「新規事業として農業に参入したいけど、人的・時間的コストがかかりそうで不安」
「農業参入をスムーズにするために、自動化に興味がある」
このように考えていませんか?新規参入を成功させるために、農業の自動化について詳しく知りたいですよね。
そこで本記事では、有機農業の自動化を目指しロボットを開発しているトクイテンが農業の自動化の概要やメリット・デメリット、最新技術について解説します。
農業の自動化・スマート農業の事例を解説しますので、新規参入時にロボットやAIを活用する際の参考にしてみてください。
農業の自動化について理解して、人的・時間的コストを減らしつつ売上を高められる仕組みを作りましょう。
農業の自動化とは?スマート農業の現状や未来を解説
農業の自動化とは、ICTやIoTなどの先進技術を農作業に取り入れることです。収穫や種まきなどを人ではなくロボットや機械が行います。近年、自動化につながるスマート農業(ICTやロボット技術を活用し、作業の効率化や品質向上を実現する農業)が導入され、農林水産省によっても推奨されています。
自動化が求められる主な理由は、農業における労働人材の不足です。農林水産省によると、平成17年には約224万人が農業に従事していましたが、令和2年には約136万人にまで減少したと報告されました。農業に従事する人手が不足しているため、企業が農業に新たに参入する場合、人材確保が困難になっているのです。
そのため、ロボットやAIといった先進技術を用いた農業の自動化が推進され、市場規模も拡大しています。
実際に、株式会社矢野経済研究所の調査によると、2022年度のスマート農業の国内市場規模は、約302億円と報告されました。2029年度には約708億円に達すると予測されています。
通信環境の整備や画像認識機能の向上などにより、機械の精度が高まっているため、今後も農業における自動化が推進されるでしょう。
農業を自動化するメリット3選
農業の自動化には、以下3点のメリットがあります。
- 業務負担が軽減される
- 品質や収穫量が向上する
- 予測の精度が高まる
1.業務負担が軽減される
農業を自動化するメリットとして、業務負担の軽減が挙げられます。AI技術やロボットを活用すると、生産効率が高まり、以下のような作業の負担が軽くなります。
- 収穫作業
- 選果
- 箱詰め
- 長時間の監視
時間や負担のかかる農作業を減らし、効率的に農業を行えるため、人件費の削減にもつながります。
それにより、雇用する人材を減らせて、利益率の向上も期待できるでしょう。
2.品質や収穫量が向上する
品質と収穫量の向上が期待できる点も自動化のメリットです。ロボットやAIの導入により、一定の温湿度管理のもと計画的に水やりを行うなど、ムラのない栽培が可能になりました。
また、人の手では日々の水分量の管理などのばらつきが生じがちですが、自動化やセンサーによる精密な管理により、作物が育ちやすい条件で栽培を行えるようになります。これにより、経験や専門知識がない状態からでも、高品質な作物の収穫量を増加できるでしょう。
3.予測の精度が高まる
AIを活用することによる予測精度の向上も期待できます。センシングデータ(設置されたセンサーによって加速度、温度、気圧などの状態が測定されたデータ)などをAIで分析することで、作物の生育状況や病虫害の発生を事前に予測できるようになるでしょう。
これにより、作物が病気になる前にリスクを特定したり、悪天候に迅速に対応したりできます。その結果、作物が受けるダメージを最小限に抑えられ、収穫量を増やせるでしょう。
農業を自動化するデメリット・課題2選
メリットの多い農業の自動化ですが、以下2点のデメリットや課題点もあります。
- ロボット・AIの活用に知識や技術が必要
- 機器同士の連携が難しい
1.ロボット・AIの活用に知識や技術が必要
ロボットやAIの適切な活用には、技術を活かし、扱える人材が必要です。とはいえ、農業に新規参入する場合、ノウハウがないことが多いでしょう。
そのため、従業員に対して機器の操作に関する研修を行い育成したり、専門知識のある人材を新たに雇用したりする必要があります。
そのほかにも、専門知識をもつコンサルタントに農業の自動化に関する指導を仰ぐ方法も解決策の一つです。
2.機器同士の連携が難しい
農業を自動化する際の課題として、機器間の連携の難しさが挙げられます。農業の自動化を行う機器は、さまざまな企業が開発しているため、異なるメーカーの製品同士がうまく連携しない場合があります。
例えば、収穫予測を行うAIと収穫を実行するロボット間の互換性が低い状況です。この問題を解決するためには、同じメーカーの製品を選ぶか、農業の自動化をサポートするサービスの利用し機器をまとめて利用する方法がおすすめです。
弊社では、有機農業の自動化を実現するトクイテンパッケージを提供しています。
環境モニタリングや遠隔操作が可能な「スマート農業技術」やAIや遠隔制御を活用した「農業ロボット」などを組み合わせたサービスです。さまざまな機器を活用でき、農業の自動化につなげられます。
「機器同士の互換性を気にせずに、農業の自動化をスムーズに行いたい」という方は、トクイテンにお問合せください。
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農業を自動化する最新技術3選
