なしの病害虫・気象災害対策マニュアル|発生時期と薬剤以外の対策・凍霜害

なしの病害虫対策は、3月下旬のりん片脱落期に始まり、11月の落葉期に終わります。県の資料が重点時期としているのは、開花直前から開花後約2週間の黒星病、5月下旬から7月の輪紋病・黒斑病・シンクイムシ類、収穫後から落葉期の黒星病です。冬の粗皮削り、病斑の切除、落葉の処理で春の発生源を減らしておくと、どの病害虫も立ち上がりが軽くなります。

気象災害では、4月上旬から中旬の晩霜がもっとも急を要します。福島の資料では、幸水の安全限界温度は発芽期でマイナス3.6℃、満開期でマイナス1.3℃で、1時間この温度にさらされるとわずかでも障害が出るおそれがあります(福島6)。降ひょうは幼果期と果実肥大期で摘果の考え方が変わります。台風は枝折れや落果のほか、胴枯病の多発にもつながります。

この記事は21都道府県の公的資料40本から、病害虫の発生時期、薬剤以外の対策、品種の抵抗性、凍霜害・ひょう・台風・高温への対応を拾ってまとめました。農薬の種類や使い方は書いていません。薬剤を使う作業の前には、最新の県の防除暦と農薬登録(FAMIC 農薬登録情報提供システム https://pesticide.maff.go.jp/ )を確認してください。

時期の目安

表は資料に書かれた時期を病害虫ごとに並べたものです。年や地域で数日から1か月ほどずれるので、自園では県の病害虫防除所の発生予察情報と照らして使います。

病害虫 時期の目安と重点時期 出典
黒星病(春から夏) 花そう基部病斑は開花期ごろに出ます。福島の果樹研究所では令和5年に4月13日に初確認し、子のう胞子は4月中旬から5月下旬に飛びます。重要防除期は開花直前から開花後約2週間です。島根は4月下旬に初発し、りん片脱落直後から二分咲きが特に重要としています。福井は3〜4月が最重要で、幸水は7月中下旬から果実への感染が増えます。 福島7 p.95・福島8・島根4・福井2
黒星病(秋) りん片の生組織が出る時期に感染します。福島は10月上旬から11月上旬、熊本は収穫後から落葉期の11月中旬、佐賀は10月中旬から11月中旬が盛期です。鳥取の幸水は9月中下旬から11月上旬が目安です。 福島9・熊本13・佐賀2 p.167,200・鳥取21
赤星病 ビャクシン類の冬胞子堆は2月中下旬にでき、3月下旬から降雨で膨らみます。島根は冬胞子層の成熟を4月上中旬、愛知は平年の50%成熟を4月第2半旬としています。ナシでは感染後10日から2週間で発病し、葉から葉への二次伝染はありません。 福岡2 p.71・島根5・愛知2 p.107
黒斑病 枝や芽の病斑で越冬し、島根は3月下旬から胞子ができ始めるとしています。宮城は5月中旬から若葉と幼果に出て6月下旬から7月上旬に多く、福岡は開花期から梅雨期、特に小袋かけ前が重点です。 島根3・宮城1 p.136-137・福岡2 p.70
輪紋病 枝のいぼから胞子が出るのは2月下旬から10月下旬で、多いのは5月下旬から8月上旬です。果実への感染は5〜7月に多く、山口は摘果直後の5月下旬から6月上旬と梅雨期の6月下旬を適期としています。 福岡2 p.72・山口1 p.96
胴枯病・心腐れ症 胴枯病は春と秋に病勢が進みます。心腐れ症は胴枯病菌が幼果の萼筒部の穴から入り、感染は満開から満開45日後です。鳥取は落花期から5月、愛知は5〜9月に多いとしています。 福岡2 p.74,80・鳥取12・愛知2 p.108
ハダニ類 カンザワハダニは発芽期から出て7月中下旬から8月に多くなります。ミカンハダニは6〜7月に初発し、8〜9月に増えます。福島は高温・少雨の年に発生しやすく、新梢先端部で多くなったとしています。 福岡2 p.81・福島7 p.96
ニセナシサビダニ 福島は5月中下旬から葉に寄生し、6月中旬から7月上旬がピークです。福岡の露地は4月下旬から寄生し、6月が盛期です。 福島10・福岡2 p.82
シンクイムシ類 ナシヒメシンクイは宮城・島根で年4回、福岡で年5回です。ナシの果実を食べるのは、福岡で7月以降の第2〜3世代、熊本で8月以降の第4〜5世代で、無袋と晩生に被害が多くなります。モモシンクイガは島根で成虫が6月上旬から7月中旬と8月から9月上旬に出ます。 宮城1 p.139・島根7・福岡2 p.87・熊本15
カメムシ類 千葉と栃木は5月の越冬後成虫の飛来を警戒し、2026年は両県とも注意報を出しました。愛知は5〜9月に発生し、6月の摘果期以降の越冬成虫による加害が大きいとします。鳥取は5月上旬と8月に注意としています。 千葉4・栃木3・愛知2 p.108・鳥取12
カイガラムシ類 島根のクワコナカイガラムシは越冬卵が4月下旬から5月中旬にふ化し、第1世代幼虫は7月上旬から袋の中に入ります。福岡のマツモトコナカイガラムシなどが袋に入るのは6月と7〜8月です。 島根10・福岡2 p.84

