ジビエ利用量は3,155tで過去最大【令和7年度】シカ+37%・クマ販売2.6倍

農林水産省は2026年9月30日、令和7年度の野生鳥獣資源利用実態調査(食肉処理業者)を公表しました。全国の食肉処理施設で処理されたジビエ利用量は3,155tで、前年度より17.8%増え、調査で比較できる平成28年度以降で最大です。

鳥獣種別ではシカが1,662tと37.2%増え、イノシシは459tと5.4%減りました。クマの食肉卸売・小売販売数量も18tと、前年度の約2.6倍になっています。この記事では利用量の推移、鳥獣種別の内訳、解体頭数と金額を表とグラフにまとめます。被害を受ける側の数字は野生鳥獣による農作物被害額の記事に載せています。

ジビエ利用量は3,155tで10年前の2.5倍

平成28年度のジビエ利用量は1,283tでした。令和7年度の3,155tは、その約2.5倍です。令和2年度は1,810tまで下がりましたが、翌年度から回復し、令和5年度に2,729tへ伸びました。令和6年度は2,678tで小幅に減り、令和7年度に再び増えています。

ジビエ利用量の推移(全国)
出典: 農林水産省「令和7年度野生鳥獣資源利用実態調査結果(食肉処理業者)」令和8年9月30日

解体頭・羽数も平成28年度の8万9,230から令和7年度の20万3,574へ、2.3倍に増えました。処理して得た金額は30.3億円から64.4億円になっています。利用量の増え方と金額の増え方はほぼ同じ速さです。

利用量の内訳は食肉2,166tとペットフード853t

利用量3,155tのうち、食肉処理施設が販売した分は3,019tです。そのなかで食肉が2,166t、ペットフードが853tを占めます。食肉は前年度から25.6%増え、利用量に占める割合は64.4%から68.7%に上がりました。ペットフードは2.8%の増加にとどまっています。

解体処理だけを請け負って依頼者に渡した食肉は13t、自家消費向けの食肉は123tでした。

シカが食肉の7割超、イノシシは減少

食肉2,166tの内訳は、シカが1,662t、イノシシが459t、その他鳥獣が45tです。シカの割合は45.2%から52.7%へ、利用量全体の半分を超えました。イノシシは18.1%から14.5%に下がっています。食肉だけで見ると、シカは約77%を占めます。

食肉の鳥獣種別販売数量(令和6年度と7年度)
出典: 農林水産省「令和7年度野生鳥獣資源利用実態調査結果(食肉処理業者)」令和8年9月30日
区分 令和6年度 令和7年度 前年度比(%)
ジビエ利用量 合計(t) 2,678 3,155 117.8
食肉(t) 1,724 2,166 125.6
うちイノシシ(t) 485 459 94.6
うちシカ(t) 1,211 1,662 137.2
うちその他鳥獣(t) 28 45 160.7
ペットフード(t) 830 853 102.8
解体頭・羽数 計 190,716 203,574 106.7
うちシカ(頭) 127,513 148,048 116.1
うちイノシシ(頭) 40,247 36,809 91.5
処理して得た金額(百万円) 5,418 6,437 118.8
うち食肉販売金額(百万円) 4,556 5,422 119.0

クマの販売数量は18t、解体は1,172頭

クマの食肉卸売・小売販売数量は、前年度の7tから18tに増えました。販売金額は4,300万円から1億4,000万円で、3.3倍です。解体頭数は453頭から1,172頭へ、2.6倍になっています。

ただし、クマの18tは利用量全体3,155tの0.6%にあたります。食肉卸売・小売販売数量の合計1,874tでも、約1%です。量はまだ小さく、増加率が大きく見えるのは前年度の数字が小さかったためです。

数字から読み取れる農家への含意

シカの解体頭数は14万8,048頭で、前年度より16.1%増えました。一方、シカの食肉量は37.2%増えています。調査表からは、その理由までは分かりません。

捕獲した鳥獣の引き取り先を探す農家や自治体にとって、食肉処理施設の需要は広がっています。シカの食肉販売金額は34.9億円で、26.7%増えました。イノシシは16.3億円で、0.5%減っています。地域でどちらの鳥獣が多く捕獲されるかによって、受け入れ先の探しやすさは変わります。

被害額と捕獲の状況は野生鳥獣による農作物被害額、農業産出額全体の位置づけは農業産出額ランキングの記事で確認できます。

データの引用について

出典:農林水産省『令和7年度野生鳥獣資源利用実態調査結果(食肉処理業者)』(令和8年9月30日公表)をもとに先端農業マガジンが作成しました。数値は公表資料の表から転記し、グラフは数値から描き直して加工しています。農林水産省ウェブサイトの利用規約(政府標準利用規約・公共データ利用規約 第1.0版)に従い、出典を明記すれば、この記事の表やグラフ用の数値は自由に再利用できます。詳細な数値は農林水産省のホームページに令和8年12月に掲載される予定です。

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