作物と品種、年月、記録する人を書きます。ハウスが複数あるときは、ハウスごとに別の表を使いましょう。環境は棟ごとに違い、数値を混ぜると比べられなくなるからです。

家族や従業員が交代で書くときは、記録者の欄が役に立ちます。数値に疑問が出たとき、誰がどの温度計を見て書いたかをたどれるのです。

日付

記録した日を、1行に1日ずつ書きます。毎日は書けなくても、暖房を使う時期や病気が出やすい時期に期間を絞れば足ります。書いた日だけ1行を埋め、書かなかった日は空けたままにしてください。

天気・外気温

その日の天気と、外の最低気温・最高気温を書きます。記入例の「晴 −2/8」は、外が最低マイナス2℃、最高8℃だった日という意味です。外気温を自分で測っていない場合は、気象庁の「過去の気象データ検索」で観測地点と日付を選べば調べられます。

ハウス内の最高・最低気温

ハウスの中の最高と最低の気温を、℃で書きます。農林水産省のマニュアルによると、暖房機が運転と停止を決める基準は、温度センサーが感知した温度です。そのためセンサーが室温を正しく測れていないと、暖房機が過剰に動いてしまいます。

記録用の温度計は、作物の生長点に近い高さに置いて、毎回同じ場所の値を書くのが基本です。暖房機や送風ダクトの吹き出し口の近くは、温度が大きく動くので避けてください。

湿度の最高・最低

相対湿度の最高と最低を、%で書きます。兵庫県の資料は、同じハウスでも場所や高さで温度むらが出ると述べ、1℃の差でも相対湿度が5%以上違う場合があるとしています。湿度計も温度計と同じ場所に置き、同じ高さの値を記録しましょう。

日中の飽差

飽差は、1㎥の空気があと何gの水蒸気を含めるかを示す値で、単位はg/㎥です。兵庫県次世代施設園芸技術習得支援協議会の指導者向けマニュアルでは、植物の蒸散を考えるとき、相対湿度より飽差で見るほうが適切とされています。植物にストレスの少ない飽差の範囲は、おおむね3から6g/㎥です。

同じ相対湿度60%でも、気温が高いほど飽差は大きくなります。同じ資料の飽差表では、60%のときの飽差が20℃で6.9、30℃で12.1です。機器が飽差を表示しない場合は、日中の気温と湿度を飽差表に当てはめて読み取ります。記入例のように、気温が高く湿度が低い時間帯の値を書いてください。

CO2(朝/日中)

CO2測定器がある場合は、朝の換気前と、光合成が盛んな日中の2回の濃度をppmで書きます。兵庫県の資料によると、日中に換気がないか少ない期間は、ハウス内のCO2濃度が外気以下に下がって、光合成の制限要因になるそうです。

同じ資料は、トマトで濃度が外気より低くなると生長量が大きく減るとして、350ppmから250ppmへの低下で19%減という数値を示しています。日中の濃度を外気並み(350から450ppm程度)に保つ方法も紹介されており、換気の時間やCO2施用の見直しには、朝と日中の2つの値が役立つでしょう。測定器がない場合、この欄は空けておけば足ります。

暖房の設定温度と燃料タンクの残量

夜間の暖房の設定温度を℃で、燃料の残量をLなどで書きます。給油した日は、給油量も別に書き添えましょう。残量だけを書き続けると、給油日をまたいだ比較ができません。

燃料の書き方は、シーズンを通して統一してください。農林水産省のマニュアルは、夏に生産されたA重油を冬に使うとセジメントが増え、フィルターの目詰まりを起こす可能性があると説明し、3か月以上保存したA重油は使わないよう勧めています。給油日と入れた量を残しておけば、保管期間の確認にもなるでしょう。

換気・カーテン・かん水

その日に行った操作を、時刻つきで書きます。記入例の「側窓 10時開・14時半閉、かん水あり」のように、開けた時刻、閉めた時刻、かん水の有無を並べます。数値だけでは、湿度が高かった日や低かった日の理由を、あとから説明できないからです。

兵庫県の資料には、外気が乾く春と秋に換気が遅れると、それまで貯まっていた水蒸気が換気と同時に外へ出て、飽差が急に変わるという説明があります。換気を始めた時刻を残しておけば、飽差が急に上がった日の原因を探せるでしょう。

