直売所の委託販売 精算書の見方と手数料の計算|記入例と無料テンプレート

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直売所に野菜や加工品を出している農家には、月末か翌月に精算書が届きます。販売額、手数料、振込額が並んだ1枚ですが、自分の記録と数字が合わず、どこを見ればよいか迷う場面があります。この記事は、直売所へ委託販売で出荷している農業者と、自分の店で近所の農家の商品を預かって売る側の両方に向けて書いています。

精算書の項目の読み方、手数料と振込額の計算例、納品書の控えとの突き合わせ方を順に説明します。消費税とインボイス制度については、国税庁の資料に書かれている範囲で整理しました。精算書の様式を定めた法令はありません。手数料率や締め日は、直売所ごとの契約や規約で決まります。

委託販売のお金はどう流れるのか

委託販売では、農家が直売所に商品を預け、直売所が消費者に売り、売れた代金から手数料を引いた額を農家に振り込みます。商品の持ち主は、売れるまで農家のままです。

流れは4段階です。農家が商品と納品書を直売所へ持ち込みます。直売所が店頭で売り、レジで販売日と数量を記録します。月末などの締め日に、直売所が出荷者ごとの販売額を集計し、販売手数料とラベル代などを差し引きます。最後に、直売所が精算書を作り、差引後の金額を振り込みます。売れ残りは、農家が引き取るか、直売所に廃棄を任せるかを、直売所のルールで決めます。

買い取りの場合は、この流れと異なります。直売所が農産物を仕入れる取引は普通の売買であり、請求書や仕入明細書で金額を確かめます。この記事は、売れた分だけ代金が入る委託販売を対象にしています。

精算書にはどんな項目が書かれているのか

精算書の中心は、販売額、手数料、その他の差引、振込額の4項目です。この4つの関係を押さえると、どの直売所の精算書も読めます。

項目 内容 確認すること
精算期間 対象の日付(例:6/1〜6/30) 自分の納品書の日付と範囲が合っているか
品名・規格 品目と内容量 納品書の品目名と同じ単位か
単価・販売数量 税込の売値と、売れた数 持込数から引取数を引いた数と合うか
販売額 単価×販売数量 品目ごとの計算が合っているか
税率ごとの合計 8%対象と10%対象の販売額、消費税額 花や苗が10%側に入っているか
販売手数料 販売額に手数料率を掛けた額 規約の率と、端数の処理が合っているか
その他の差引 ラベル代、袋代、会費など 規約にある費用か
振込額 販売額から手数料とその他を引いた額 通帳への入金額と同じか

売れ残りの引取数は、精算書に載らない直売所が多くあります。直売所は売れた数だけを集計するためです。引取数は、自分の納品書の控えに書いておき、突き合わせの段階で使います。

税率ごとの区分に注意する

飲食料品の販売額は、軽減税率の8%です。切り花、苗、植木など食品でないものは10%です。国税庁が示す精算書の記載例でも、販売額の合計に加えて、10%対象と8%対象を分けた金額と消費税額が書かれています。野菜と花苗を一緒に出している場合は、精算書の税率区分が品目と合っているかを見ます。

手数料と振込額はどう計算するのか

振込額は、販売額から販売手数料とその他の費用を引いて求めます。手数料率は直売所ごとに違い、品目や会員区分で変わることもあります。以下の率は計算を説明するための例であり、実在の直売所の数字ではありません。

例として、1か月の税込販売額が、野菜などの8%対象で120,000円、花苗の10%対象で11,000円だったとします。手数料率を15%、ラベル代を1,200円とします。

項目 金額 計算
販売額の合計 131,000円 120,000円+11,000円
販売手数料 19,650円 131,000円×15%
ラベル代 1,200円 規約どおり
振込額 110,150円 131,000円−19,650円−1,200円

手数料率が10%なら手数料は13,100円になり、振込額は116,700円です。同じ販売額でも、率が5ポイント違うと振込額は約6,500円変わります。複数の直売所に出している場合は、手数料率とその他の費用を直売所ごとに分けて記録します。

