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農産物直売所の統計を探している農業者や自治体職員は、全国の店舗数、年間の販売金額、1店舗あたりの売上を一つの資料で確認できず、手間がかかります。数字の出どころは農林水産省の「6次産業化総合調査」で、結果は表ごとに別のファイルで公開されています。この記事では、2024年度(令和6年度)の確報を中心に、直売所に関する公的な数字を1ページにまとめました。
全国の事業体数と販売金額、5年間の推移、規模別の分布、運営主体別の違い、地域別の表の順に紹介します。数字はすべて、農林水産省がe-Statで公開している統計表と調査結果の概要から転記しました。年度と出典は各節に書いてあるので、資料や提案書に引用するときも、そのまま使えます。
後半では、自分の直売所や出荷額をこの数字と比べるときの手順も説明します。直売所に出荷している農業者の方は、手数料率や出荷者数の平均値も確認してください。
全国の農産物直売所は何か所で、年間いくら売れているのか
2024年度の全国の農産物直売所は20,960事業体で、年間総販売金額は1兆1,344億円です。農林水産省「6次産業化総合調査」(2024年度、2026年7月確報)の数字で、前年度の2023年度より0.7%増えました。
この調査は、農業経営体と農業協同組合等が自分や組合員の生産した農産物、または農産加工品を、定期的に不特定の消費者へ対面販売するために開設した場所と施設を対象にしています。農業経営体から委託を受けた農産物を売る施設も含みます。無人販売所、移動販売、インターネットだけの販売は含まれません。
農業生産関連事業は、農産加工、農産物直売所、観光農園、農家民宿、農家レストランの5業態です。2024年度の5業態の合計は2兆2,244億円で、農産物直売所はそのうち51.0%を占め、5業態で最も大きい業態です。農産加工は1兆61億円(45.2%)、観光農園は391億円、農家レストランは399億円、農家民宿は49億円でした。
調査期間は2024年4月1日から2025年3月31日までの1年間です。農林水産省は調査票を2025年9月上旬に配布し、10月上旬に回収しました。標本調査のため、全国の数字は推定値です。農産物直売所の販売金額について、農林水産省は実績精度(標準誤差率の推定値)を1.5%と公表しています。
直売所の販売金額と事業体数は、ここ数年でどう変わったか
販売金額は2020年度の1兆535億円から2024年度の1兆1,344億円へ、5年間で約7.7%増えました。一方、事業体数は2021年度の22,680から2024年度の20,960へ、3年間で約7.6%減っています。
| 年度 | 年間総販売金額 | 事業体数 | 1事業体あたり販売金額 | 従事者数 |
|---|---|---|---|---|
| 2020年度(令和2年度) | 1兆535億円 | 調査資料を確認できず | 同左 | 約18.3万人 |
| 2021年度(令和3年度) | 1兆464億円 | 22,680 | 4,613万円 | 約17.5万人 |
| 2022年度(令和4年度) | 1兆879億円 | 22,380 | 4,862万円 | 約18.1万人 |
| 2023年度(令和5年度) | 1兆1,264億円 | 21,240 | 5,303万円 | 約19.3万人 |
| 2024年度(令和6年度) | 1兆1,344億円 | 20,960 | 5,412万円 | 約17.2万人 |
出典は農林水産省「6次産業化の動向」(農林水産基本データ集)と「6次産業化総合調査」各年度の統計表です。販売金額と従事者数は100万円単位、100人単位で公表されているため、億円と万人に直して表示しました。事業体数は、10事業体単位に丸めた数字が公表されています。
事業体数が減る一方で販売金額が増えているため、1事業体あたりの販売金額は2021年度の4,613万円から2024年度の5,412万円へ、17.3%増えています。直売所の数は減っていますが、1か所あたりの売上は大きくなっています。この間に、小規模な直売所が減り、大きな直売所の売上が伸びたとみられます。ただし、調査は事業体ごとの廃止や新設を追跡しているわけではないので、減った理由は統計からは分かりません。
2024年度の従事者数は約17.2万人で、1事業体あたり8.2人です。前年度は約19.3万人でした。従事者数は年によって上下が大きいため、傾向の判断には複数年を見る必要があります。
