地代(賃借料)支払台帳の書き方と記入例|無料テンプレート(Excel・PDF)

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借りている農地が増えると、地代の支払いは地権者ごとに期日も方法もばらばらになります。口座振込の人もいれば、米で渡す人もいます。農地中間管理機構(農地バンク)を通した分は、機構の決まった日に引き落とされます。頭の中だけで管理すると、払い忘れや二重払いが起きます。

この記事では、農地法の条文と、各県の機構や市町村が公表している資料をもとに、地代(賃借料)支払台帳の各欄の書き方を説明します。地代の経費計上や源泉の扱いなど、税務の判断には踏み込みません。税金に関わる部分は、税理士や税務署に確認してください。

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地代(賃借料)支払台帳の無料テンプレート(Excel・PDF/記入例つき)

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地代(賃借料)支払台帳とは/なぜ必要か

地代(賃借料・小作料)支払台帳は、借りている農地の地代を、地権者ごとに1行で管理する台帳です。貸し手、農地の地番と面積、契約の期間、10aあたりの賃料、年額、支払方法、支払期日、実際に払った日と金額を、1枚にまとめます。

使う場面は、おもに4つあります。年末に、誰にいくら払うかをまとめて確かめるとき。払い忘れや二重払いがないかを確かめるとき。契約の終わりが近い農地を見落とさないようにするとき。地権者や機構に、いつ何を払ったかを聞かれたときです。

支払台帳を作ることは、法令の義務ではありません。農地の賃貸借契約書とあわせて、支払いの控えとして使います。契約書には賃料の決まりが書いてあり、台帳には実際に払った日と金額が残ります。この2つを照らし合わせれば、約束どおりに払えているかを確かめられます。

地代の決め方と相場の調べ方

地代の額は、貸し手と借り手の話し合いで決めます。機構を通した契約では、機構を交えた協議になります。以前あった「標準小作料」の制度はなくなりました。今は市町村の農業委員会が、実際に結ばれた賃貸借の10aあたり賃借料(平均・最高・最低)を「農地の賃借料情報」として公表しています。

たとえばさいたま市の令和7年の情報では、田の平均が10aあたり年5,600円、畑の平均が8,200円でした。使用貸借と物納は集計から除外されています。地域や条件で大きく違うため、自分の市町村の情報を確かめてください。

農地中間管理機構を通した支払い

機構を通して借りている農地は、借り手が機構に賃料を払い、機構が貸し手に払う方法が一般的です。佐賀県農業公社では、借り手の口座から毎年12月10日に振替え、貸し手へは12月25日に振り込むとされています。福井県の機構では、借り手の引き落としは原則11月末、貸し手への入金は原則12月末です。貸し手の同意があれば、米での物納もできるとされています。

徴収日、支払日、物納の扱いは、県の機構ごとに違います。機構からの通知書で確かめて、支払期日の欄に書いておいてください。

法令上の位置づけ

農地法第21条は、農地の賃貸借契約について、存続期間、借賃の額、支払条件などを書面で明らかにするよう定めています。台帳の各欄は、この契約書の内容を支払いの管理に使える形にしたものです。

期間の定めがある賃貸借は、満了の1年前から6か月前までに「更新しない」と通知しなければ、同じ条件で更新したものとみなされます(農地法第17条)。ただし、農地中間管理権にかかる賃貸借や、農用地利用集積等促進計画で設定された賃借権などは、この規定の対象外です。

借賃が経済事情の変動や近くの農地の借賃と比べて不相当になったときは、当事者が将来に向かって増額か減額を請求できます(農地法第20条)。台帳の年額を見直すときは、この規定も思い出してください。

記入例

下の記入例は、貸し手が3人いる架空の農家が、2026年分の地代を記録した想定で書いたものです。佐藤一郎さんの農地は機構経由で、10aあたり8,000円です。高橋次郎さんは相対の契約で6,000円です。田中三郎さんの賃料は、物納の玄米30kgになります。

地代(賃借料)支払台帳の記入例
地代(賃借料)支払台帳の記入例(出典:ミノリス 無料テンプレート)

用紙は横向きで、左から貸し手、地番、面積、契約の経路、契約期間、10aあたり賃料、年額、支払方法、支払期日、支払日、支払額、メモの順に並んでいます。1行が1人の地権者の1契約に当たります。

佐藤さんの農地は17.2aなので、年額は8,000円×17.2÷10で13,760円です。機構が12月10日に借り手の口座から振り替え、貸し手への支払いは機構が行うため、メモに「機構から貸し手へ支払い」と書きました。田中さんは8.5aで、10aあたり玄米30kgの物納なので、年額は玄米25.5kgです。実際には1袋に切り上げて30kgを渡したので、その旨をメモに残しています。

