坪刈り収量調査表の書き方と記入例|10a収量の換算方法つき無料テンプレート(Excel・PDF)

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収穫前の田んぼで「今年は何キロ採れそうか」を知りたいときに行うのが、坪刈りです。田んぼの一部を刈り取って玄米の重さを量り、10a当たりの収量に直します。坪刈り収量調査表は、刈った株数、玄米の重さ、水分、ふるい目を1行ずつ書き込み、10a当たり収量を計算するまでの記録です。品種や施肥を変えた田んぼを比べたいときや、コンバインで実際に収穫した量と見比べたいときに使います。

坪刈りの記録そのものを義務づける法令はありません。ただし農林水産省は作物統計の収穫量調査で、無作為に選んだ水田の稲を刈り取り、玄米の重さを量っています。県の生育・収量調査の手引きにも、坪刈りの手順があります。この記事は、それらの公的資料をもとに、調査表の書き方と記入例、水分換算とふるい目のそろえ方を説明するものです。

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坪刈り収量調査表とは/なぜ必要か

坪刈りは「刈ってから量る」実測調査

坪刈りは、圃場の中から平均的な場所を選び、一定の面積の稲を刈り取って脱穀、乾燥、もみすりをして玄米の重さを量る調査です。名前のとおり1坪(約3.3㎡)を刈るのが一般的ですが、面積は決まっておらず、刈った株数と条間・株間から計算して出します。

兵庫県の生育・収量調査法は、坪(3.3㎡)刈りを生育調査の付近の中庸な場所で1か所、できれば2か所行うとしています。坪刈りができない場合の代替法は、連続した欠株のない20〜30株を2か所で調べる方法です。

国の収穫量調査も同じ考え方で量っている

農林水産省の資料「水稲収穫量調査の仕組み」によると、国の収穫量調査では、全国の水田から約1万200筆(資料作成当時)を無作為に抽出しています。収穫期には、抽出した筆ごとに3㎡分の稲を刈り取り、脱穀、乾燥、もみすりをして玄米にします。

その玄米を農産物規格規程の三等以上の品位に相当するよう、ふるい目幅1.7mm以上のものに選別して重さを量り、コンバインロスなどを加味して10a当たり収量を決める流れです。自分の坪刈りも、刈る、量る、換算するという流れは同じです。

作況単収指数と坪刈りの関係

国は2025年産から、これまでの「作況指数」にかえて「作況単収指数」を公表しています。比べる基準は、前年産までの5年のうち最高と最低を除いた3年の平均収量です。統計の仕組みは作況単収指数の解説記事にまとめました。

農林水産省は、生産者の経営体に郵送やオンラインで回答してもらう調査への移行に向けて、2025年9月から11月に試行調査を行いました。いずれにしても、こうした統計は地域全体の値なので、自分の田んぼの坪刈りの結果とは、調査の方法も対象も違います。自分の数字は、前年の自分の記録や、同じ地域の別の圃場と比べて使うのが向いています。

記入例

下の記入例は、条間30cm・株間22cmで植えた水稲の田んぼで、2か所を50株ずつ刈った想定です。1株当たり0.30m×0.22m=0.066㎡なので、50株で3.30㎡になります。玄米水分は15%に換算する設定で、1か所目は精玄米1,820g・水分16.0%、2か所目は精玄米1,760g・水分15.5%でした。

坪刈り収量調査表の記入例
坪刈り収量調査表の記入例(出典:ミノリス 無料テンプレート)

1か所目は、1,820g×(100−16.0)÷(100−15)=約1,799gに換算し、これを3.30㎡で割って10a当たり545kgとなります。2か所目は同じ計算で約1,750g、530kgです。2か所の平均538kgが、この圃場の坪刈りの結果になります。右端のメモ欄には、圃場の中ほど、排水口側など、刈った場所を残してあります。

屑米の割合は、粗玄米重から精玄米重を引いた量を粗玄米重で割った値です。1か所目は(1,950−1,820)÷1,950=6.7%でした。屑米が多い年は、籾すりの前後で選別の条件を変えていないかも確認します。

書き方(項目ごと)

調査表の上段にある圃場名、品種、刈取り日、条間と株間、基準にする水分、調査者の6項目から順に説明します。

圃場・品種・刈取り日・調査者

圃場名は、日誌や出荷の記録と同じ呼び名にそろえてください。品種名と刈取り日も必ず残します。翌年に見返すと、いつの時点の数字かが分かります。調査者の欄は、刈った人と量った人の名前です。

条間×株間(cm)

刈る前に、条間と株間を物差しで測って書いてください。兵庫県の手引きも、株間と条間の測定を求めています。数か所を測って平均すれば、面積の計算が安定します。

直播の田んぼには株間がありません。条間だけを測り、刈り取る条の長さから面積を出してください。この調査表は移植栽培を前提にしているため、直播では面積の欄を直接書き換えてください。

基準にする水分(%)

