【IoT】車載デバイスでトラクターやコンバインの作業を自動分析。農場経営の効率性・収益性を高める Climate Corporation のサービスを紹介します。

農業機械をIoT化することによって、作業の内容や効率を記録・分析できます。これにより、作業の効率化と収益性向上が期待できるでしょう。気がかりなのは初期投資ですが、Climate Corporation が提供する FieldView を使えば、既存の農機に専用デバイスを取り付けるだけで済み、約$300で農機をIoT化できます。本記事では、FieldView の機能と導入効果を紹介します。

Climate Corporation 基本情報

住所:US, 94103, CA, San Francisco, Suite 1100 201 3rd Street

CEO:Jeremy Williams

設立:2006年

従業員数:501〜1000人

農機のIoT化で効率性・収益性向上

Climate Corporation は、農業機械のIoT化を支援する FieldView というサービスを提供している、アメリカの企業です。北米や欧州など20か国以上でサービスを展開しており、6000万haの農地で運用されています。

Climate Corporation の技術を用いると、作業内容を記録して進捗を地図上に可視化できます。これによって、作業の効率化と収益性向上が期待できるでしょう。

FieldView で農機をIoT化するには、以下の手順が必要です。

  • 車載デバイス FieldView Drive をトラクターやコンバイン、移植機などの農機に取り付けます。
  • 分析用ソフトウェア FieldView をiPad にインストールします。
  • 車載デバイスと iPad をBluetooth接続し、農機で作業します。

車載デバイスが収集したデータは、iPad 上に数値や図としてリアルタイム表示されます。さらにデータはクラウド保存されるため、履歴の確認や作業者間での共有も可能です。

FieldView の機能と導入効果

作業履歴の可視化

車載デバイスを農機に接続することで、作業内容や進捗に関するデータが自動収集されます。収集できるデータの例を以下に示します。

  • 作業進捗:農機で作業した累積面積と、進捗速度を表示します。作業が済んだ箇所は地図上で色が塗られるため、視覚的にとらえやすくなり進捗管理に便利です。
  • 作物密度:定植機や播種機に車載デバイスを取り付けてデータ収集します。面積あたりの作物量を数値化して地図上に表示するため、収量の予測も可能です。
  • 農薬散布料:散布機に車載デバイスを取り付けてデータ収集します。散布した農薬の種類を記録し、散布量を数値化するため、農薬使用履歴の根拠となります。
  • 収穫量:コンバインに車載デバイスを取り付けてデータ収集します。収穫量を数値化して地図上に表示するため、収益性の可視化に便利です。

得られたデータはクラウド上で共有できるため、データにもとづいて進捗管理できます。作業の段取り改善や、農機稼働率の向上によって、効率性を上げられるでしょう。

導入するには、車載デバイスとiPad用マウンティングキットがセットになった、スターターキット($299)が必要です。データをクラウドに保存したり地図上に表示したりするためのソフトウェアは、基本的な機能は無料で使えます。

作物の生育をモニタリング

有料版ソフトウェアの FieldView plus (年間$99)で使用でき、操作は iPad 上のソフトウェアで完結します。

人工衛星からの撮影と画像解析により、圃場のバイオマス量と作物の生育状態がモニタリングできます。解析結果は地図上に色分け表示されるため、作物の生育に異常がある場合は、圃場のどの位置で異常が起きているのか特定可能です。また、前年と栽培方法を変えた場合は、前年のデータと比較することで影響を評価できます。収量が落ちるリスクを下げたり、栽培技術を改善したりすることで、収益性の向上が期待できます。

種と肥料の投入量を最適化(トウモロコシとダイズ)

有料版ソフトウェアの FieldView plus で使用できます。

Climate Corporation では、米国各地のトウモロコシとダイズの栽培データを収集してきました。地域ごとの気候や生産量などのビッグデータを活用し、目標収量を達成するための最適な播種量と肥料投入量を自動算出してくれます。

操作は iPad 上のソフトウェアのみでできます。栽培する圃場を地図上で指定し、栽培品目をトウモロコシまたはダイズから選びます。目標とする収量を入力すると、その収量を達成できるような播種密度と肥料投入量が表示されます。

この機能を使うことで、種や肥料への投資額を最適化して、収益性を高められるでしょう。

まとめ

Climate Corporation は、車載デバイスとiPad用ソフトウェアによって、農機のIoT化を手軽に始められるサービスを提供しています。トラクターやコンバインでの作業記録が地図上に可視化されるため、より正確な作業進捗管理が可能です。作業の効率化と、収益性の向上につながるでしょう。

URL

Climate Corporation https://climate.com

Climate Corporation | Linkedin https://www.linkedin.com/company/the-climate-corporation/