やり方(標準の手順)

薬剤以外の対策を、1年の流れに沿って並べます。

  1. 11月からせん定前までに、落葉を園外へ出すか、深耕の穴に埋めるか、すき込みます。福島は500円玉ほどの大きさに粉砕する方法も示しています。黒星病は落葉の中で越冬し、春に子のう胞子を飛ばして最初の感染源になるためです(熊本9・山口1 p.96・福島8・福島9)。
  2. 12月から2月に、粗皮を削って削りくずを集め、処分します。粗皮の隙間は輪紋病菌、ハダニ類、ナシヒメシンクイ、カイガラムシ類の越冬場所だからです。削ったあとに冬の油剤散布を組み合わせると効果が高まるとする県もあります。油剤を使う前に、最新の県の防除暦と農薬登録(FAMIC)を確認します(滋賀1 p.125・福岡2 p.82-87)。
  3. 枝のいぼ病斑、胴枯病の病斑、被害芽、枯れ枝を、削るか切って園内に残さず処分します。輪紋病は薬剤だけでは防ぎきれず、いぼの削り取りと罹病枝の切除が基本とされます。削った傷とせん定の切り口には塗布剤をつけます。胴枯病菌は傷口から入るためです。幸水と豊水のせん定は2月下旬以降にします(福岡2 p.72,74・愛知2 p.107-108・鳥取12)。
  4. 2月下旬から4月は、園の周りのビャクシン類を見ます。冬胞子堆は降雨で膨らんでナシに赤星病をうつすので、降雨のたびに膨潤の状況を見て感染期を予測します(福岡2 p.71・大分3)。
  5. 4月の開花前後は園を回り、黒星病の花そう基部病斑を見つけしだい切って園外に出します。病斑は二次伝染の元になります。罹病部にはりん片が脱落せずに付いていることが多く、目印になります(福島11・鳥取12)。
  6. 落花後から5月は、心腐れ症とカメムシ類に備えます。心腐れ症は萼筒部の穴が大きい上向きの果実で感染しやすいので、摘果で外します。カメムシ類には、防災網を目合い4mm以下で隙間なく張り、有袋栽培では袋かけを早めます。摘果の進め方はなしの摘蕾・摘果マニュアルにあります(福岡2 p.80・栃木3・愛知2 p.108)。
  7. 5月から7月は、袋かけを早めに行います。輪紋病、黒斑病、ナシヒメシンクイの被害が減るためです。袋かけの時期はなしの袋かけマニュアルを見てください。摘果のときは黒星病の病果を切って園外に出し、ナシヒメシンクイの増殖源になる受粉樹の裸果や、近くのモモ・ウメの心折れ枝も処分します。性フェロモン剤による交信かく乱は、成虫が出る前から設置します(福岡2 p.72,87・鳥取12・愛知2 p.109・滋賀1 p.125)。
  8. 7月下旬から収穫終了までは、夜の飛来に備えます。黄色灯はヤガ類とチャバネアオカメムシの侵入を減らします。糖蜜トラップでヤガ類を誘って捕まえる方法や、目合い8mm以下の防除網で覆う方法もあります(滋賀1 p.124,128・福岡2 p.89)。9月中旬までには幹にバンドを巻いて越冬害虫を集め、冬に外して処分します(愛知2 p.108・鳥取12)。
  9. 収穫後から落葉期は、黒星病の秋期対策の時期です。りん片に感染すると翌春の花そう基部病斑になります。薬剤を使う場合は、最新の県の防除暦と農薬登録(FAMIC)を確認します。収穫後の礼肥と管理はなしの収穫マニュアルにあります(福島9・熊本13)。