記入例の地番、面積、金額、氏名は架空の数字です。実際の額は、自分の契約書と機構の通知書で確かめて書いてください。

書き方(項目ごと)

テンプレートはExcelとPDFの2種類です。Excelには支払台帳のシートと、契約の終期と更新の通知期限をまとめる契約一覧のシートがあります。手書きで使う場合は、PDFを印刷してください。

貸し手(地権者)と所在・地番

貸し手の欄には、地代を受け取る人の氏名を書きます。機構を通した契約でも、農地の持ち主である貸し手を書きます。支払いは機構に対して行いますが、どの地権者の農地かが分からなくなるためです。

所在・地番の欄には、借りている農地の地番を書きます。契約書や登記簿に載っている表記のとおりに写してください。1人の地権者から複数の筆を借りている場合は、筆ごとに行を分けると、面積と賃料の計算が楽になります。

面積と契約の経路

面積の欄には、契約書にある面積を書きます。単位はa(アール)です。実測した面積と契約書の面積が違うときは、契約書の面積に合わせてください。賃料の計算の元になるのは契約書の面積です。

契約の経路の欄には、地権者と直接結んだ契約(相対)か、農地中間管理機構を通した契約かを書きます。この違いは、支払いの相手、更新のしくみ、支払日の決まり方に影響します。記入例では、佐藤さんが機構、高橋さんと田中さんが相対です。

契約期間

契約書の始期と終期を、年月日で書きます。記入例の高橋さんは2024年4月1日から2029年3月31日までです。この欄の日付は、あとで契約一覧に書く終期と同じになります。

10aあたり賃料と年額

10aあたり賃料の欄には、契約で決めた単価を書きます。物納の場合は、金額のかわりに品目と量を書きます。記入例の田中さんは、玄米30kgです。

年額の欄には、10aあたり賃料に面積(a)を掛けて、10で割った値を書きます。高橋さんは10.0aで6,000円なので、6,000円×10.0÷10で6,000円です。面積がaのまま10aあたりの単価を掛けると、10倍の額になってしまいます。10で割る手順を忘れないでください。

支払方法と支払期日

支払方法の欄には、口座振込、機構の口座振替、物納などを書きます。記入例では、佐藤さんが機構の口座振替、高橋さんが口座振込、田中さんが物納(持参)です。

支払期日の欄には、契約や通知書で決まっている期日を書きます。機構を通した契約は、機構の通知書にある引き落としの日を書いてください。相対の契約で期日の決まりがないときは、貸し手と話し合って決めた日を書き、その旨をメモに残します。

支払日・支払額

支払日と支払額の欄には、実際に払った日と金額を書きます。支払期日と並べて見られるので、期日に間に合ったか、金額に過不足がないかが分かります。年に複数回に分けて払う契約では、行を増やして書いてください。

物納の場合の支払額の欄には、渡した量を書きます。記入例の田中さんは、2026年12月15日に玄米30kgを渡しました。年額の25.5kgより多いのは、1袋に切り上げたためです。この差は、メモに書いておくと、翌年に迷いません。

メモと契約一覧

メモの欄には、振込手数料をどちらが負担するか、端数をどう扱ったかなどを書きます。高橋さんの行には「振込手数料は借り手負担」と書きました。振込の控えを保管している場合は、「振込控え 12/20」のように、どれが対応する控えかも書けます。

契約一覧のシートには、地権者ごとに、権利の種類、設定の根拠、始期、終期、更新しない旨を通知する期間を書きます。権利の種類は、賃借権か使用貸借かといった区別です。設定の根拠は、相対の契約か、機構を通した契約かといった区別になります。終期と通知期間を並べておくと、更新の判断をいつまでにするかが一覧で見えます。

気をつけること・よくある間違い

面積の単位を取り違える

賃料は10aあたりで決めることが多いため、面積がaのときは「÷10」の手順が要ります。電卓で計算してから書いてください。

機構を通した農地の地代を地権者に直接払ってしまう

機構を通した契約では、借り手は機構の決まった方法で払います。地権者に直接払うと、機構からも貸し手へ支払われ、二重払いになるおそれがあります。契約の経路の欄を埋めておけば、直接払ってよい農地かどうかを、台帳で判断できます。

契約の終期を見落とす

相対の賃貸借は、通知がなければ法定更新されます。機構を通した契約は、期間が来れば終わります。農地法第17条の更新の規定が対象外になっているためです。続けたいときは、終期の前に、機構や市町村へ相談してください。契約一覧に終期を書いておくと、見落としが減ります。

