農事組合法人の定款 必要記載事項チェック表の書き方と記入例|無料テンプレート(Excel・PDF)

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集落営農を法人にするときは、まず定款を作ります。農業協同組合法は、農事組合法人の定款に必ず書く事項を決めています。1つでも抜けると、定款をやり直す手間が出ます。

この記事で配るのは、必要な記載事項が漏れなく書けているかを確かめる、チェック表のテンプレートです。定款のひな形は含みません。農業協同組合法と農林水産省の定款例をもとに、記載事項と書き込み欄を並べました。登記や認可の手続は、都道府県や司法書士に確認してください。

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農事組合法人の定款 必要記載事項チェック表の無料テンプレート(Excel・PDF/記入例つき)

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農事組合法人の定款 必要記載事項チェック表とは/なぜ必要か

農事組合法人とは

農事組合法人は、組合員の農業生産の協業を図り、共同の利益を増進することを目的とする法人です(農業協同組合法72条の4)。3人以上の農民が発起人となり、共同して定款を作ります(72条の32)。

設立の流れは、発起人が定款を作って役員を選び、出資制なら出資の払込みを経て、主たる事務所の所在地で設立の登記をする形です。成立の日から2週間以内に、登記事項証明書と定款を添えて行政庁に届け出ます。定款は、この流れの最初に作る書類になります。

このチェック表でわかること

テンプレートで確かめられるのは、次の3つです。

  • 法律で定款に必ず書く事項が、漏れなく書いてあるか
  • それぞれの事項を、農林水産省の定款例の何条で書けばよいか
  • 自分たちの法人では何を決めたか(出資の金額、役員の数、配当の方法など)

定款の全文は入っていません。条文そのものは、農林水産省の定款例と各条の備考を見ながら作ってください。農林水産省の説明では、定款例と違う内容でも、法令で定める必要事項や適切な内容が書かれていれば問題ありません。設立に先立って、所管の行政庁に相談することが望ましいとしています。

1つの都道府県の区域の中を地区とする場合の行政庁は、都道府県です。設立の手続や登記は、都道府県の担当課や司法書士に確認してください。

定款に必ず書く事項

農業協同組合法72条の16は、農事組合法人の定款に次の事項を必ず書くよう定めています。

  1. 事業
  2. 名称
  3. 地区
  4. 事務所の所在地
  5. 組合員たる資格と、組合員の加入・脱退に関する規定
  6. 出資1口の金額とその払込みの方法、1組合員が持てる出資口数の最高限度
  7. 剰余金の処分と損失の処理に関する規定
  8. 利益準備金の額とその積立ての方法
  9. 事業年度
  10. 公告の方法
  11. 役員の定数、職務の分担と任免に関する規定

出資させない法人(非出資農事組合法人)は、6から8を書かなくても構いません。存立時期を定めたときはその時期を、現物出資をする者を定めたときはその者の氏名、出資の目的である財産、価額、与える出資口数も書きます。

1号法人と2号法人

農事組合法人が行える事業は、次の3つです(72条の10)。

  • 1号: 農業に係る共同利用施設の設置(施設を使った組合員の生産物の運搬・加工・貯蔵を含む)、または農作業の共同化に関する事業
  • 2号: 農業の経営(関連する農畜産物の加工などや、農業と併せて行う林業の経営を含む)
  • 1号と2号に附帯する事業

1号の事業だけを行う法人を1号法人、2号の事業を行う法人を2号法人と呼びます。2号の事業を行う法人は、農業経営農事組合法人とも呼ばれます。違いは次の表のとおりです。

項目 1号法人 2号法人
行える事業 共同利用施設の設置、農作業の共同化 農業の経営(1号の事業も併せて行える)
出資 出資制と非出資のどちらも選べる 出資制のみ
組合員 農民 農民以外の者も一定の範囲で加えられる
事業への従事者 表の対象外 常時従事する人のうち、組合員と同じ世帯の人以外が3分の2を超えてはいけない
農地の所有 農地法の農地所有適格法人の要件を満たす必要がある

出資させない法人は、2号の事業を行えません。2号の事業と従事者の割合の決まりは72条の12と72条の13にあります。農地の所有を考えている場合は、農地法2条3項の要件も確かめてください。

記入例

下の記入例は、1号と2号の両方の事業を行う出資制の架空の法人「農事組合法人〇〇ファーム」を想定して書いたものです。事業の区分の欄に「1号・2号」と書き、必要な事項ごとに定款例の条と決めた内容を記入しています。