品種による違い

病害の強さは品種で大きく違い、害虫にも品種の偏りがあります。資料に書かれた範囲を表にします。

病害虫 弱い、または多い品種 強い、または抵抗性とされる品種 出典
黒斑病 二十世紀(最も弱い)、新水、南水 ゴールド二十世紀、おさゴールド、幸水、豊水、あきづき、凜夏、ほしあかり、甘太、新美月、新王 福岡2 p.70・山口1 p.109-111・新潟2
黒星病 幸水、晩三吉、豊水、新高、新興、凜夏、甘太 二十世紀は比較的強い。ほしあかりは抵抗性 島根4・大分3・山口1 p.110-111
胴枯病 幸水(特に弱い)、豊水、新水 二十世紀は比較的強い 島根6・福岡2 p.74
萎縮病 幸水、愛甘水 資料に記載なし 愛知2 p.108
輪紋病 無袋の幸水と豊水で被害が大きい 資料に記載なし 福岡2 p.72
炭疽病 豊水、新高、二十世紀 幸水はほとんど問題にならない 福岡2 p.77
ニセナシサビダニ・ナシヒメシンクイ サビダニは二十世紀などの多毛品種とあきづき。ヒメシンクイは新高と豊水以降の晩生 資料に記載なし 福岡2 p.82・山口1 p.111・愛知2 p.109

抵抗性は、病気が出ないという意味ではありません。ゴールド二十世紀は無袋でも通常は病害果が出ないとされますが、若干は発病するため、外観を確保するには大袋1回が必要と山口は書いています(山口1 p.110)。新潟県が育成した新美月と新王は黒斑病抵抗性があり、袋かけなしで栽培できます(新潟2)。

黒星病の秋期対策が必要かどうかも、品種で違います。鳥取では、りん片の生組織が出やすい幸水と新甘泉で必要性が高く、二十世紀、王秋、新興、おさゴールドでは低いとされました(鳥取21)。

気象災害への備えと被害後の対応

凍霜害

発芽期から幼果期は、段階が進むほど低温に弱くなります。福島の幸水の指標を表にします。安全限界温度は、1時間この温度にさらされるとわずかでも障害が出るおそれのある温度です。危険度50%温度は、3割以上の花芽・花器・幼果に障害が出る確率が50%になる温度です(福島6)。

生育ステージ(幸水) 安全限界温度 危険度50%温度
発芽期 −3.6℃ −5.9℃
花蕾露出期 −2.9℃ −4.5℃
花弁露出始期 −2.5℃ −2.5℃
花弁白色期 −1.8℃ −2.5℃
開花直前 −1.8℃ −2.1℃
満開期 −1.3℃ −2.1℃
幼果期 −1.3℃ −1.2℃

福島の果樹研究所では、令和8年は4月9日に花弁白色期で、平年の満開は4月24日です(福島6)。新潟は晩霜が4月から5月上旬に多く、気象庁の霜注意報のうち前日の午前中に出るものは発生の可能性が高いとしています(新潟3)。温度は、輻射よけのない棒状温度計を地上1.5mに置いて測ります(福島6)。

対策は次のとおりです。

  • 防霜ファンは、感温部を棚面の約1.8mに付け、4℃で動くように設定します。昇温は1〜2℃なので、外気温がマイナス3℃以下になりそうなときは燃焼法を併用します(茨城2)。
  • 燃焼法は、灯油5リットルを入れた半斗缶を10aに20〜25個置き、0℃を目安に点火します。新潟は、危険温度より0.5〜1.0℃高いうちに点火し、10aの準備に約40分かかるとしています。最も冷えるのは日の出前の午前5時ごろです(茨城2・新潟3)。
  • 燃焼法では、消防署への届出が要ります。灯油は途中で足さず、消火後も白煙が出ている間は火を近づけません。山口は、りん片が落ちる前の4月上旬に、燃焼資材の準備と園の除草をするとしています(新潟3・鳥取39・山口1 p.104)。
  • 多目的防災網は約0.5℃昇温しますが、単独では防霜効果が低く、燃焼法との併用が要ります。雪が積もると倒れるので気をつけます(茨城2・新潟3)。
  • 敷きわらや草生は土からの放射熱を抑えて霜害を助長します。樹冠下の敷きわらは除き、わらマルチは危険時期の5月上旬を過ぎてからにします(茨城2)。

