残留農薬の自主点検表の書き方と記入例|出荷前の無料テンプレート

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出荷の前日に「最後にまいた薬、収穫何日前までだったかな」と不安になったことはありませんか。残留農薬の自主点検表は、出荷する前に最終散布日と収穫前日数、使用回数、周辺からの飛散の可能性を自分で確かめ、その結果を残しておくための表です。取引先から「残留農薬の管理はどうしていますか」と聞かれたときにも、この記録を見せれば説明できます。

結論を先に書くと、点検のポイントは3つです。ラベルの使用時期(収穫前日数)を守れているか、有効成分ごとの総使用回数が上限内か、隣のほ場からの飛散がなかったか。この記事では、残留農薬に関する制度を一次情報で確認したうえで、点検表の書き方と記入例、よくある間違いを説明します。

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残留農薬の自主点検表の無料テンプレート(Excel・PDF/記入例つき)

出荷前の自主点検(収穫前日数・使用回数・飛散)、分析の記録、飛散対策の記録の3シート。Excelは経過日数と判定を自動計算。

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残留農薬の自主点検とは/なぜ必要か

基準を超えた食品は販売できない(ポジティブリスト制度)

食品に残留する農薬については、いわゆるポジティブリスト制度がとられています。食品ごとに残留基準が決められ、基準を超えて農薬が残留する食品は販売などが禁止されています。残留基準が決められていない農薬については、食品衛生法第13条第3項により「人の健康を損なうおそれのない量」を超えて残留する食品の販売などが禁じられ、この量(一律基準)は0.01ppmとされています。現在、残留基準は消費者庁が設定しており、同庁の「食品中の残留農薬等」のページから基準値のデータベースを確認できます。

農薬を使う側には「使用基準」がある

残留基準を超えないよう、農薬を使う側には農薬取締法にもとづく使用基準があります。「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令」第2条では、食用の農作物に農薬を使うとき、適用作物以外に使わないこと、使用量と希釈倍数の限度を守ること、ラベルに書かれた使用時期以外に使わないこと、有効成分ごとの総使用回数を超えないことが定められています。この基準に違反すると、農薬取締法第47条により3年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金(または併科)の対象になります。

消費者庁は、農薬が基準を超えて残留することのないよう、農林水産省が残留基準に沿って農薬取締法の使用基準を設定していると説明しています。ラベルの使用時期(「収穫7日前まで」など)は、その使用基準の一部です。自主点検表で最終散布日と収穫予定日を並べるのは、この使用時期を守れているかを出荷前に確かめるためです。

見落としやすいのは「隣からの飛散」

自分では基準どおりに使っていても、隣のほ場で散布された農薬が飛んできて付くことがあります。その作物に登録のない農薬が付けば、一律基準の0.01ppmを超えるおそれがあります。農林水産省は「残留農薬のポジティブリスト制度と農薬のドリフト対策について」のページで、飛散防止対策の手引きやドリフト低減型ノズルの資料をまとめています。国際水準GAPガイドラインの取組事項(青果物)でも、番号48で「隣接ほ場からの農薬ドリフトの影響の回避」が挙げられています。

分析は義務ではない

消費者庁のポジティブリスト制度Q&Aでは、この制度は検査(分析)の実施を義務付けるものではないとされています。分析をするかどうか、どの成分をどの頻度で調べるかは、取引先の求めや飛散の状況に応じて決めることになります。だからこそ、分析をしない出荷でも「何を確かめたか」を残しておく自主点検表が役に立ちます。

記入例

出荷前 残留農薬の自主点検表の記入例
出荷前 残留農薬の自主点検表の記入例(出典:ミノリス 無料テンプレート)

記入例の1行目は、ミニトマト(東1号)の点検です。最後に使った〇〇水和剤は6月10日散布、ラベルの使用時期は「収穫前日まで」なので収穫前日数は1日。6月13日に収穫するので経過日数は3日で、判定はOKです。使用回数は2回で上限3回の範囲内です。

2行目のほうれんそうは、6月5日に隣の水稲で散布があったため、「周辺からの飛散の可能性」の欄に書き、分析を依頼しています。3行目のえだまめは、6月15日に「収穫14日前まで」の粒剤を使ったのに、6月21日に収穫する予定だったので経過日数が6日しかなく、判定はNGです。Excel版では、収穫してよい最も早い日(6月29日)が自動で表示されます。

書き方(項目ごと)

出荷前の自主点検(1枚目)

欄 書くこと 記入例
点検日/収穫(出荷)予定日 点検した日と、収穫する予定の日 2026/6/12/2026/6/13
作物・ほ場 出荷する作物と、収穫するほ場 ミニトマト・東1号
最後に使った農薬/最終散布日 そのほ場・作物に最後に使った農薬と日付。同じ時期に複数使っていればすべて 〇〇水和剤/2026/6/10
ラベルの収穫前日数 ラベルの使用時期を日数に置き換える(収穫前日まで=1、収穫7日前まで=7) 1
経過日数・判定 最終散布日から収穫日までの日数と、守れているか 3・OK
使用回数/上限 今作で使った回数と、ラベルの総使用回数の上限 2/3
周辺からの飛散の可能性 近くのほ場で散布があったか、その後どうしたか 隣の水稲で散布あり→分析を依頼
点検者 確かめた人 山田

収穫前日数の判定は、「収穫予定日−最終散布日」が「ラベルの日数」以上ならOKです。えだまめの例では、6月21日−6月15日=6日で、14日に足りません。収穫してよい最も早い日は、6月15日+14日=6月29日になります。

複数の農薬を使っている場合は、最後にまいた1剤だけでなく、それぞれの農薬について確かめます。たとえば、収穫21日前までの殺虫剤を10日前に、前日までの殺菌剤を2日前にまいていた場合、最後にまいた殺菌剤は問題なくても、殺虫剤が使用時期を守れていません。