農事組合法人の定款 必要記載事項チェック表の記入例
農事組合法人の定款 必要記載事項チェック表の記入例(出典:ミノリス 無料テンプレート)

記入例は、必要記載事項の11項目に加えて、存立時期と現物出資を「定めたとき」の欄に置いています。役員の任期、総会、書面・代理人による議決、配当の方法は、法律上の必須事項ではありませんが、定款に書いておく項目として「任意(確認)」の欄にまとめました。

記入例の「〇〇県〇〇市」や法人の名前は架空です。決めた内容に書いた数字も、記入例のための架空の数字です。実際の出資の金額や役員の数は、組合員で話し合って決めてください。

書き方(項目ごと)

チェック表の欄は、区分、記載事項、根拠、定款の条、決めた内容、確認の6つです。上から順に埋めていくと、漏れが見つかります。

欄 書くこと 記入例
区分 必要、定めたとき、任意のどれかを書く 必要
記載事項 法律で決まった事項 出資1口の金額と払込みの方法
根拠(農協法) その事項を定めた条 72条の16(28条1項6号)
定款の条 自分の定款で書いた条の番号 17・18条
決めた内容 法人として決めたこと 1口1万円、全額一時払込み
確認 書いてあることを確かめたら印を付ける チェックの印

区分の欄

区分は3種類に分けています。必要は、定款に必ず書く事項です。非出資の法人は、出資、剰余金、利益準備金の3つを書かなくても構いません。記入例では、この3つに「必要(出資制)」と書きました。

定めたときは、その定めをする場合に書く事項です。存立時期と現物出資がこれに当たります。任意(確認)は、法律上は必須でなくても、定款に書いてあるかを確かめておきたい事項です。

根拠の欄と定款の条の欄

根拠の欄には、農業協同組合法の条を書きます。記入例では、72条の16と、それが準用する28条1項の号を並べました。たとえば事業は28条1項1号、名称は2号、地区は3号です。

定款の条の欄には、農林水産省の定款例の条の番号を入れる形で記入例を作りました。この番号は、自分の定款の条の番号とは違うことがあります。自分の定款を作ったら、実際に書いた条の番号に書き換えてください。定款例は出資制の場合の令和5年3月29日改正版が公開されています。

決めた内容の欄

決めた内容の欄は、組合員で話し合った結果を書く場所です。事項ごとに、記入例を参考に次のように書きます。

事業の欄には、1号、2号、または両方を行うかを書きます。行わない事業は、定款例の備考に従って削ってください。1号だけの法人なのに2号の事業が残っていると、組合員の資格などの書き方と合わなくなります。

名称の欄には、法人の名前を書きます。記入例にあるとおり、名称には「農事組合法人」の文字を入れます。地区の欄には、組合員が農業を営む区域を書きます。事務所の所在地の欄には、主たる事務所を置く市町村までを書いた例を載せました。

組合員の資格の欄には、地区内で農業を営む人や従事する人など、組合員になれる人の条件を書きます。加入の手続と脱退の手続も、ここで確かめます。記入例では、加入は総会の承認、脱退は60日前までの予告で事業年度末としました。

出資の欄には、1口の金額、払込みの方法、1人が持てる口数の上限を書きます。記入例は1口1万円で、全額を一時に払い込む形です。剰余金の処分と損失の処理、利益準備金の額と積立ての方法も、出資制の法人では定款に書きます。

事業年度の欄には、始まりの月日と終わりの月日を書きます。公告の方法の欄には、どの方法で公告するかを書きます。役員の欄には、理事と監事の定数、職務の分担、選任と解任の方法を書きます。

任意(確認)の欄

役員の任期は、3年以内で定款に定めます(農業協同組合法31条1項を73条2項で準用)。総会の招集、定足数、議決、特別決議の決まりも、定款に書きます。組合員は1人1個の議決権をもち、総会に出ない組合員は書面か代理人で議決権を行えます(72条の14)。

配当の方法は、剰余金の配当を事業の利用分量・事業に従事した程度に応じて行うか、払込済みの出資の額に応じて行うかを決めて書きます(72条の31)。出資の額に応じる場合は、年8分以内で政令で定める割合までとされています。

章立ての確認用に、テンプレートには定款の構成シートも付いています。定款例の章立てをもとに、章ごとに決めることを書き出した表です。1号と2号の違いを確かめるシートも付けました。

