年次有給休暇管理簿の書き方と記入例(農業)|無料テンプレート(Excel・PDF)

【PR】本記事には、当メディア「先端農業マガジン」を運営する株式会社トクイテンが開発・提供する無料の農業アプリ「ミノリス」シリーズ(ミノリス日誌・ミノリスタイマー)と無料テンプレートの宣伝が含まれます。

収穫期にパートを頼む、季節雇用の人に毎年来てもらう。人を雇う農家には、年次有給休暇(年休)を与える義務があります。農業でも、年休は他の業種と同じように必要です。年休を与えたときは、時季と日数と基準日を1人ずつ記した「年次有給休暇管理簿」を作って保存します。

この記事では、労働基準法と同法施行規則の条文、厚生労働省の資料をもとに、管理簿の書き方と記入例を説明します。年5日の取得を確かめる方法と、パートの付与日数の見方も取り上げました。実際の運用では、社会保険労務士や労働基準監督署にも確認してください。

無料の農業日誌・圃場管理アプリ「ミノリス日誌」に無料登録(PR:株式会社トクイテン)

年次有給休暇管理簿(農業)の無料テンプレート(Excel・PDF/記入例つき)

無料でダウンロードする(登録不要)

年次有給休暇管理簿(農業)とは/なぜ必要か

年次有給休暇管理簿は、雇っている人1人ずつについて、年休をいつ何日与え、いつ何日取ったかを記録する帳簿です。付与した日(基準日)、取った日、日数、残りの日数が一覧で分かるように作ります。

この管理簿が役に立つ場面は、次の3つです。

  • 年休を付与したとき(基準日)と、年休を取ったときを記録する
  • 10日以上の年休を与えた人が、基準日から1年以内に5日取れているかを確かめる
  • パートや季節雇用の人に何日の年休を与えればよいかを確かめる

農業でも年次有給休暇は必要です

農業は、労働基準法第41条により、労働時間、休憩および休日の規定が適用されない事業とされています。ただし、除外されるのは「労働時間、休憩及び休日」の規定だけです。年次有給休暇を定めた第39条は、これに含まれません。

厚生労働省の「農業者・農業法人 労務管理のポイント」は、農業で最低限守る基準として、年休の付与と年5日の時季指定を挙げています。「農業だから休みの決まりはない」と考えていた農園も、年休の管理は必要です。

付与する日数

雇い入れた日から6か月継続して勤務し、その間の全労働日の8割以上出勤した人には、10日の年休を与えます。その後は継続勤務1年ごとに日数が増え、6年6か月以上で20日になります(労働基準法第39条第1項・第2項)。

週の所定労働時間が30時間未満で、週の所定労働日数が4日以下の人は、所定労働日数に応じた日数になります。1年間の所定労働日数が216日以下の人も同じです。これを比例付与と呼びます(同条第3項、施行規則第24条の3)。

年5日の時季指定と管理簿の作成義務

2019年4月から、使用者は10日以上の年休を与えた人に、基準日から1年以内に5日、時季を指定して取らせなければなりません(労働基準法第39条第7項)。本人が請求して取った日数と、労使協定による計画的付与で取った日数は、5日から差し引けます(同条第8項)。

すでに5日取っている人には、時季指定は要りません。時季を指定するときは、あらかじめ本人の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めます(施行規則第24条の6)。

年休を与えたときは、時季、日数、基準日を労働者ごとに明らかにした書類を作ります。この書類を年次有給休暇管理簿と呼びます。年休を与えた期間中と、その期間が終わってから一定の期間、保存します(施行規則第24条の7)。管理簿は、労働者名簿や賃金台帳と合わせて作ることもできます(施行規則第55条の2)。

入社日にすぐ年休を与える場合など、法定の基準日より前に付与するときの扱いは、厚生労働省のリーフレットで確かめてください。

記入例

下の記入例は、架空の佐藤さんに、2026年10月1日を基準日として10日の年休を与えた想定で書いたものです。雇入れから6か月が過ぎ、全労働日の8割以上出勤したため、10日を付与しています。5日の取得期限は、基準日から1年後の2027年9月30日です。

年次有給休暇管理簿(農業)の記入例
年次有給休暇管理簿(農業)の記入例(出典:ミノリス 無料テンプレート)

佐藤さんは、2026年12月28日に本人の請求で1日取りました。2027年1月20日と21日の2日は、事業主が時季を指定しています。時季指定の前には、2026年12月10日に本人の希望を聴きました。備考欄には「収穫の少ない冬に指定」と書いています。

その後、2027年3月1日と8月20日に本人の請求で1日ずつ取り、取得日数の累計は5日になりました。期限の2027年9月30日までに5日に届いたので、備考欄にその旨を書いています。残日数は5日です。記入例の氏名と日付は架空のものです。

書き方(項目ごと)