分析の記録(2枚目)

分析機関に残留農薬の分析を頼んだときに使います。採取日、採取したほ場と作物、分析機関、分析した成分、結果(「不検出」または数値と単位ppm)、その作物の残留基準値を書きます。分析結果の報告書は別に保管し、表には報告書の番号を書いておくと照合しやすくなります。

飛散対策の記録(3枚目)

自分が散布するときの対策と、周辺で散布があったときの状況を残します。自分の散布については、日時、風向き・風の強さ、使ったノズル、周辺への事前の連絡を書きます。周辺の散布については、日付、散布した人(わかる範囲で)、散布された作物と農薬、自分の作物との距離、その後の対応(出荷の見合わせ、分析の依頼など)を書きます。

気をつけること・よくある間違い

使用時期を「散布してから○日たてばいい」と数え間違える

「収穫7日前まで」は、収穫する日の7日前までに使い終えるという意味です。日付の引き算を頭の中で済ませると1日ずれることがあるので、表に日付を2つ書いて計算します。

ラベルの「使用時期」を確認せず、前作の記憶で判断する

同じ商品名でも、作物によって使用時期や回数が違います。登録内容が変更されることもあるので、農林水産省の農薬登録情報提供システムで、作物名と農薬名から最新の登録内容を確かめます。

商品ごとに回数を数える

総使用回数の上限は有効成分ごとです。商品名が違っても同じ成分を含んでいれば回数は合算されます。数え方は農薬の使用回数に上限がある理由と正しい数え方で詳しく解説しています。

収穫が連続する作物で、途中の散布を見落とす

トマトやきゅうりのように毎日収穫する作物では、収穫期間中に散布すると、その後の収穫日すべてが点検の対象になります。散布した日の点検表に、次に収穫できる日を書いておくと、翌日以降の収穫で迷いません。

隣のほ場の散布を記録していない

飛散があったかどうかは、後から思い出せません。隣接ほ場の持ち主と散布日を連絡し合い、散布があった日と作物を残しておくと、分析が必要かどうかを判断しやすくなります。

点検表だけ書いて、元の防除記録がない

点検表は防除の記録を見ながら埋めるものです。元になる散布の記録がなければ、最終散布日も使用回数も確かめられません。防除の記録の付け方は防除日誌(農薬使用記録簿)の書き方を参考にしてください。

NGが出たのに出荷してしまう

判定がNGなら、その日の出荷は見合わせ、収穫してよい日まで待ちます。取引先との約束があっても、使用時期を守らずに収穫すれば使用基準違反になりうることを忘れないでください。

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紙・Excelで続かないときは

出荷前の点検で手間がかかるのは、防除記録をさかのぼって、最終散布日と回数を拾い出す作業です。散布の記録がノートや紙の様式に散らばっていると、点検のたびに探すことになります。

当社のミノリス日誌は、散布したその場で農薬をスマホに記録できる無料アプリです。登録農薬の一覧から選ぶだけで記録でき、使用回数の上限と収穫前日数をその場で確認できます(農薬適用情報10万件以上)。作付けごとに農薬・肥料・作業・収穫の記録が時系列でまとまるので、「このほ場で最後に何をまいたか」がすぐにわかります。記録は栽培履歴としてCSV・Excelで出力でき、出荷先への提出にも使えます。

一方で、残留農薬の分析結果を管理する機能や、隣接ほ場の散布を記録する専用の機能はありません。分析と飛散対策の記録はこの点検表のシートで残してください。収支管理やGPSによる作業の自動記録にも対応していません。

最終散布日をすぐ確かめるなら「ミノリス日誌」

散布したその場で記録でき、使用回数の上限と収穫前日数をその場で確認できます。

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よくある質問

JAや出荷先の点検表があります。これを使ってもいいですか?

指定の様式がある場合は、そちらを使ってください。このテンプレートは、指定様式に書き写す前の確認用や、自分用の控えとして使えます。

残留農薬の分析は毎回しないといけませんか?

ポジティブリスト制度は分析を義務付けてはいません。ただし取引先から分析結果を求められることがあります。どの頻度で何を分析するかは、取引先と相談して決めてください。

隣のほ場の農薬がかかったかもしれません。どうすればいいですか?

散布された日・相手・農薬・自分の作物を記録し、出荷の見合わせや分析を検討します。対応に迷うときは、都道府県の病害虫防除所や普及指導センター、JAに相談してください。

自分の作物の残留基準値はどこで調べますか?

消費者庁の「食品中の残留農薬等」のページから、基準値を調べられるデータベースが案内されています。農薬の使用基準は残留基準に沿って設定されているので、登録内容どおりに使っていることを点検表で確かめておくことが、基準値を調べることと同じくらい大切です。

家庭菜園の野菜を直売所に出すときも必要ですか?

販売する以上、食品衛生法の残留基準はすべての食品に適用され、農薬の使用基準も守る必要があります。点検表の作成そのものは義務ではありませんが、直売所によっては生産履歴の提出を求めるところもあるので、出荷先に確認してください。

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まとめ

残留基準を超えた食品は販売できず、基準のない農薬には0.01ppmの一律基準がかかります。農薬を使う側は、ラベルの使用時期と有効成分ごとの総使用回数を守ることが省令で義務づけられています。出荷前の自主点検では、最終散布日と収穫前日数、使用回数、隣からの飛散の3点を確かめ、結果を残します。

分析は義務ではありませんが、何を確かめたかを記録しておけば、取引先への説明にも使えます。無料の自主点検表で日付の計算を仕組みにして、出荷前日の不安をなくしていきましょう。

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