手数料にかかる消費税は10%

手数料は、受託者が委託者に提供するサービスの代金です。国税庁の資料は、飲食料品の委託販売について、委託販売の手数料に10%、飲食料品の譲渡に8%の税率が適用されると図で示しています。精算書の手数料の欄に消費税が含まれている場合、販売額の8%とは別の税率で計算されています。

自分の記録と精算書をどう突き合わせるのか

突き合わせは、納品書の控えから「実際に売れた数」を出し、精算書の販売数量と比べる手順で行います。月に1回、次の順に確認します。

  1. 締め日までの納品書の控えを、品目ごとにそろえる。
  2. 品目ごとに、持込数の合計から引取数の合計を引き、自分の計算上の販売数を出す。
  3. 精算書の販売数量と、自分の販売数を比べる。
  4. 数量が合った品目は、単価を掛けて販売額を確かめる。
  5. 販売額の合計に手数料率を掛け、精算書の手数料と、振込額を確かめる。

数量が合わない場合は、まず引取数の書き漏れを疑います。引取数を書いていなければ、売れた数が自分で分からず、精算書の数字を確かめられません。次に、ラベルの貼り間違いや、レジでの品目の取り違えがないかを直売所に問い合わせます。問い合わせるときは、日付、品目、自分の持込数と引取数を伝えると、直売所が調べやすくなります。

無料テンプレート:直売所の納品書

品目、規格、販売価格、持込数、引取数、販売数を書く欄と、手数料と振込額を確かめる精算確認表がついています。Excel/PDF、登録不要。

直売所の納品書をダウンロード(登録不要)

このテンプレートの納品書は、表の上に納品日、直売所名、出荷者名、出荷者番号を書きます。表では、販売価格×持込数が金額になり、持込数から引取数を引いた数が販売数になります。Excel版には、直売所ごとに販売額、手数料率、手数料、振込額を並べる精算確認表のシートがあり、手数料の1円未満は切り捨てで計算されます。端数の扱いは直売所の規約に合わせて直してください。

消費税とインボイス制度ではどこに気をつけるのか

委託販売では、消費者に商品を売っている主体は委託者である農家です。インボイス制度では、農家が適格請求書発行事業者であれば、本来は農家が買い手に適格請求書を交付します。以下は、国税庁のインボイスQ&Aに書かれている範囲の説明です。

媒介者交付特例が使える条件

国税庁のQ&A問48によると、次の2つを満たすとき、受託者の直売所は、自分の名前と登録番号を書いた適格請求書を、委託者に代わって買い手に交付できます。この仕組みを媒介者交付特例といいます。

  • 委託者と受託者の両方が適格請求書発行事業者であること。
  • 委託者が受託者に、登録を受けている旨を取引前までに通知していること。

通知は、取引のたびに書面で行う方法のほか、基本契約に委託者の登録番号を書く方法も認められています。農家が登録していなければ、この特例は使えません。登録をやめたときは、農家が直売所に速やかに知らせます。

精算書が適格請求書の写しの代わりになる

特例を使うと、受託者は交付した適格請求書の写しを保存し、委託者にも速やかに渡します。多数の買い手に日々交付する直売所では、写しを渡すのが現実的ではありません。国税庁は、写しとの関連が分かる精算書を渡せば足りるとしています。ただし、この精算書には、税率ごとに区分した販売額の合計と適用税率、税率ごとの消費税額など、農家が売上の消費税を計算するのに必要な事項を書く必要があります。受託者は渡した精算書の写しを保存し、委託者は受け取った精算書を保存します。

複数の農家の商品を1人の買い手に売る場合も、問49によると、直売所は1枚の適格請求書をまとめて交付できます。このとき、各農家に渡す精算書の消費税額の合計が、買い手に交付した適格請求書の消費税額と一致しないことがあります。各農家の税込対価の合計額から消費税額を計算するなど、合理的な方法を決めていれば差し支えありません。

農協への出荷は扱いが異なる

問46によると、農協などに、売値や出荷先などの条件を付けずに販売を委託し(無条件委託方式)、等級などの区分ごとに平均した価格で精算する(共同計算方式)場合は、組合員の適格請求書の交付義務が免除されます。値段を自分で決めて直売所に並べる委託販売は、この2つの条件を満たさないのがふつうです。