気をつけること・よくある間違い

行わない事業を定款例のまま残している

1号だけの法人なのに、2号の事業が書いてあるケースです。定款例の備考に従って、行わない事業の部分は削ります。事業の欄を決めてから、組合員の資格などの欄を埋めると、食い違いが減ります。

理事に農民でない人を選ぼうとしている

理事は、農民である組合員でなければなりません(72条の17)。監事は、定款で定めれば置けます。監事は組合員でなくても構いません。役員の定数と資格は、定款に書く前に確かめてください。

非出資で設立して農業の経営をしようとしている

2号の事業である農業の経営は、出資制でなければ行えません。非出資で設立すると、出資、剰余金、利益準備金の記載は省けますが、2号の事業はできなくなります。法人で農業を経営する予定があるかどうかを先に決めてください。

定款を変えたのに届け出ていない

定款を変えたときは、変更の日から2週間以内に、行政庁への届出が必要です(72条の29)。総会で定款を変更したら、届出の期限を日程表に入れておくと忘れません。

定款例と違う書き方をして不安になる

農林水産省の説明では、定款例と違う内容でも、法令で定める必要事項や適切な内容が書かれていれば問題ありません。ただし、どこまで違えてよいかは、地区や事業の内容で変わります。迷った場合は、都道府県の担当課に確認してください。

保存と提出

チェック表は、定款を作る間の社内用の控えです。行政庁に出す書類ではありません。確認した日と、確認した人の名前を残しておくと、定款をあとから見直すときに役立ちます。

設立が済んだら、成立の日から2週間以内に、登記事項証明書と定款を添えて行政庁に届け出ます。定款は、法人の最も基本的な決まりです。紙の原本と、PDFなどの控えを、役員が分かる場所に保管してください。

登記や届出の手続の細かい点は、都道府県の担当課や司法書士に確認してください。配当や給与の税務の扱いは、税理士や税務署に確認してください。

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紙・Excelで続かないときは

農事組合法人では、配当を事業に従事した程度に応じて行う場合があります。その場合は、組合員が事業に従事した日数や時間の記録が、あとから必要になります。定款を作ったあとの運営でも、記録を残す仕組みが必要です。

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ミノリスタイマーには、定款の作成、配当や給与の計算の機能はありません。従事分量配当の金額は、記録した時間などをもとに、法人が定款に従って自分で計算します。作業時間の記録の考え方は、作業時間の記録の記事にまとめました。

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よくある質問

定款に公証人の認証は必要ですか?

株式会社と違い、農業協同組合法には農事組合法人の定款を公証人が認証する規定はありません。設立の登記と行政庁への届出の手続は、都道府県の担当課や法務局に確かめてください。

定款のひな形そのものは、このチェック表に入っていますか?

入っていません。このテンプレートは、定款に書くべき事項の漏れを確かめる表です。条文は農林水産省の定款例と各条の備考を見ながら作ってください。

従事分量配当をするには、何を記録しておけばよいですか?

農林水産省の定款例では、従事分量配当は組合員がその事業年度に事業に従事した日数と、労務の内容・責任の程度などに応じて行うとしています。誰が何日・何時間どの作業に従事したかを記録しておくと、配当の計算の根拠になります。税務の扱いは税理士に確かめてください。

農事組合法人の定款は、農林水産省の定款例と同じでないといけませんか?

同じでなくても構いません。農林水産省の説明では、定款例と違う内容でも、法令で定める必要事項や適切な内容が書かれていれば問題ありません。設立の前に、所管の行政庁へ相談することが望ましいとされています。

総会の議事録や委任状の様式はありますか?

総会議事録と、総会の委任状・書面議決書・出欠票の無料テンプレートがあります。定款で決めた定足数や代理人の決まりに合わせて使ってください。

登記や認可の手続は、このチェック表でわかりますか?

わかりません。設立の登記や行政庁への届出の手続は、都道府県の担当課や司法書士に確認してください。このチェック表は、定款の記載事項の確認に使います。

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まとめ

農事組合法人の定款には、事業、名称、地区、事務所の所在地、組合員の資格、出資、剰余金、利益準備金、事業年度、公告の方法、役員の11事項を書きます。非出資の法人は、出資、剰余金、利益準備金の3つを書かなくても構いません。

1号法人と2号法人では、行える事業と出資の要否が違います。チェック表で漏れを確かめたら、農林水産省の定款例と照らして条文を作ってください。設立の登記や届出は、都道府県の担当課や司法書士に確認し、配当などの税務は税理士に確認してください。

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