収量を何%の水分の玄米として表すかを決めて、先に書いておきます。兵庫県の調査法は14.5%、広島県の調査法は15%への換算です。県や産地で決め方が違うので、前年の記録や地域の資料と比べるなら、相手と同じ値にそろえてください。

迷ったときは15%で始め、翌年からも同じ値を使い続けます。年によって基準が変わると、年ごとの比較ができなくなります。

調査箇所と刈取り株数

調査箇所の欄は、刈った場所の番号です。刈取り株数の欄には、実際に刈った株の数を書きます。数えにくいときは、先に条の数と1条当たりの株数を決めてから刈るとよいでしょう。

場所は、圃場の中でも生育が中くらいのところです。兵庫県の手引きは、生育調査の株の付近で、連続して欠株のない場所を選ぶとしています。畦畔ぎわや水口、倒伏した部分を避ければ、圃場全体に近い数字が得られます。

刈取り面積(㎡)

刈取り面積は、刈取り株数×条間(m)×株間(m)です。50株で条間30cm・株間22cmなら、50×0.30×0.22=3.30㎡です。1坪を3.3㎡と決めつけず、毎回この式で計算してください。

1坪(約3.3㎡)を刈るのに必要な株数は、1坪÷(条間m×株間m)で出せます。条間30cmで株間22cmなら50株、株間18.3cmなら約60株です。

粗玄米重(g)

刈った稲を乾燥させ、脱穀して、もみすりをした玄米全体の重さを量ります。ふるいにかける前の重さなので、屑米も含まれます。兵庫県の手引きでは、坪刈りした稲を収量調査の時点まで乾燥しておく手順です。

稲は、刈ったあとに十分乾かしてから脱穀します。乾きが足りないまま量ると、水分の測定値が大きく動き、あとの換算に響きます。

ふるい目(mm)と精玄米重(g)

粗玄米をふるいにかけ、網の上に残った玄米が精玄米です。その重さを量り、使ったふるい目の幅を必ずふるい目の欄に書いてください。

ふるい目の幅は、比べる相手によって違います。国の収穫量調査は1.70mm以上の玄米が対象です。兵庫県の手引きは、うるち米で1.80mm、もち米で1.85mmとしています。広島県の調査法は、屑米を粒厚1.7mm未満のものとし、通常は1.8mmを使うと書いています。

玄米水分(%)

玄米水分の欄は、精玄米で測った値です。兵庫県の手引きは、無作為に3回測る方法をとっています。1回の値は揺れやすいので、3回の平均を書くと安定します。

広島県の調査法は、玄米水分の測定を105℃で24時間乾燥させる方法を原則とし、水分計を使う場合は一部の試料を105℃の方法でも測って補正する、という内容です。水分計の値は、補正が要る場合があります。

水分換算後の精玄米重(g)

測った水分が基準と違うと、玄米の重さがそのままでは比べられません。次の式で基準の水分に直します。

水分換算後の重さ=精玄米重×(100−測った水分)÷(100−基準の水分)

兵庫県の手引きにも、測定水分F%でAgの場合はA×(100−F)÷(100−14.5)という同じ形の式が載っています。水分16.0%の1,820gを15%に直すと、1,820×84÷85で約1,799gです。

10a当たり精玄米重(kg)

換算後の精玄米重(g)を刈取り面積(㎡)で割ると、そのままkg/10aになります。1㎡当たり1gは、1,000㎡(10a)当たり1kgに当たるためです。1,799g÷3.30㎡で、約545kgとなります。

農林水産省の資料でも、3㎡分の刈取りには、1,000㎡÷3㎡=333.3という換算率を掛けています。粗玄米1,686gの例では、1,686g×333.3で562kgです。そこに選別後の玄米にあたる割合を掛けて、551kgとしています。

屑米の割合(%)とメモ

屑米の割合は、(粗玄米重−精玄米重)÷粗玄米重×100で出します。年ごとの登熟や、選別の厳しさの違いを見る手がかりです。メモ欄には、刈った場所の様子、倒伏の有無、天候などを一言残します。

収量構成要素のシート(穂数・籾数・登熟歩合・千粒重)

テンプレートには、収量構成要素を調べる別シートがあります。兵庫県の手引きでは、成熟期に調べた20株の平均穂数に近い株を2株、根をつけたまま採るとされています。坪刈りと同じように乾燥させてから調べる手順になっています。

1穂籾数は全籾数÷全穂数、登熟歩合は(全籾数−屑米数)÷全籾数×100です。千粒重には、精玄米25g前後の粒数を数えて換算する方法と、1,000粒の重さを2回測って平均する方法があります。いずれも手引きにある方法です。収量が多かった年と少なかった年で、穂数、籾数、登熟のどれが違ったかを見比べる材料になります。

