空中に浮かぶ根に栄養豊富なミストをかけて成長させる「エアロポニックス技術」による垂直農業技術を開発するLettUs Grow社について解説

LettUs Grow社の事業概要

LettUs Grow社は、屋内垂直農業での作物育成を、シンプルかつ効率的でサステイナブルなものとする農業管理ソフトウェアを開発している農業スタートアップ企業です。イギリスを拠点としており、2015年にBen Crowther氏、Charlie Guy氏、Jack Farmer氏の3名によって設立されました。従業員数は約10〜30名ほどと推測されます。

世界では人口増加による食糧不足の問題と、環境問題が深刻になってきており、場所や気候にかかわらず室内で作物を生産できる垂直農業への期待が高まっています。LettUs Grow社の垂直農業管理技術「エアロポニックス」は、土壌を利用する変わりに生分解性の有機マットを、日光の変わりに人工の照明システムを使い、栄養がふんだんに含まれたミストをかけることによって空中で植物を育てる方法です。

Youtube動画: https://www.youtube.com/watch?v=LFDkHvvEgrM

この技術を使うことで、誰もがどこでも農産物を育てることができ、また廃棄物や二酸化炭素排出量も減らすことができます

テクノロジー:土壌ではなく空中に浮かぶ根に栄養豊富なミストをかけて成長させるエアロポニックス技術

LettUs Grow社では、同社の土を使用しないで植物を育てる方法である「エアロポニックス」と呼ばれる技術を採用しています。植物の根は土壌ではなく空中に浮遊し、栄養豊富なミストで灌漑されます。これにより、根が酸素を取り入れやすくなり、結果として土壌で育てるよりも作物の成長速度が著しく向上します。

専用マットとミストで栽培する(公式動画より)

LettUs Grow社のエアロポニックシステムは、ミストの投与量を調節でき、栄養素を散布する精度を高めることができます。また作物ごとにに制御でき、トレイや成長段階に応じて簡単に調節できます。

当社のエアロポニックシステムの特徴は、従来の農作よりも効率的に成長させることができる点です。従来の農業よりも水の使用量を最大95%削減し、殺虫剤や有害化学薬品の使用も不要になります。

根はミストから栄養を吸収し、土がないので酸素を最大限吸収できる(公式動画より)

土壌に圧力がかからない上、どこでも栽培できるので農場から小売店まで輸送が必要なく、トラクターなどの利用も不要のためCO2排出量を減らすことができます。

またLettUs Grow社ではファーム管理プラットフォーム「Ostana」を提供しており、リモートで垂直農業を管理・データ収集し、植物の成長を最適化することができます。

ビジネスモデル

LettUs Grow社では現在エアロポニックスシステムの商品化に取り組んでいます。生産者は当社の垂直農業ユニットを購入し、当社はソフトウェアによる監視とメンテナンスサービスを提供する予定です。

現状では垂直農業に必要な電力量が多いため、価値の高いハーブや野菜以外の植物の育成によって利益を得ることは困難だとされています。しかしLettUs Grow社がシード資金として290万ドルを調達したように、垂直農業への期待とニーズは今後高まることが予想されます。

コメント

Global Market Insightsによれば、垂直農業のグローバル収益は長期的にみて2026年までに220億ドルを超えると予想されています。LettUs Grow社が開発するような技術の利用によって今後垂直農業がより身近な食料・環境問題の解決策として普及していくことが期待されています。

参考サイト