農業用ドローンとは?農業用ドローンの種類やできること、代行サービスの価格相場などについて解説

農薬散布やモニタリングなど、農業分野でも活用が広がりつつあるドローン。農業用ドローンではどのような作業ができ、どのように運用するのでしょうか。この記事では農業用ドローンの概要、種類、メリット、注意点について詳しく解説します。ぜひ最後までお読みください。

農業用ドローンとは

農作業に特化した大型ドローン

農業用ドローンとは、農業の現場で使われるドローンの総称です。農薬を散布したり農地を空撮したりするために使われます。農薬タンクやセンサーを搭載するため、玩具のドローンやレース用機種よりもはるかに大型です。機体重量が20kgを超えるものもあるため、落下事故のないよう十分な習熟が求められます。

世界規模で普及が進む農業用ドローン

農業用ドローンの世界市場は急速に拡大しつつあります。グローバルインフォメーションの調査によると、農業用ドローンの世界市場は2020年には12億米ドルでしたが、2025年には57億米ドルに達すると予測されています。CAGR(年平均成長率)は35.9%もの高さです。

日本の農地で農業用ドローンが飛び交う景色が「日常」となるのも、そう遠くないのかもしれません。

農業用ドローンにできること

ドローンによる散布の様子(https://www.youtube.com/watch?v=0C8kOGZttqM)

農業用ドローンは複数の用途があり、どのような作業に使われるかによって必要な機能が異なります。代表的な用途を確認してみましょう。

農薬散布

農薬散布用ドローンは、5〜10Lのタンクに農薬を積んで飛行できる機種です。ドローンの起こす風が液体をミスト状に散布し、さらに作物の枝や葉を揺らします。このため、枝の脇や葉の裏など、通常の散布方法では農薬がかかりにくい場所にも満遍なく農薬が付着します。一度の散布でムラなく施用できるため、結果的に農薬を撒く回数を減らせるのもメリットです。

従来、農薬散布は噴射器や無人ヘリコプターで行われてきました。しかし噴射器は人が背負って使うため作業者に負担がかかり、無人ヘリコプターは運用コストが大きいのが課題です。そこで近年は、初期投資が比較的少なく小型で軽量な農業用ドローンが採用されています。

また、無人ヘリコプターで農薬を散布する場合、通常は機体を所有する企業や団体に依頼して行います。しかしこの場合、スケジュール調整の手間がかかり、必ずしも希望に沿ったタイミングで実施できるとは限りません。一方、農業用ドローンは無人ヘリコプターに比べて購入しやすいため、自身で所有して任意のタイミングで使うこともできます。

肥料散布

肥料散布も農薬散布と基本的な方法は同じです。農薬散布に使われるドローンのタンクを、肥料専用のものに付け替えることで肥料を散布できます。

今後は、場所ごとに施肥量を変えられる技術を開発することで、肥料を最小限に抑えられることが期待されています。

播種

農業用ドローンでの播種はまだ試験段階で、主に米の播種が行われています。空中から水田に直接播種して栽培できれば、種を運搬したり育苗・定植したりする手間が省け、大幅な省力化が可能になるでしょう。

モニタリング・画像撮影

カメラを搭載したドローンを飛ばして圃場や作物を撮影すれば、作物の生育状況や病気の兆候を確認できます。カメラの機能によっては、肥料分の偏り、地温などを調査することも可能です。ドローン自体の性能だけでなく、センサーの性能や画像解析技術との組み合わせで可能となります。広大な農地を管理する場合や、人の入りにくい中山間部で農業を行う場合、ドローンによるモニタリングが活躍するでしょう。

農業用ドローンの強み

DJIのドローン散布の動画 https://www.youtube.com/watch?v=0C8kOGZttqM

肉体的負担の軽減

農薬散布や資材運搬など、重量物を持ち上げる作業は怪我のリスクがあります。また、炎天下の圃場で長時間かけて農薬散布や作物の生育確認をおこなう場合、熱中症の危険もあるでしょう。それらの作業をドローンに行わせることで、作業者の肉体的負担が大幅に減ります。