1事業体あたりの販売金額は平均5,412万円。規模別ではどう分かれるか
2024年度の農産物直売所の1事業体あたり販売金額は5,412万円ですが、実態は二極化しています。年間販売金額が500万円未満の事業体が49.6%を占める一方、1億円以上の事業体も14.4%あります。
| 年間販売金額の規模 | 事業体数割合(全体) | 常設施設・通年営業の事業体 |
|---|---|---|
| 100万円未満 | 23.9% | 9.8% |
| 100万円以上500万円未満 | 25.7% | 17.5% |
| 500万円以上1,000万円未満 | 11.6% | 9.6% |
| 1,000万円以上5,000万円未満 | 18.1% | 24.0% |
| 5,000万円以上1億円未満 | 6.2% | 10.8% |
| 1億円以上3億円未満 | 9.8% | 19.2% |
| 3億円以上 | 4.6% | 9.1% |
出典は農林水産省「6次産業化総合調査」(2024年度)の運営主体別統計表です。全体の事業体数は20,960、常設施設で通年営業をしている事業体は10,580です。各割合は四捨五入しているため、合計は100%にならない場合があります。
平均が5,412万円なのに、半数近くが500万円未満である理由は、数の少ない大規模な直売所が全体の平均を押し上げているためです。階級ごとの割合を下から足すと、500万円未満で49.6%、1,000万円未満で61.2%になります。つまり、中央値は500万円以上1,000万円未満の階級に入ります。これは階級別の割合から筆者が計算した位置で、調査が公表した中央値ではありません。
常設施設で通年営業をしている直売所に限ると、様子が変わります。1億円以上が28.3%(19.2%と9.1%の合計)になり、100万円未満は9.8%に下がります。季節営業の直売所や、簡易な売り場の直売所が、小規模側の事業体を増やしています。
直売所の規模を見るときは、平均値よりも、自分の直売所と同じ営業形態の分布と比べるほうが実態に近くなります。
運営主体で、直売所の規模はどれくらい違うのか
運営主体で規模は大きく違います。2024年度の1事業体あたり販売金額は、農家(個人)の644万円に対し、農業協同組合は20,242万円で、約31倍の差があります。
| 運営主体 | 事業体数 | 年間販売金額 | 1事業体あたり販売金額 | 1事業体あたり従事者数 | 1事業体あたり売場面積 |
|---|---|---|---|---|---|
| 全体 | 20,960 | 11,344億円 | 5,412万円 | 8.2人 | 107㎡ |
| 農業経営体 | 11,270 | 1,962億円 | 1,741万円 | 5.9人 | 59㎡ |
| うち農家(個人) | 8,920 | 574億円 | 644万円 | 4.8人 | 46㎡ |
| うち農家(法人) | 660 | 267億円 | 4,026万円 | 8.4人 | 82㎡ |
| うち会社等 | 1,690 | 1,121億円 | 6,634万円 | 10.6人 | 110㎡ |
| 農業協同組合等 | 9,690 | 9,382億円 | 9,683万円 | 10.9人 | 165㎡ |
| うち農業協同組合 | 2,170 | 4,384億円 | 20,242万円 | 12.0人 | 243㎡ |
| うちその他 | 7,520 | 4,998億円 | 6,643万円 | 10.6人 | 141㎡ |
出典は農林水産省「6次産業化総合調査」(2024年度)の運営主体別統計表です。売場面積は常設施設を使う事業体の平均で、19,360事業体が対象です。年間販売金額は100万円単位の公表値を億円に直しました。
事業体数では農業経営体が53.8%を占めますが、販売金額では17.3%にとどまります。農業協同組合等は事業体数の46.2%で、販売金額の82.7%を占めています。
調査の定義では、「農業協同組合等」の「その他」に、生産者グループ、都道府県、市区町村、第三セクター、農業協同組合の下部組織、民間企業が運営する直売所が入ります。農業協同組合が出資する子会社も、この区分に含まれます。第三セクターの数字は、この「その他」の中に埋もれていて、単独では読み取れません。
運営主体によって、扱う農産物の範囲も違います。農家(個人)の91.2%は自家生産物だけを売っています。農業協同組合等は全事業体が他の農家の出荷物も取り扱っており、他農家の出荷物を扱う直売所は全体で11,190事業体(53.4%)です。
