水耕栽培におすすめの野菜6選!失敗しない選び方や栽培方式を解説

「水耕栽培にはどのような野菜がおすすめ?」

「ノウハウがなくても水耕栽培で育てやすい野菜を知りたい」

「水耕栽培に向いている野菜と向いていない野菜の違いを理解したい」

水耕栽培への参入を検討していて、どのような野菜を選べば良いのか迷っていませんか?

本記事では、水耕栽培におすすめの野菜や、野菜選びのポイントを詳しく解説します。水耕栽培の栽培方式や特徴も紹介するので、育て方や収益性を見て方法を検討してみてください。

本記事を見て、水耕栽培への参入に失敗しない知識を身につけましょう。

水耕栽培とは、水と養液だけで野菜や植物を育てる方法

水耕栽培とは、土を使わずに水と養液だけで植物を育てる栽培方法です。植物の根を養液に浸すことで、必要な水分と養分を吸収させ、植物を成長させます。

水耕栽培には、下記のようなメリットがあります。

  • 栽培管理しやすい
  • 安定栽培が可能

植物工場などの室内で行う場合、温度や湿度、養液の濃度などを細かくコントロールできるため、栽培管理が容易になります。屋外での栽培と比べ、天候や風の影響を受けにくいのもメリットです。

また、病害虫の発生リスクが低く抑えられ、農薬の使用を最小限に抑えられます。したがって、安全性の高い野菜を安定的に生産できます。

水耕栽培市場は世界において拡大傾向にあります。実際に、Vantage Market Researchによると、水耕栽培市場は、2022年に約5兆5億円に達しました。今後も年平均7.5%のペースで成長を続け、2030年には約9兆1億円に達すると予測されています。日本でも、水耕栽培による農業の活性化が期待されるでしょう。

水耕栽培の概要は下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

【一覧表】水耕栽培におすすめの野菜6選

水耕栽培におすすめの野菜は、以下のとおりです。

野菜特徴
ミニトマト生命力が強く、適切な養分管理で甘みの強い実が収穫できる。収穫量も多い
レタス長期間収穫が可能。えぐみがなく食べやすい
バジル種まきから約1か月で収穫可能。切り取った茎から再生するため、数か月にわたり収穫できる
ホウレンソウ1か月半~2か月ほどで収穫できる
ベビーリーフレタス、ケール、ホウレンソウなどの幼葉。一般野菜より栄養価が高い
パセリ約2か月で収穫できる

水耕栽培で育てられる野菜の特徴を詳しく解説します。

ミニトマト

ミニトマトは水耕栽培に適した野菜の一つです。ビニールハウスでの栽培だけでなく、植物工場内での水耕栽培も可能です。

適切な養分管理を行えば、甘みが強く美味しいミニトマトを栽培できます。土耕栽培よりも養分吸収が効率的であり、収穫量の増加も期待できるでしょう。

レタス

レタスは水耕栽培の代表的な野菜です。水耕栽培では、種まきから収穫までに1.5〜2か月ほどかかりますが、長期間収穫できるのが特徴です。水耕栽培で育てたレタスは柔らかく、えぐみが少ないというメリットがあります。

バジル

ハーブの一種であるバジルも、水耕栽培での栽培に適しています。

生育が早く、種まきから1か月ほどで収穫できるサイズに成長します。また、収穫時に切り取った茎を水に浸すと再び成長するため、数か月にわたって何度も収穫が可能です。

ホウレンソウ

葉物野菜のホウレンソウは水耕栽培向きの野菜であり、15〜20℃の温度管理のもと、種まきから1.5〜2か月ほどで収穫できるサイズに育てられます。

ただし、長時間日光に当たり続けると「トウ立ち(花芽がついて茎が伸びること)」という現象が起こるので、夏場は日光の当たりすぎに注意が必要です。

ベビーリーフ

ベビーリーフとは、若葉の状態で収穫する野菜の総称です。水耕栽培で育てると、農薬を使わずに栽培でき、安心・安全に食べられます。

苦みやえぐみが少なく、柔らかい食感なので、子供でも食べやすいのが特徴です。子供向けの野菜として売り出せるでしょう。

パセリ

パセリは、水耕栽培でスポンジに種をまいて育てると、約2か月で収穫できる大きさに成長します。開花すると風味が落ちてしまうので、花が咲く前の若い葉を収穫するのがおすすめです。

水耕栽培の野菜の選び方・向いていない野菜の種類も解説

水耕栽培で育てる野菜の選び方のポイントを2つ紹介します。水耕栽培には向いていない野菜についても説明するので、栽培する作物を選ぶ際の参考にしましょう。

1.葉物野菜

葉物野菜は水耕栽培に参入する際におすすめの野菜です。特に、レタスや大葉、サンチュといった種から育てられる葉物野菜は栽培が容易です。葉物野菜の多くは生育が早く、種まきから1〜2か月程度で収穫でき、手軽に水耕栽培を始められます。