霜に遭ったあとは、蕾や花を半分に割り、雌しべの柱頭から胚珠が黒変していないかを見ます。無事な花には、開花の最後まで人工受粉を続けます。摘果は被害がはっきりしてから、被害の著しい果実から行います(茨城2)。福島の令和5年は、4月10日の低温で結実不良の園が出ました。凍霜害の影響がわかるまで予備摘果を控えた園が多く、初期肥大がそろいませんでした(福島7 p.91-92)。愛知は、枝幹が凍霜害を受けると胴枯病が多発しやすいとしています(愛知2 p.108)。受粉はなしの人工授粉マニュアルを参照してください。

降ひょう

茨城は令和5年に、4月16日(幼果期)と7月10日(果実肥大期)の降ひょうで対応を出しました。幼果期は、軽い傷なら回復するので早急な摘果を避け、傷の程度を見ながら段階的に進めます。果軸の損傷はコルク化して軸折れの原因になり、特に豊水で目立ちます。着果が足りない園は、被害の程度にかかわらず着果させます(茨城3)。

果実肥大期は、被害程度3の果実は腐敗して落ちるので摘果し、2は観察しながら段階的に摘果し、1は基本的に残します。豊水以降の品種は、軽い傷なら回復する場合があります(茨城4)。

樹体は、葉面積を確保するために枝や新梢を切り戻しません。太い枝の傷は塗布剤で守り、予備枝の先端の新梢が欠けたら、新しい新梢が伸びるのを待って育てます。ひょう害で著しく着果不良になった園でも、花芽の着生が劣ることはあまりないとされます(茨城3・茨城4)。予防は、萌芽前にネットを張る方法があり、滋賀は雹の多い地域で雹害回避にもなるとしています(滋賀1 p.123)。

台風

高知は8月に、枝の結束、棚の点検、防風ネットの設置をします。長崎は豊水・あきづき・新高の棚面を鉄パイプで補強して落果を減らし、防風垣を補修します。山口は7〜8月に防風垣と棚の補強、結束、豪雨に備えた集排水溝の整備をします。宮崎は台風被害の回避が最大の課題で、多目的防災網と補強棚が普及しつつあります(高知2・長崎1 p.550,553・山口1 p.105,107・宮崎3 p.7)。

台風は病気も呼びます。愛知は、8月に雨と風傷を伴う台風が来ると胴枯病が多発するとしています。福島では、令和5年9月上旬の台風13号の大雨で新高の裂果が多発しました。降水量は浜通りで200〜300mm、中通りで100〜150mmで、果実の膨圧が急に高まったためです(愛知2 p.108・福島7 p.96)。滋賀は防風施設の減風効果を良くても50%程度とし、20m/秒以下の突風に効果があるとします。この記述の対象作物はもも・うめ・くりです(滋賀1 p.125)。

高温、少雨、暖冬

福島の令和5年は、3月の高温で幸水の開花盛期が平年より14日早まり、7月上旬からの少雨で7月下旬に葉焼けが出ました。かん水できなかった園は7月中旬から果実肥大が鈍って小玉になり、かん水した園は影響が小さく済みました。高温でナシヒメシンクイは年5回に増え、豊水とあきづき以降の晩生で8月下旬から果実被害が出ました。ハダニ類とニセナシサビダニも多発し、サビダニでは落葉が起きました(福島7 p.92-97)。

あきづきと王秋では、コルク症状を伴う果肉障害が出ました。福島は、乾燥時に微量要素欠乏が起きやすく、土壌水分が極端に変わる条件になっているとしています(福島7 p.96)。山口は、9月に30℃以上が続くと水浸状褐変が晩生にも出るとし、収穫した果実を直射日光下に放置すると芯腐れが出るとしています(山口1 p.101)。

暖冬では発芽不良が出ます。熊本の令和2年産の新高は、低温の積算時間が足りず、1年生枝の腋花芽の不発芽が79%でした。山口は、秋冬の気温が高いと耐凍性が高まらず凍害に遭うとして、窒素を含む肥料や堆肥の散布を3月に移すよう勧めています(熊本17・山口1 p.102)。施肥の時期はなしの施肥マニュアルを参照してください。