直売所では何がいくら売れ、どこへ販売されているのか
2024年度の直売所の販売金額を品目別にみると、野菜類が最も多く3,003億円(26.5%)です。次に果実類が2,014億円(17.8%)、農産加工品が1,601億円(14.1%)と続きます。
| 品目 | 年間販売金額 | 構成比 |
|---|---|---|
| 野菜類 | 3,003億円 | 26.5% |
| 果実類 | 2,014億円 | 17.8% |
| 農産加工品 | 1,601億円 | 14.1% |
| 畜産物 | 913億円 | 8.0% |
| 花き・花木 | 847億円 | 7.5% |
| 米 | 825億円 | 7.3% |
| その他の生鮮食品 | 416億円 | 3.7% |
| きのこ類・山菜 | 272億円 | 2.4% |
| その他 | 1,453億円 | 12.8% |
出典は農林水産省「6次産業化総合調査」(2024年度)の品目別年間販売金額です。構成比は筆者が総額1兆1,344億円から計算しました。
運営主体で品目の構成は異なります。農家(個人)の直売所では、果実類が32,496百万円(約325億円)で、野菜類の約81億円を大きく上回ります。会社等の直売所では畜産物が約369億円と最も多く、農産加工品の約295億円が続きます。品目の構成は、運営主体や地域の作物によって変わります。
販売先は、消費者への直接販売が1兆853億円で、全体の95.7%を占めます。そのうち直売所での販売が1兆420億円(91.9%)、インターネットが234億円(2.1%)、その他の方法が199億円(1.8%)です。小売業へは145億円、学校給食へは92億円、外食産業へは86億円でした。直売所を運営しながら、学校給食や飲食店へ納める事業体もありますが、金額は小さい状態です。
販売先別の考え方は、https://smartagri.jp/p/10464/で農産物全体の販売先と比べて詳しく紹介しています。
都道府県・地域ブロックでは、直売所の規模にどんな差があるか
2024年度の農産物直売所の販売金額が最も大きい地域は関東・東山の3,022億円で、九州の2,090億円、東北の1,147億円と続きます。1事業体あたりの販売金額は、沖縄の18,964万円、四国の9,929万円が高い水準です。
| 全国農業地域 | 年間販売金額 | 事業体数 | 1事業体あたり販売金額 |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 295億円 | 1,160 | 2,554万円 |
| 東北 | 1,147億円 | 2,700 | 4,253万円 |
| 北陸 | 514億円 | 1,060 | 4,873万円 |
| 関東・東山 | 3,022億円 | 6,920 | 4,370万円 |
| 東海 | 1,416億円 | 2,370 | 5,970万円 |
| 近畿 | 1,074億円 | 1,710 | 6,269万円 |
| 中国 | 832億円 | 1,500 | 5,541万円 |
| 四国 | 780億円 | 790 | 9,929万円 |
| 九州 | 2,090億円 | 2,670 | 7,815万円 |
| 沖縄 | 174億円 | 90 | 18,964万円 |
| 全国 | 11,344億円 | 20,960 | 5,412万円 |
出典は農林水産省「6次産業化総合調査」(2024年度)の全国農業地域・都道府県別統計表です。地域区分は農林水産省の全国農業地域で、関東・東山には山梨と長野が入り、東海は岐阜、静岡、愛知、三重です。
都道府県別では、販売金額の上位は愛知の546億円、熊本の515億円、埼玉の504億円、長野の495億円、福岡の472億円です。1事業体あたりでは、沖縄の18,964万円、愛媛の12,686万円、鳥取の12,036万円、徳島の10,114万円が高く、北海道の2,554万円、東京の2,594万円、富山の2,716万円が低い値でした。
都道府県別の1事業体あたりの値は、標本の数が少ないため年ごとに大きく変わります。沖縄は事業体数が90と少なく、1事業体の規模が数字を左右します。農林水産省は、都道府県の有効回答数が3に満たない階層で、地域ブロックの平均値を代入する推定をしています。県別の数字は、目安として使ってください。
統計の数字を、自分の直売所の評価にどう使うか