一方で、にんじんやだいこんといった根菜類は水耕栽培には不向きです。根菜類は根の一部が肥大して食用となりますが、水耕栽培では根のほとんどが養液に浸かった状態になります。したがって、根が肥大せず腐ることが多い傾向です。

品質の点からも葉物野菜を栽培するようにしましょう。

2.生命力が強い野菜

生命力の強い野菜も水耕栽培に適しています。例えば、ミニトマトは株が大きく成長する力強い野菜です。適切な養分管理を行いつつ、過度な繁茂を抑えることで、良質なミニトマトを収穫できるでしょう。

そのほかにも、ミントやバジルといったハーブ類も生命力が強く、水耕栽培に向いています。これらのハーブは多少の栽培環境の変化にも耐えられるので、きめ細かな管理をしなくても育てられます。

さらに、ハーブの香りには虫よけ効果もあるため、ゴキブリや蜂などの害虫を寄せ付けにくい点もメリットです。

水耕栽培で野菜を育てる方式4選

本項では、水耕栽培で野菜を育てる方式を4つ紹介します。

DFT方式

DFT方式(湛液型水耕法)は、専用のベッドに養液を溜め、植物の根を養液に浸して栽培する方式です。栽培の手間が少なく済むのがメリットです。

ただし、根が常に水中にあり、酸素不足で生育不良や根腐れが起こるリスクがあります。エアーポンプで養液に酸素を供給する工夫をしましょう。

NFT方式

NFT方式(薄膜型水耕法)は、傾斜をつけたパイプの中を養液が薄く流れる栽培方式です。少ない養液で栽培でき、コストを抑えられます。さらに、根が空気に触れているため、酸素不足の心配がありません。

デメリットは、停電などでシステムが止まると養液の循環が途絶え、栽培が継続できなくなる点です。NFT方式を採用する場合は、非常用電源の確保など、トラブル対策が必要不可欠です。

EZ水耕

EZ水耕は水田に発泡スチロール製のパネルを浮かべ、その上で栽培を行う方式です。水田の水で肥料が溶け出すことから、肥料を追加する必要がなく収穫まで手間がかかりません。屋外で行うため、ビニールハウスなどの施設も不要です。

稲作と比べて収益性が高く、一般的な水耕栽培よりも初期コストを抑えられるのが魅力です。低コストで参入しやすい栽培方式と言えるでしょう。

アクアポニックス

アクアポニックスは、水耕栽培と魚の養殖を同時に行う栽培方式です。魚の排泄物に含まれる養分を植物が吸収し、その養分で野菜を栽培できます。

魚が出した栄養分が植物に吸収され水がきれいになるので、水を交換する手間も必要なくなります。

栽培の効率化ができつつ、環境に配慮したシステムであり、農業参入で環境問題に取り組みたい企業に向いている方法と言えるでしょう。

水耕栽培はさまざまな野菜の栽培が可能

水耕栽培は土を使わずに野菜を育てる栽培方法で、レタスやホウレンソウ、ハーブ類など、さまざまな野菜に適用できます。病害虫の影響を受けにくく、安定的に野菜を生産できるのが特徴です。

葉物野菜は水耕栽培の入門にぴったりであり、ミニトマトのように力強く育つ野菜も栽培に適しています。一方で、にんじんなどの根菜類は根の一部が水中に浸かったままになるため、栽培には向きません。

水耕栽培にはDFT方式やNFT方式など、いくつかの栽培方式があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、栽培目的や投資予算に合わせて適切な方式を選びましょう。

農業参入においては水耕栽培以外にも、有機農業といった選択肢があります。

有機農業では、環境への配慮をしつつ、付加価値をつけた高単価の作物を栽培できます。ITを活用した収穫も可能なため、参入の選択肢の一つになるでしょう。

トクイテンでは、ロボットとAIを活用した有機農業の自動化を目指しています。収穫ロボットや防虫ロボットなどを開発し、科学的なアプローチを成功させた実績ももっています。

農業に参入する企業向けにコンサルティングサービスも提供しているため「農業に関する知識がない」「有機農業について学びたい」という方は、お問合せください。

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参考サイト

・水耕栽培(植物工場)| 独立行政法人 工業所有権情報・研修館水耕栽培

https://www.inpit.go.jp/blob/katsuyo/pdf/chart/fippan23.pdf

・Hydroponics Market Size USD 58.3 Billion by 2030|Vantage Market Research

https://www.vantagemarketresearch.com/industry-report/hydroponics-market-2301