気づき・異常

結露の量、しおれ、病気の兆し、機器の異常を、短い言葉で書きます。記入例には「朝に結露多い。灰色かび病に注意」「最低気温が設定より低い。センサー位置を確認」とあります。次に何を確認するかまで書いておくと、翌日の見回りに使えるのです。

設備の点検記録(別シート)

Excel版には、暖房機の清掃、温度センサーの表示のずれ、被覆とカーテンのすき間などの点検結果を残すシートが付いています。農林水産省のマニュアルによれば、被覆資材やカーテンのすき間と破れからの放熱は、日ごろの点検で大部分を防げます。

暖房シーズンに入る前と、シーズン中にも定期的に点検し、日付と結果を書いてください。同じマニュアルは、被覆資材が劣化して水滴が落ちるようになると作物に悪影響が出るため、状態を確認して定期的に更新するよう求めています。

気をつけること・よくある間違い

暖房機の近くの温度を書いてしまう

暖房機や送風ダクトの吹き出し口の近くは、温度が急に変わる場所です。農林水産省のマニュアルでは、この付近にセンサーを置くと運転と停止を頻繁に繰り返し、暖房機の故障の原因になりやすいと説明されています。記録用の温度計も、作物の生長点に近い高さに、毎回同じ場所で置いてください。

数値だけを書いて操作を書かない

最高気温と湿度だけでは、なぜその数値になったのかがわかりません。換気の開閉時刻、カーテンの動かし方、かん水の有無を同じ行に書けば、数値と操作が結びつきます。操作の欄を数値より先に埋める習慣をつけると、続けやすくなるでしょう。

目安の飽差に収めることだけを目標にする

兵庫県の資料には、細霧冷房で飽差3から6g/㎥を続けて維持すると、空中湿度が高く保たれて蒸散が慢性的に減り、根からの吸水と吸肥が緩やかになるとの記述があります。同じ資料は、目標の飽差よりやや乾き気味に管理し、朝夕に空気を乾かす時間帯を設けるよう勧めています。飽差の目安は範囲として読み、作物の様子と合わせて判断してください。

結露が出る朝の原因を温度だけで考える

兵庫県の資料では、灰色かび病や葉かび病の発生は、結露で植物体が濡れることが大きな要因とされています。例として、気温14℃、相対湿度90%の空気の露点温度は12.4℃で、気温との差は1.6℃しかありません。日の出後に果実の温度が上がりにくいと、果実の表面で結露が起きるのです。

対策として同じ資料は、日の出前から加温を始めることを挙げています。ただし暖房で急に室温を上げると結露が出るため、設定温度は1時間に1から2℃ずつ上げる階段状にするとしています。朝の結露を書くときは、暖房の開始時刻と設定温度も同じ行に残しておきましょう。

燃料の減り方を毎回違う方法で書く

ある日は残量、別の日は使った量と、書き方が混ざると日ごとの比較ができません。タンクの目盛りを読む時刻と書き方を先に決め、給油した日は給油量を別の欄に残します。

目安の数値をほかの作物にそのまま当てはめる

飽差の3から6g/㎥やCO2の350から450ppmは、兵庫県の資料がトマトを例に示した値です。作物、品種、生育段階、季節によって、適した範囲は変わります。自分の作物の値は、都道府県の栽培指針や普及指導センターの資料で確かめてから使ってください。

測定機の数値と手書きの記録を別々に保管する

測定機のクラウドと紙の表が別々になると、あとで突き合わせる手間が増えます。測定機の最高・最低の数値を週に1回でも表に書き写せば、操作の記録と同じ場所で見比べられるのです。

記録の見返し方

記録は書いただけでは役に立たないので、見返す場面を先に決めておきましょう。岩手県の手順書には、生産者が経験、振り返り、教訓化、実践の順に学びを進める「経験学習サイクル」が紹介されています。ハウスの記録に当てはめると、次の3つの場面です。

週に1回、数値と操作を並べて見る

1週間の記録を並べ、飽差が目安から外れた日、結露が多かった日、燃料の減りが大きかった日に印を付けます。次に、同じ日の換気時刻とかん水の有無を見て、なぜそうなったのかを考えてみましょう。岩手県の手順書も、生産者自身がデータに基づいて「なぜそうなったか」を振り返ることを求めています。