自分の直売所の評価には、運営主体と営業形態が近い区分の数字を使います。農家(個人)で自家生産物だけを売る直売所なら、644万円と、100万円未満から500万円未満が合わせて約7割という分布が比較の基準です。
比べる手順は次の3つです。
- 直売所ごとの年間販売額を、会計帳簿や精算書から集計します。
- 自分の運営主体の区分と、販売金額の階級を、この記事の表から探します。
- 階級の割合から、同じ運営主体の中でどの位置にあるかを確認します。
出荷者の立場で確認する数字は、手数料率と出荷者数です。他農家の出荷物も扱う直売所のうち、86.5%が出荷者から手数料を徴収しています。販売金額に対する平均手数料率は、生鮮品で会員15.5%、会員以外18.8%、加工品で会員17.7%、会員以外20.7%でした。出荷者に出荷者数を聞くと、1事業体あたりの平均は115戸で、農業協同組合の直売所では268戸になります。出荷者数が多い直売所では、棚の競争が激しくなります。
直売所の売上を出荷者ごとに記録するには、納品書と精算書が必要です。日々の納品内容を記録する書類は、販売金額の集計の元になります。出荷伝票の書き方は出荷伝票の書き方と記入例で、委託販売の精算はhttps://smartagri.jp/p/10469/で説明しています。
無料テンプレート:直売所の納品書
直売所へ農産物を納めるときに使う納品書のテンプレートです。出荷者ごとの品目と数量を記録できます。Excel/PDF、登録不要。
消費者がなぜ直売所で買うのかはhttps://smartagri.jp/p/10465/、直売所の売場の見せ方はhttps://smartagri.jp/p/10468/で扱っています。優良事例を知りたい場合は、https://smartagri.jp/p/10467/が参考になります。
統計を引用するときの注意点は何か
引用するときは、年度、調査名、運営主体の区分を併記します。この調査の「年度」は4月から翌年3月までの1年間で、暦年ではありません。
数字は標本調査の推定値です。2024年度は農産物直売所の調査対象3,255事業体のうち、2,244事業体から有効な回答を得ました。有効回答率は68.9%です。年間販売金額が5億円以上の直売所は、全数が調査対象でした。事業体数の公表値は10事業体単位なので、事業体数から計算した1事業体あたりの値は、公表値と少しずれることがあります。
無人販売所、移動販売、インターネットだけの販売は対象外です。道の駅やスーパーの地場産コーナーは、調査上の定義に合うかどうかで含まれる範囲が変わります。同じ直売所でも、他の統計とは数字が一致しない場合があります。
よくある質問
全国の農産物直売所は何か所ありますか。
農林水産省の6次産業化総合調査では、2024年度は20,960事業体です。10事業体単位に丸めた推定値で、無人販売所と移動販売は含みません。2021年度の22,680事業体から、3年間で約7.6%減りました。
直売所の1店舗あたりの平均売上はいくらですか。
2024年度の1事業体あたり年間販売金額は5,412万円です。ただし、500万円未満の事業体が全体の49.6%を占めるので、平均より低い売上の直売所が多数派です。運営主体別では、農家(個人)が644万円、農業協同組合が20,242万円でした。
直売所の統計は、どこで入手できますか。
農林水産省の「6次産業化総合調査」のページから、e-Statの統計表(Excel)をダウンロードできます。調査結果の概要は、PDFでも公開されています。最新の確報は2026年7月7日に掲載されました。
この統計に出荷者ごとの売上は載っていますか。
載っていません。調査の単位は直売所の事業体で、出荷者個人の年間出荷額は公表されていません。出荷者数の平均や手数料率は載っているので、自分の売上は直売所の精算書で確認する必要があります。
まとめ
農産物直売所は、2024年度に全国で20,960事業体、年間総販売金額は1兆1,344億円で、農業生産関連事業の約5割を占めています。事業体数は減っていますが、1事業体あたりの販売金額は5,412万円まで増えました。分布では500万円未満が約半数で、運営主体による差が大きいため、自分の直売所は、運営主体と営業形態の近い区分の数字と比べてください。統計表は農林水産省の「6次産業化総合調査」とe-Statで公開されています。
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