1枚を1人、1つの基準年に使います。新しい基準日には、前の年の残りを「繰越」として書きます。記入例の欄の順に、書き方を説明します。

欄 書くこと 記入例
基準日・年5日の取得期限 年休を付与した日と、そこから1年後 2026/10/1・2027/9/30
年月日 付与した日、または年休を取った日 2026/12/28
区分 付与・繰越・取得のどれか 取得
付与・繰越日数 付与した日数、前の年から繰り越した日数 10
取得日数 取った日数 1
取得の方法 本人の請求・時季指定・計画的付与のどれか 時季指定
残日数 付与・繰越日数の累計から取得日数の累計を引いた数 8
取得日数の累計 年5日に届いたかの確認用 2
時季指定で意見を聴いた日 時季指定したとき、本人の希望を聴いた日 2026/12/10

基準日と年5日の取得期限

表の上に、年休を付与した日を基準日として書きます。取得期限は、基準日から1年後の日です。記入例では、基準日が2026年10月1日、取得期限が2027年9月30日になります。

年5日の期限は、1人ずつの基準日から数えます。基準日が分からないと、期限までに5日取れたかを確かめられません。雇入れの時期が人によって違う農園では、基準日を1人ずつ書いておく必要があります。

年月日と区分

年月日の欄には、年休を付与した日、または年休を取った日を書きます。年休を取った日は、法令の用語で「時季」にあたります。

区分の欄には、付与、繰越、取得のどれかを書きます。基準日に新しく与えたときは「付与」です。前の年の残りを引き継ぐときは「繰越」です。実際に休んだ日には「取得」を選びます。

付与・繰越日数と取得日数

付与・繰越日数の欄には、付与した日数と、前の年から繰り越した日数を書きます。記入例では、基準日に10日を付与しています。

取得日数の欄に入れるのは、取った日数です。記入例は1日ずつ取った形ですが、連続して休んだ場合は、日数をまとめて入れても構いません。

取得の方法

取得の方法の欄には、本人の請求、時季指定、計画的付与のどれかを書きます。この欄は、年5日に届いたかを確かめるときに使います。

本人の請求で取った日は、年5日に数えられます。計画的付与で取った日も、時季指定で取った日も同じ扱いです。3つの方法の合計が、基準日から1年以内に5日に届いたかを確かめてください。

残日数と取得日数の累計

残日数は、付与・繰越日数の累計から、取得日数の累計を引いた数です。テンプレートのExcelでは、計算式で自動計算されます。手書き用PDFを使う場合は、行ごとに電卓などで計算して書き込みます。

取得日数の累計は、年5日に届いたかを確かめる欄です。こちらもExcelでは自動計算されます。記入例では、最後の行で累計が5になっています。

時季指定で意見を聴いた日

事業主が時季を指定したときは、指定の前に本人の意見を聴きます。その日付を、この欄に書きます。記入例では、2026年12月10日に聴いて、2027年1月20日と21日を指定しました。

意見を聴いた日を残しておくと、本人の希望を踏まえて指定したことを、後から示せます。本人が希望する時季があれば、できるだけその時季に合わせます。

年5日の確認(全員)シート

テンプレートには、全員の取得状況をまとめて確かめる「年5日の確認(全員)」シートがあります。対象は付与日数が10日以上の人です。取得済みの日数には、本人の請求や計画的付与で取った日数を入れます。

Excelでは、時季指定が必要な残りの日数が自動で出ます。付与日数が10日未満の人の行は「対象外」の表示になります。期限の前に、まだ5日に届いていない人を一覧で見つけるときに使ってください。

付与日数の早見表(比例付与を含む)

「付与日数の早見表」シートの日数は、出勤率が全労働日の8割以上の場合です。週4日以下の欄は比例付与で、週の所定労働時間が30時間未満の人に使います。

週30時間以上の人は、所定労働日数にかかわらず「通常の労働者」の欄を見ます。週以外の期間で所定労働日数が決まっている人は、かっこ内の1年間の所定労働日数で見てください。

気をつけること・よくある間違い

農業だから年休はないと思っている

適用されないのは、労働時間、休憩および休日の規定です。年休は農業でも与えます。管理簿の作成と保存も、年休を与える農園にとって必要です。

パートには年休がないと思っている

週の所定労働日数が少ない人にも、日数に応じた年休があります。パートや季節雇用の人でも、雇入れから6か月継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤すれば、付与の対象です。日数は早見表で確かめてください。

基準日を書いていない

年5日の期限は、1人ずつの基準日から1年です。基準日を書いていない管理簿では、期限を確かめられません。付与したときに、必ず基準日を記入してください。

時季指定をいきなり決める

時季を指定する前に、本人の意見を聴きます。事業主が一方的に日を決めてはいけません。意見を聴いた日は、管理簿の専用欄に書いておきます。

前の年の残りを書き忘れる

使わなかった年休は、次の1年に限って使えると解されています。新しい基準日の管理簿には、前の年の残りを「繰越」として書いてください。繰越を書かないと、残日数が実際より少なく見えます。

保存と見直し

管理簿は、年休を与えた期間中と、その期間が終わってから一定の期間、保存します(施行規則第24条の7)。保存期間は条文では5年間です。ただし、経過措置により、当分の間は3年間とされています(施行規則附則第71条)。

管理簿は、労働者名簿や賃金台帳と合わせて作ることもできます(施行規則第55条の2)。別々に作る場合は、同じ人の記録をそろえて保管しておくと、確認の手間が減ります。