農業従事者の高齢化が進んでいる日本において、作業者の肉体的負担を軽減する技術は必須です。そのための有力なツールのひとつとして、農業用ドローンは急速に普及してゆくと考えられます。

急峻な地形への対応

中山間部の急峻な地形では、人の歩ける範囲や速度が大幅に制限されてしまいます。ドローンは地形の影響をほとんど受けずに移動できるため、急斜面や河川を越えて作業ができます。

作業時間の短縮

農業用ドローンは時速15km程度で飛行できるため、人が徒歩で圃場を行き来するよりも迅速に作業できます。管理する圃場面積が大きいほど、作業時間はドローンによって劇的に短縮されるでしょう。

農業用ドローンの課題

多くのメリットがあり魅力的な農業用ドローンですが、導入するには課題もあります。

初期投資と維持費

農業用ドローンは初期投資に100万円程度かかります。導入してからも、雨に濡らさないように管理したり、定期点検に出したりする必要があるため、維持費が年間20万円以上必要です。小規模な農家や農薬散布回数の少ない農家にとっては、過剰投資となってしまうでしょう。そこで初期投資を抑えるために、複数の農家が共同購入する事例も増加しています。

企業によっては事前見積もりも行っているので、ドローン購入を検討中の方は一度相談してみてください。

農業用ドローンを使いこなす能力が必要

農業用ドローンの本体重量は、小型のものでも10kg前後、大型になると25kgを超えます。そのうえ農薬タンクや資材を搭載するため、落下事故には細心の注意が必要です。操作技術のあるオペレーターを育成するのは必須であり、加えてドローンに関連する法律の知識も必要となります。

最近ではドローンを操作したことがない方に向けて農業用ドローンの講習会が開かれるようになっています。実際にドローンを購入する前に、講習会を利用して技術を身に着けると良いでしょう。

農業用ドローン使用の注意点

農薬散布は国土交通省への申請が必要

2021年現在、ドローンによる農薬の輸送・散布は「危険物の輸送」「物件投下」に該当します。これらは航空法で規制されている行為であり、実施するには国土交通省への申請が必要です。

ドローンに関する法整備は近年急速に進んでいるので、新たな規制が設けられたり、反対に規制緩和されたりする可能性が常にあります。法律は変わるものだという認識を持ち、最新情報をこまめにチェックしてください。

最大離陸重量25kg以上になると厳しい基準が

ドローン本体にバッテリーや輸送物を積んだときの、離陸可能な最大重量が「最大離陸重量」です。最大離陸重量25kg以上のドローンは、機体の強度や安全性について通常よりも厳しい基準が設けられています。そのためメンテナンスや点検のコストが高くなり、維持費が重石となる可能性もあるでしょう。

農業用ドローンは本体自体が大きいだけでなく、農薬タンクやカメラを積むため、最大離陸重量25kg以上の機種もあります。機体を選定するときは、本体重量だけでなく最大離陸重量も必ず確認してください。

バッテリーの取り扱いは慎重に

ドローンのバッテリーにはリチウムイオン電池またはリチウムポリマー電池が使用されます。これらは、満充電状態で放置したり高温にさらしたりすると発火する場合があるので注意が必要です。バッテリーおよび充電器の説明書を熟読して、過剰な充電をしないよう注意してください。また、バッテリーを保管する際は耐火性の容器に保管します。

ドローンによる農薬散布を代行してくれる企業

初期投資や法規制を考えると、ドローンを導入するのはハードルが高いと感じるかもしれません。そのような場合は、企業による代行サービスを利用するという方法もあります。はじめは外注し、費用対効果が見込めるのであれば購入を検討してみてはいかがでしょうか。

以下では、国内でドローンによる農薬散布の代行を行っている企業を紹介します。外注価格の相場としては、10aで千円〜三千円が多いようです。

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参考サイト