気をつけること・よくある間違い

刈った面積を1坪と決めつける

株間が違えば、50株刈っても3.3㎡にはなりません。毎回、株数と条間・株間から面積を計算します。同じ圃場でも、植えた年の機械の設定によって株間は変わります。

水分をそろえずに比べる

稲の乾き具合で玄米の重さは変わるので、水分を基準にそろえないと、年ごとや圃場ごとの比較ができません。基準の水分は、調査表の上段に必ず書いてください。

粗玄米重で収量を出す

粗玄米には屑米が入っています。屑米を含む重さの収量と、ふるい後の精玄米から出した収量を混ぜて比べると、前者が多く見えてしまいます。収量は、精玄米重から出した数字で記録してください。

生育のよい場所を選んで刈る

圃場でいちばん育ちのよい場所を刈ると、平均より多い数字が出ます。反対に、水口や畦畔ぎわだけだと少なく出ます。手引きのとおり、生育が中くらいの場所を選び、できれば2か所以上で刈ってください。

ふるい目の違いを書き忘れる

同じ玄米でも、ふるい目が1.70mmか1.85mmかで、残る量は変わります。農林水産省の資料には、ふるい目幅別の10a当たり収量が載り、幅が大きいほど収量は小さくなっています。使ったふるい目は毎回書いてください。

刈った稲の乾燥が足りない

刈ってすぐに脱穀・もみすりをすると、水分が高いままで重さが安定しません。乾燥して水分を落ち着かせてから、脱穀、もみすり、計量に進みます。

1か所だけの結果を圃場の収量とする

1か所だけだと、その場所のむらがそのまま結果に出ます。調査箇所は2か所以上にして、平均を取ってください。調査表の2行目以降に書き足せます。

実収や統計の数字と比べるとき

坪刈りの数字と、コンバインで収穫した実収が合わないことはよくあります。坪刈りは稲を手で丁寧に刈るため、コンバインでのロスや、圃場の端、生育のむらが数字に入りません。国の収穫量調査も、刈取りの結果にコンバインロスなどを加味して10a当たり収量を決めています。

農林水産省の資料の例では、10a当たり玄米重551kgにコンバインロス率等0.980を掛け、540kgとしています。この係数は資料に載る一例ですが、手元の坪刈りと実収の差を考える目安です。実収も作付けごとに残しておけば、翌年も同じ形で比べられます。

国や県の統計と並べるときは、ふるい目と基準の水分を確認してください。公表値には、ふるい目幅別の数字もあります。自分の坪刈りと同じ幅の列を選んで比べます。

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紙・Excelで続かないときは

坪刈りの結果は、収穫した実績と並べて見て初めて役に立つものです。ところが、坪刈りの表は紙やExcelに、収穫量は別の帳面にというように記録が離れてしまうと、翌年に見返す手間が増えます。

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坪刈りの面積計算、水分換算、10a当たり収量の自動計算には対応していません。収量構成要素を調べる機能もないので、この記事のテンプレートで計算してから、結果をメモとして添えてください。収穫の実績は日誌に残せるため、坪刈りの見込みと実収を見比べる材料になります。

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よくある質問

坪刈りの収量と、実際に収穫した量が合いません。

坪刈りは稲を丁寧に刈り取って量るため、コンバインでのロスや、圃場の端、生育のむらが入りません。このため、実収より多めに出ることがあります。国の収穫量調査でも、刈取りの結果にコンバインロスなどを加味して10a当たり収量を決めています。

1坪は何株ですか?

株数は条間と株間で決まります。1坪(約3.3㎡)÷(条間m×株間m)で計算します。条間30cmなら、株間22cmで50株、株間18.3cmで約60株です。

水分は何%に換算すればいいですか?

決まった値はなく、比べる相手に合わせます。兵庫県の調査法は14.5%、広島県の調査法は15%です。自分の記録だけを比べるなら、毎年同じ値にそろえれば問題ありません。

作況単収指数と比べられますか?

作況単収指数は、地域全体を対象にした統計から出す値で、ふるい目や調査の方法も自分の坪刈りと違います。比べるときは、あくまで目安として見てください。

何か所刈ればよいですか?

兵庫県の手引きは、坪刈りを生育調査の付近の中庸な場所で1か所、できれば2か所とし、坪刈りができない場合は連続した20〜30株を2か所で調べるとしています。2か所以上刈って平均を取ると、1か所のむらに左右されにくくなります。

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まとめ

坪刈り収量調査表は、刈取り株数と条間・株間から面積を出し、精玄米重を基準の水分に換算して、10a当たり収量を計算する表です。ふるい目と基準の水分をそろえて書けば、前年の自分の記録や、県の調査法の数字と比べられます。穂数、籾数、登熟歩合、千粒重を調べると、収量が増減した理由も考えやすくなります。

調査の方法は、県やJA、取引先ごとに細かく違うので注意が必要です。提出先に指定の様式があるときは、そちらを優先してください。テンプレートで刈り方と計算を確かめたら、地域の普及指導機関にも確認すると確実です。

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