うまくいった日の条件も書き残す

同じ手順書によると、失敗だけでなく成功も振り返り、成功した要因を教訓にまとめると再現性が高まります。生育が良かった週のハウスの数値と操作を残しておけば、次の年の同じ時期に目安として使えるでしょう。

シーズンの終わりに年ごとの違いを比べる

暖房シーズンが終わったら、燃料の合計、結露や病気が出た時期、機器の不具合を1枚にまとめます。前の年の同じ表と並べれば、設定温度を変えた効果や、被覆資材を張り替えた効果を確認できるのです。

1年の使い方と保管

記録表は、暖房を使い始める時期から終える時期までを1冊にまとめると、シーズン全体の燃料の使い方を通して見られます。夏は高温と換気の記録が中心になるため、同じ表の暖房欄は空けておけば足ります。

翌年の同じ時期に見返すと役に立つので、数年分を同じ場所に保管しておきましょう。年ごとの違いを比べられます。出荷先や認証機関が保存期間を指定している場合は、その期間に従ってください。

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紙・Excelで続かないときは

ハウスが増えたり、作物が複数になったりすると、どの棟でいつ何に気づいたかを表だけで追うのは大変です。結露や高温で気づいたことを写真つきで残しておくと、病気が出たときに、その前後の様子を見返せます。

当社が提供しているミノリス日誌は、栽培の記録を付けるための無料アプリです。ハウスの記録には、次の使い方ができます。

  • ハウスを圃場として登録し、棟ごとに気づきをメモと写真でスマホから記録できる
  • 作付けごとの生育の記録に、天候も残せる
  • 作業・農薬・生育の記録と一緒に、カレンダーやタイムラインで見返せる
  • 栽培履歴をCSV・Excelで出力できる

温度センサーや環境測定機との連携、温度・湿度・CO2の自動記録には対応していません。飽差の計算や暖房の制御、燃料の管理、異常を知らせる通知もできません。数値の記録はこの記事のテンプレートや測定機で行い、ミノリス日誌は「その日の様子と作業」を残す用途で組み合わせてください。

ハウスでの気づきを、写真つきでスマホから

ハウス(圃場)ごとに、結露やしおれなどの気づきをメモと写真で無料で記録できます。

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よくある質問

環境測定機のデータがあれば、この記録表は不要ですか?

測定機は数値を保存しますが、換気の時刻や気づきまでは残らない場合があります。最高・最低の数値、その日の操作、気づきを1行にまとめておくと、翌年の同じ時期の見返しに役立つでしょう。

毎日書くのが大変です。書く期間を絞ってもよいですか?

絞って構いません。暖房を使う時期や病気が出やすい時期だけ書き、書かなかった日は空けておきます。わからない欄も空欄のままで差し支えありません。

飽差はどの範囲に収めればよいですか?

兵庫県の資料は、植物にストレスの少ない飽差の範囲をおおむね3から6g/㎥としています。ただし作物や時期で適した範囲は変わるので、都道府県の栽培指針や普及指導センターの資料で確認してください。

CO2濃度計がなくても記録できますか?

記録できます。CO2の欄は空けておき、気温・湿度・換気の操作だけを書けば十分です。兵庫県の資料によると、日中に換気が少ないとCO2濃度が外気以下に下がりやすいので、換気の時刻を残しておくと後から判断の材料になります。

温度計はどこに置けばよいですか?

作物の生長点に近い高さに置き、毎回同じ場所の値を書くのが基本です。農林水産省のマニュアルは、暖房機や送風ダクトの吹き出し口の付近を避けるよう示しています。

県やJAの指定様式がある場合はどうしますか?

提出先に指定の様式があれば、そちらが優先です。このテンプレートは自由に書き換えられるので、指定様式にない項目を自分の控えとして残す使い方もできます。

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まとめ

ハウス環境の記録表は、日付、天気と外気温、ハウス内の最高・最低気温、湿度、日中の飽差、CO2、暖房の設定温度、燃料の残量、換気・カーテン・かん水の操作、気づきを1日1行で残す表です。温度計は毎回同じ場所に置き、数値の隣に操作を書くと、結露や乾燥の原因をあとから探せます。

飽差やCO2の目安は、公的な資料の値を参考にしつつ、作物と時期に合わせて確かめてください。テンプレートで1シーズン記録し、週に1回と暖房シーズンの終わりに見返すと、翌年の設定温度や換気の時刻を決める材料になります。

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