支払期日が契約ごとに違うことを忘れる

記入例だけでも、12月10日、12月25日、12月中と、3つの期日が並んでいます。年末に支払いが集中するので、期日の欄を見て、早い順に並べて確認してください。

物納の量を金額に直して書く

物納の契約は、品目と量で賃料が決まっています。台帳にも、品目と量のまま書いてください。金額に換算した額は、米の価格や年の区切りで変わるので、台帳の欄には書かないほうが混乱しません。金額が必要なときは、税理士や税務署に確かめてください。

口約束の貸し借りを台帳に書かない

書面のない貸し借りでも、地代を払っているなら台帳に行を作ります。農地法第21条は、契約を書面で明らかにするよう定めています。契約書がない農地があれば、地権者と話し合って、契約書を作ってください。農地賃貸借契約書の書き方は、別の記事で説明しています。

保存と見直し

台帳は、毎年の支払いが終わった時点で記入を済ませ、年ごとに保管します。振込の控え、機構からの通知書、地権者からの領収書は、台帳の行と対応させて、いっしょにまとめておいてください。メモ欄の記載を手がかりにすれば、あとから探せます。

契約の更新や地権者の変更があったときは、新しい行を作り、古い行は消さずに残します。誰からいつまで借りていたかの履歴が残るからです。相続などで貸し手が代わったときは、新しい貸し手の氏名を書き、契約書や機構の通知書の名義と照らし合わせてください。

年に1回は、契約一覧を見直します。終期が1年以内に来る農地、更新しない旨の通知の期限が近い農地、賃料を見直したい農地を、ここで洗い出してください。賃料を変えるときは、相対なら地権者と話し合って書面に残し、機構を通した契約なら機構の手続きに従います。

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紙・Excelで続かないときは

借りている農地が増えると、地代の台帳と圃場の管理を別々に持つことになります。どの圃場がどの地権者の農地かを、地図で確かめたい場面も出てくるでしょう。

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  • 借りている圃場も含めて圃場を登録し、地図に範囲を描いて面積を確かめられる
  • 圃場ごとに住所やメモを残せるので、地権者名などを控えておける
  • 圃場・作付けごとに作業・肥料・農薬・収穫を記録でき、写真も残せる
  • 栽培履歴をCSV・Excelで出力できる

ミノリス日誌には、地代の計算、支払いの管理、支払台帳の作成の機能はありません。契約の終期や更新の通知期限を知らせる機能もありません。地代の計算と支払いの管理は、この台帳で行ってください。圃場の登録のしかたは、ミノリス日誌の圃場のマニュアルで説明しています。

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よくある質問

無償で借りている(使用貸借の)農地も書くべきですか?

地代の支払いはありませんが、契約一覧に書いておくと、借りている農地を漏れなく把握できます。年額の欄は「0円(使用貸借)」とします。使用貸借の契約書の書き方は、別の記事にまとめました。

支払いの記録として何を残せばよいですか?

振込の控え、機構からの通知書、地権者からの領収書などを、この台帳の行と対応させて保管してください。メモ欄に「振込控え 12/20」のように書いておくと探しやすくなります。

賃料を変えたいときはどうすればよいですか?

相対の契約なら地権者と話し合い、合意した内容を書面に残します。機構経由の契約は、機構の手続きに従います。機構によっては、貸し手の同意が必要です。経済事情の変動などで借賃が不相当になったときは、農地法第20条により、当事者が将来に向かって増額か減額を請求できます。

地代の相場は、どこで調べられますか?

市町村の農業委員会が公表している「農地の賃借料情報」で調べます。実際に結ばれた賃貸借の10aあたり賃借料の平均・最高・最低が載っています。地域や条件で大きく違うので、自分の市町村の情報を確かめてください。

契約の終わりが来たら、農地はどうなりますか?

相対の賃貸借は、満了の1年前から6か月前までに「更新しない」と通知しなければ、同じ条件で更新したものとみなされます(農地法第17条)。機構経由の契約は、期間が来れば終わります。続けたいときは、早めに機構や市町村に相談してください。

米などの物納の場合は、台帳にどう書きますか?

10aあたりの賃料の欄に品目と量を書き、年額の欄にも面積から計算した量を書きます。記入例の田中さんは、10aあたり玄米30kgで8.5aなので、年額は玄米25.5kgです。金額への換算や、年をまたぐ扱いに迷うときは、税理士や税務署に確かめてください。

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まとめ

地代(賃借料)支払台帳には、貸し手、地番、面積、契約の経路、契約期間、10aあたり賃料、年額、支払方法、支払期日、実際の支払日と金額を書きます。年額は、10aあたり賃料に面積(a)を掛けて10で割ります。物納の賃料は、品目と量のまま書いてください。

機構を通した契約と相対の契約では、支払いの相手も、更新のしくみも違います。契約一覧に終期と通知期限をまとめておくと、更新の判断を見落としません。税務の扱いに迷うときは、税理士や税務署に確かめてください。

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参考URL