果樹園の将来の収穫量が90%以上の精度で推定可能となるハイパースペクトル遠隔感知技術で注目のFruitSpec社について解説

事業概要

FruitSpec社は、2016年にイスラエルを拠点に設立された農業スタートアップで、果実の将来の収穫量を非常に正確に推定する遠隔感知システムを開発しています。柑橘類栽培の専門家と、ハイパースペクトル遠隔感知技術の専門家によって設立され、困難とされてきたシーズン初期時点での正確な果実収穫量の見積もりを可能にしました。北米、南米、南アフリカ、中国、イスラエルで事業を行なっており、従業員数は約20人です。

Youtube動画:https://www.youtube.com/watch?v=boiWgvErUBk

果物の収量推定は、ランダムサンプリングと人の目で数えることによって行われており、そこから導き出される収量推定を基に、売上高や物流、梱包材の仕入れ、マーケティングといった重要な決定がなされています。しかし自然を相手にした仕事で、収量推定の精度が低いことが課題となっています。

農家はできるだけ早く収量、人手、容器、トラックなどを予測する必要があります

FruitSpec社はハイパースペクトル遠隔感知技術により、90%以上の正確性という高精度でかつ効率的な収量見積もりを実現しています。当社の技術の導入によって、栽培者は収量と将来の財務状況を体系的に把握し、収益性を高めることができます。

ビジネスモデル

FruitSpec社では果物の収量推定をサービスとして提供しています。FruitSpec社のチームが農園に訪問し、ハイパースペクトルカメラを搭載した車両を使用して果樹園をスキャンします。

車両前部のカメラで撮影をします

クラウド上の画像を分析した後、果物の数、サイズと重量の分布、果物の分量を表すヒートマップといったデータを含む収量推定レポートを顧客に提供します。

テクノロジー:高精度で将来の収量を見積もるハイパースペクトル遠隔感知技術

FruitSpec社は、シーズン初期時点で正確に果物の収量を測定するためのハイパースペクトル遠隔感知技術によるソリューションを提供しています。果実の画像を分析し、緑の葉と緑の果実を区別して、シーズン初期に収量を推定します。顧客はFruitSpec社の技術によって、市場の中でより有利な情報を得ることができます。

FruitSpec社の遠隔感知技術は、多数の波長を認識して対象物の反射光を撮影し可視化するハイパースペクトルイメージングと、深層学習アルゴリズムに基づいています。トラクターの両側に付けられたFruitSpecセンサーポッドは、トラクターが果樹園の列に沿って移動するときに植物をスキャンします。そしてコンピュータービジョンが果物の数とサイズを自動的に数え、推定します。

FruitSpec社は栽培者に2種類のレポートを提供します。1つめに果樹園内の果物の数とサイズ分布を表示したもの、2つめにヒートマップを使用した果樹園の果物の量の分布を示したものです。

栽培者は個々の植物と農園全体のレベルで正確な果物の収量とサイズ分布に関する情報を受け取ることができます。

今後の計画

FruitSpecは2019年9月に、AgVenturesとHubei Forbon Technologyより400万ドルの資金調達を完了しており、今後サービス提供地域を大幅に拡大していく予定です。

コメント

現在までサンプリングと人の目で把握していた推定収量の形を覆し、圧倒的な精度と効率性で果樹園の収益性を高めるFruitSpecのハイパースペクトル遠隔感知技術は、今後益々世界中から注目されると考えられます。

参考サイト