県によって違うところ

ビャクシン類の扱い

赤星病の対策は、中間寄主のビャクシン類をどうするかで資料の書き方が違います。福岡は園の周辺に広く植えるのを避けるとし、愛知は園の付近に植えないとします。大分は園の周辺のビャクシン類をできる限り伐採して植樹しないとし、鳥取は休眠期に中間寄主の伐採を挙げます(福岡2 p.71・愛知2 p.107・大分3・鳥取12)。宮城は、ビャクシン類の植栽が増えると伝染源が増えるとしています(宮城1)。既にある木をどうするかは、県の指導を確認します。

凍霜害の指標の区切り

同じ幸水でも、指標の区切りが違います。福島は花弁露出始期をマイナス2.5℃、花弁白色期をマイナス1.8℃と分けます。茨城は花弁露出始期から花弁白色期をまとめてマイナス1.8℃とします。遭遇時間も、福島と茨城は1時間、新潟は30分です。新潟の日本なしは、開花前マイナス3.9℃、開花中マイナス2.2℃、幼果期マイナス1.1℃(図から読み取り)です(福島6・茨城2・新潟3)。県の指標の区切りに合わせて使います。

防除網の目合いと黄色灯

カメムシ類の防除網は、栃木が目合い4mm以下が望ましいとします。千葉はナシで多目的防災網の9mmクロス目合いか、防虫ネットの4mm目合いで園全体を覆うとします。滋賀は、カメムシ類とヤガ類には6mm以下、それより細かい害虫には4mm以下とします(栃木3・千葉4・滋賀1 p.123)。黄色灯は、長崎が収穫30日前から収穫終了まで夜に点灯するとし、チャバネアオカメムシには忌避効果があるものの、ツヤアオカメムシとクサギカメムシには効果が低いとしています(長崎1 p.551,553,555)。

黒星病を抑える物理的な方法

滋賀は、3月下旬から7月上旬のビニル被覆で降雨を遮ると黒星病が抑えられるとします。ただし遅くまで被覆すると、特に幸水でまだら果の原因になります(滋賀1 p.123)。兵庫は、年内の早期せん定で黒星病の発生が3分の1から2分の1に減ったとします(兵庫7)。京都は、雨よけは風通しが悪いとかえって病気が多発するとしています(京都1 p.146)。

性フェロモン剤の設置時期

滋賀の資料は、表で4月中旬と7月上旬、本文で4月下旬と7月下旬と書いていて、資料の中で食い違っています。成虫の発生は地域で違うため、発生時期を把握し、収穫期までの効き目が続くように置くとしています。佐賀は5月中旬に設置し、福岡は傾斜地や小面積で効果が落ちるので3ha以上の平坦地で使うとしています(滋賀1 p.125・佐賀2 p.200・福岡2 p.87)。

失敗しやすい点・注意

  • 黒斑病は、二十世紀に多肥をすると助長されます。二次伸長を防ぎ、枝梢の伸長は7月上旬で止めるようにします(福井1 p.184・福岡2 p.70)。
  • コナカイガラムシ類は、袋の中に入ると防除が難しくなります。袋かけの前の6〜7月に見回ります。無袋にすると果実の被害はほとんどなくなります(福岡2 p.84・島根10)。
  • カメムシ類の薬剤防除のあとに、ハダニ類やカイガラムシ類が増えることがあります。使ったあとも発生を確認します(栃木3)。
  • 特定の系統の薬剤に耐性をもつ菌が、赤星病と黒星病で確認された県があります。熊本は、秋期防除で薬剤の系統を選ぶよう注意しています。薬剤の選び方は県の防除暦に従います(福岡2 p.69,71・熊本13)。

作業の前後とつながり

せん定の時期は病斑の切除と重なります。なしのせん定マニュアルとあわせて計画します。新梢の誘引と二次伸長の抑え方はなしの新梢管理マニュアル、収穫後の作業はなしの収穫マニュアルにあります。全体の流れは、なし栽培暦・年間作業表の全国まとめとなしの栽培マニュアルの目次で確認できます。

参考URL(出典)

なしの栽培マニュアル(目次)に、ほかの作業のページをまとめています。