売上に計上する日と、手数料の記帳

税務大学校の論叢は、消費税法基本通達9-1-3を引いて、委託販売における委託者の売上の日を、受託者が商品を売った日と説明しています。売上計算書が売れるたびに作られ、事業者が継続してその到着日を売上の日にしているときは、到着日も認められます。直売所の精算書が月1回の場合の扱いは、税務署か税理士に確認してください。

手数料の記帳については、国税庁が軽減税率の制度実施後の取扱いとして、委託者が売上を手数料の分だけ減らす純額処理をせず、売上10,000円と仕入(手数料)2,000円を分けて処理する総額処理にする例を示しています。精算書の販売額と手数料を、別々に帳簿へ書く方法です。

精算書の内容を帳簿へどう付けるのか

帳簿には、精算書の販売額を売上、手数料とその他の差引を経費として分けて書きます。振込額をそのまま売上に書くと、売上が手数料の分だけ少なく見えるためです。

国税庁が農業を営む青色申告者について示す通達では、野菜などの生鮮な農産物は、販売時に数量、単価、金額を記載するとされています。ただし、数量や単価が明らかでない場合は、記載を省略できます。業務で作成または受領した納品書や請求書などの書類は、白色申告の場合で5年間保存します。精算書は、納品書の控えとあわせてとじておくと、後から照合できます。記帳の具体的な手順は、農業の帳簿のつけ方で説明しています。

精算書のテンプレートはどう使うのか

直売所や自分の店が精算書を作るとき、または受け取った精算書の中身を確かめるときに、ミノリスの無料テンプレートが使えます。納品書の精算確認表は月ごとの振込額の確認までで足ります。品目と税率ごとの明細、消費税額まで出したいときは、精算書のテンプレートを使います。

無料テンプレート:委託販売の精算書

品目ごとの販売額を税率(8%・10%)別に集計し、販売手数料と差引支払額を計算式で出します。媒介者交付特例の確認表つき。Excel/PDF、登録不要。

委託販売の精算書をダウンロード(登録不要)

精算書の欄は、精算書番号と精算期間、委託者と受託者の登録番号、販売日、品名・規格、税率、単価、販売数量、販売額、備考です。Excelには「記入用」と「記入例」のシートがあり、「精算の計算」のシートに手数料率とその他の差引を入れると、税率ごとの消費税額、販売手数料、差引支払額が出ます。消費税額は税込額から税率ごとに1回計算し、1円未満を切り捨てます。「インボイスの確認」のシートで、媒介者交付特例に必要な事項を確かめられます。

よくある質問

手数料は何%くらいですか?

直売所ごとに決まっており、一律ではありません。品目や会員区分で率が変わる直売所もあります。出荷者向けの規約や契約書で確かめてください。この記事の15%や10%は、計算の説明用の例です。

精算書と自分の記録が合いません。どうすればよいですか。

納品書の控えで、品目ごとに持込数から引取数を引き、販売数を出して比べます。引取数の書き漏れは、自分で防げる原因です。それでも合わない場合は、日付、品目、数量を伝えて直売所に問い合わせます。

免税事業者でも委託販売はできますか?

委託販売そのものはできます。国税庁のQ&Aによると、媒介者交付特例は委託者と受託者の双方が適格請求書発行事業者であることが要件のため、農家が未登録の場合、この特例は使えません。直売所がどう扱うかは、直売所に確認してください。

売れ残りを引き取らない場合は、どう記録しますか?

引取数の欄に「廃棄」と書くなど、直売所とのルールに合わせて残しておきます。販売数を後から確かめるときに役立ちます。

まとめ

委託販売の精算書は、販売額から販売手数料とその他の費用を引いて振込額を示す書類で、様式を定めた法令はありません。自分の納品書の控えで、持込数から引取数を引いた販売数を出し、精算書の販売数量と比べると、数字の食い違いを見つけられます。直売所が媒介者交付特例を使っている場合、精算書には税率ごとの販売額の合計と消費税額を書く必要があります。農家は受け取った精算書を保存し、売上と手数料を分けて帳簿に付けます。納品書と精算書のテンプレートを使うと、この確認を毎月同じ手順で進められます。

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