農業の自動化を行う際には、さまざまな技術を活用します。本項では、以下3点の最新技術を解説します。
- 収穫ロボット
- モニタリング
- AI予測
1.収穫ロボット
農業自動化の分野で、収穫ロボットの技術が進化しています。AIによる画像認識技術の向上により、効率的な収穫が可能です。例えば、熟したトマトとそうでないトマトを見分けるなど、状況に応じた判断が可能になり、収穫の自動化が実現しているのです。
この技術により、ロボットが夜間にトマトを収穫して、人が朝にパッキングするなど、最適な役割分担も可能になっています。
2.モニタリング
モニタリング技術も農業の自動化に寄与しています。具体的には、以下の内容を自動で監視・センサーで測定し、データをタブレットなどで確認できます。
- 温湿度
- 日射量
- 風速
- CO₂濃度などのハウス内外の環境
得られたデータにもとづいて栽培を行うと、ハウス内の環境を最適化でき、作物の品質向上や収穫量の増加・安定化を実現できます。
3.AI予測
農業自動化における最新技術として、AI予測が注目を集めています。
例えば、施設内で収集したデータをもとに、AIが収穫量や収穫時期を予測し、それに応じて人員配置を最適化する方法です。これにより、効率的な収穫作業に貢献し、無駄な作業を削減できます。
さらに、AIを用いた病害予測により、施設野菜の品質向上や収穫量の増加につながります。
農業の自動化・スマート農業の企業事例2選
本項では、農業の自動化やスマート農業の企業事例について解説します。
- 株式会社トクイテン
- AGRIST株式会社
1.株式会社トクイテン
株式会社トクイテンは「持続可能な農業へのシフトを加速する」というミッションのもと、ロボットのプロトタイプ開発や2,000平米の栽培施設での有機農業を進めています。
具体的には、ロボットを活用して収穫作業や重量物の運搬などの作業を自動化しました。センサーを用いた気温や湿度のモニタリング、窓や換気扇の遠隔操作の自動化を通じて、精密で効率的な生産を実現しています。
その結果、収穫量を2倍以上に増やしながら、人件費の50%削減に成功しています。
ロボットによる収穫の映像は、以下の動画を確認してみてください。
また、毎日新聞でハウスでのトマト収穫について解説しているため、自動化について詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
1次産業の今 有機農業の自動化を ロボットがハウストマト収穫 高齢化、市場拡大への実験室 /愛知
2.AGRIST株式会社
AGRIST株式会社は、吊り下げ式の形状をもつピーマン自動収穫ロボット「L」を開発しました。大きなピーマンのみを選んで収穫し、周囲の小さいピーマンを残す機能をもっています。
使用方法として、吊り下げ式で移動し、ピーマンを探索します。発見次第、AGRISTが独自に開発したハンドでピーマンをカットし、収穫したピーマンをロボット内のボックスに溜めていきます。一定量がボックス内に溜まると、所定の場所にあるコンテナに放出し、再び収穫作業を継続できるのです。
このように、ロボットを活用した収穫の自動化により、効率的な農作業が可能になります。
農業を自動化して、企業の新規参入を成功につなげよう
農業の自動化とは、農作業にICTやIoTの技術を取り入れることです。業務負担が軽減されたり、作物の収穫予測の精度が高まったりするメリットがあります。
農業への参入時には、収穫ロボットやモニタリング技術などを活用して、人的コストを減らしつつ、安定した生産につなげましょう。
トクイテンでは、有機農業の自動化を実現するロボットなどを開発しています。
例えば、収穫ロボットや液体噴霧ロボット、防虫ロボットなどの複数のロボットのプロトタイプを開発しました。
作物生産においては、ロボット技術も活かし、2023年4月には有機JAS認証を取得し、科学的なアプローチによるミニトマト栽培を成功させています。味や糖度の高さを評価され、初回からオーガニックスーパーやホテルに出荷する実績を獲得しています。
トクイテンでは、農業参入企業向けにコンサルティングサービスも提供しているため、興味のある方は気軽にお問い合せください。
トクイテンへのお問い合わせはこちら
h2:参考サイト
・スマート農業に関する調査を実施(2023年)|株式会社矢野経済研究所
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3405
・スマート農業の展開について|総務省
https://www.soumu.go.jp/main_content/000775128.pdf
・農業機械の安全性確保の自動化レベル|農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kihyo03/gityo/g_smart_nougyo/pdf/04_jidouka.pdf
・ほ場・施設環境モニタリング|農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/smart/forum/R2smaforum/mattingu/kankyo.html