管理簿は、付与のときと取得のたびに更新します。期限の前に一度、全員の取得状況を見直すと、5日に届いていない人を早めに見つけられます。見直す時期は、農園の繁閑に合わせて決めます。

年休の付与や時季指定の運用で迷うときは、労働基準監督署や社会保険労務士に確認してください。

無料の農業日誌・圃場管理アプリ「ミノリス日誌」に無料登録(PR:株式会社トクイテン)

紙・Excelで続かないときは

年休の管理は、雇う人が増えるほど手間が増えます。基準日が人ごとに違い、取得日数の累計も1人ずつ数えるためです。Excelの計算式を使えば残日数は自動で出ますが、ファイルの更新を忘れると、実際の取得状況とずれます。

当社が提供しているミノリス日誌は、圃場ごとの栽培記録を付けるための無料アプリです。

  • 圃場マップで、圃場に名前を付けて地図上に登録できる
  • 圃場・作付けごとに作業・肥料・農薬・収穫を記録でき、写真も残せる
  • 衛星画像で圃場の様子を確認できる
  • 栽培履歴をCSV・Excelで出力できる

ミノリス日誌には、年次有給休暇の管理や、付与日数の計算の機能はありません。労働者ごとの出退勤の管理にも対応していません。

月ごとの出勤日数を確かめたいときは、別のアプリ「ミノリスタイマー」のレポートが使えます。作業者ごとに、月の「入った日数」と合計作業時間を確かめられます。表示中の月の作業記録は、CSVでも取り出せます。年休の付与には、全労働日の8割以上の出勤が要件です。その出勤率を確かめるときの資料に使えます。

ミノリスタイマーにも、年次有給休暇を管理する機能はありません。年休の付与と取得の記録は、この管理簿に書いてください。詳しくはミノリスタイマーの解説記事と、作業時間の記録のはじめ方をご覧ください。

圃場の栽培記録をスマホで

圃場を地図に登録し、作付けごとの作業・肥料・農薬・収穫を無料で記録できます。

ミノリス日誌に無料登録する(約1分・クレカ不要)

初期費用・月額0円/クレジットカード不要

よくある質問

収穫期は休まれると困ります。時季を変えてもらえますか?

年休は、本人が請求した時季に与えるのが原則です。請求された時季に与えると事業の正常な運営を妨げる場合に限って、使用者は他の時季に変えられます(労働基準法第39条第5項)。繁忙期を避けたい場合は、閑散期に計画的付与や時季指定で取ってもらうなど、前もって話し合っておくのが確実です。計画的付与には労使協定が要ります(同条第6項)。

年休を取った日の賃金はいくらですか?

就業規則などで定めたところにより、平均賃金か、所定労働時間働いた場合に支払われる通常の賃金などを払います(労働基準法第39条第9項)。時給の人なら、時給にその日の所定労働時間を掛けた額が通常の賃金です(施行規則第25条)。どの方法にするかは、就業規則などで決めておいてください。

使わなかった年休はどうなりますか?

年休の請求権は、労働基準法第115条の「その他の請求権」として、2年で時効により消滅すると解されています。このため、使わなかった分は次の1年に限って使えます。新しい基準日の管理簿に「繰越」として書いてください。扱いに迷う場合は、労働基準監督署や社会保険労務士に確かめてください。

農業の事業所でも年次有給休暇を与える必要がありますか?

必要です。労働基準法第41条で適用されないのは労働時間、休憩および休日の規定で、年次有給休暇(第39条)は含まれません。厚生労働省の「農業者・農業法人 労務管理のポイント」も、農業で最低限守る基準として、年休の付与と年5日の時季指定を挙げています。

パートや季節雇用の人にも年休を与えますか?

与えます。週の所定労働時間が30時間未満で、週の所定労働日数が4日以下(または1年間の所定労働日数が216日以下)の人には、所定労働日数に応じた日数を与えます(比例付与)。日数はテンプレートの「付与日数の早見表」シートにまとめました。出勤率が全労働日の8割以上であることが前提です。

本人が5日取っていれば、時季指定は不要ですか?

不要です。本人の請求で取った日数と、労使協定による計画的付与で取った日数は、5日から差し引けます(労働基準法第39条第8項)。すでに5日取っている人には、時季指定をしません。取得日数の累計欄で、基準日から1年以内に5日に届いているかを確かめてください。

無料の農業日誌・圃場管理アプリ「ミノリス日誌」に無料登録(PR:株式会社トクイテン)

まとめ

年次有給休暇管理簿には、基準日、年休を取った日、日数、取得の方法を、1人ずつ書きます。農業では労働時間、休憩および休日の規定が適用されません。それでも、年休の付与と、10日以上与えた人への年5日の時季指定は、他の業種と同じように必要です。

管理簿は、年休を与えた期間中と、その期間が終わってから保存します。保存期間は、当分の間は3年間です。テンプレートの「年5日の確認(全員)」シートと「付与日数の早見表」シートを使うと、期限の管理と付与日数の確認がしやすくなります。判断に迷う場合は、労働基準監督署や社会保険労務士に相談してください。

関連記事

参考URL