農林水産省が公表した令和7年産の畑作物生産費で、10a当たりの全算入生産費が最も高いのは原料用かんしょの166,751円、最も低いのはそばの39,025円でした。差は4.3倍です。大豆は70,654円で前年産より1.4%減りました。そばの45kg当たりは前年産より13.4%増え、なたねの60kg当たりも12.3%増えました。この記事では、10作物の生産費を同じ表に並べ、転作や作付けの見直しで比較しやすくしています。
10作物の10a当たり生産費ランキング
全算入生産費は、物財費と労働費に、資本利子と地代を加えた金額です。ランキングの上位3作物は、いずれも対象地域が限られています。かんしょは鹿児島県、さとうきびは鹿児島県と沖縄県、てんさいは北海道の経営体が調査対象です。
全国の経営体を対象にする作物は、小麦、大豆、なたね、そば、大麦類です。この中では小麦が76,146円で最も高く、大豆、なたね、二条大麦、はだか麦、六条大麦、そばの順に続きます。
作物別の生産費一覧【令和7年産】
| 作物 | 10a当たり全算入生産費(円) | 前年産比 | 単位当たり全算入生産費 | 前年産比 | 10a収量 | 10a労働時間 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 原料用かんしょ(鹿児島) | 166,751 | +2.5% | 7,513円/100kg | +6.0% | 2,219kg | 54.31時間 |
| さとうきび(鹿児島・沖縄) | 140,496 | -1.1% | 22,185円/t | -2.2% | 6,333kg | 26.32時間 |
| てんさい(北海道) | 126,298 | +1.3% | 18,502円/t | +6.6% | 6,827kg | 10.56時間 |
| 小麦(個別経営体) | 76,146 | +3.4% | 9,305円/60kg | +6.7% | 491kg | 3.30時間 |
| 大豆(個別経営体) | 70,654 | -1.4% | 17,893円/60kg | -0.2% | 238kg | 5.42時間 |
| なたね | 62,946 | +4.8% | 14,667円/60kg | +12.3% | 257kg | 2.47時間 |
| 二条大麦 | 59,791 | +8.8% | 7,720円/50kg | -8.4% | 387kg | 4.97時間 |
| はだか麦 | 56,521 | +7.9% | 11,949円/60kg | -12.3% | 283kg | 6.96時間 |
| 六条大麦 | 52,044 | +2.8% | 7,692円/50kg | -11.9% | 339kg | 4.26時間 |
| そば | 39,025 | +3.4% | 30,748円/45kg | +13.4% | 56kg | 3.40時間 |
単位当たり生産費の単位は作物ごとに異なります。収量と労働時間は10a当たりの値です。小麦と大豆は個別経営体の数値で、組織法人経営体の小麦は10a当たり65,239円(前年産比+2.5%)、60kg当たり9,508円(同-4.9%)でした。
単位当たりでは、そばとなたねが1割以上上昇
10a当たりの変化と、収穫物1単位当たりの変化は一致しません。そばの10a当たりは3.4%の増加でしたが、10a収量が63kgから56kgへ下がったため、45kg当たりは13.4%増えました。なたねも収量が276kgから257kgに下がり、60kg当たりが12.3%増えています。

反対に、二条大麦、六条大麦、はだか麦は10a当たりが増えても、60kgまたは50kg当たりは8〜12%下がりました。農林水産省は、これらの10a当たり増加の理由として、乾燥・調製委託費用、労働費、肥料費の増加を挙げています。
費目別に見た増減の理由
農林水産省の概要は、作物ごとに増減の主因を次のように示しています。
- 大豆: 労働時間の減少により労働費が9.5%減少
- てんさい: 修繕費の増加で農機具費が4.8%、種子価格の上昇で種苗費が18.9%増加
- かんしょ: 雇用労働費の増加で労働費が3.7%増加
- さとうきび: 労働時間の減少で労働費が8.8%減少
- そば: 償却費の増加で農機具費が12.7%増加
- なたね: 施肥の見直しで肥料費が18.7%増加
かんしょは労働費が84,326円で、生産費全体の55.1%を占めます。10a当たりの労働時間も54.31時間と、10作物の中で最も長くなっています。大豆の労働時間は5.42時間なので、10倍の差があります。
大豆の生産費は10年でどう動いたか
大豆の10a当たり全算入生産費は、平成28年産の62,768円から令和7年産の70,654円まで上がりました。令和6年産の71,669円が最高で、令和7年産は労働費が10,932円から9,890円に下がり、わずかに低下しています。

農家にとっての読み方
転作作物を比べるときは、10a当たりの金額と、単位当たりの金額の両方を確認します。そばは10a当たりの金額が最も低い一方、収量が56kgと少なく、45kg当たりは前年産より13.4%増えました。ただし、この表は生産費だけの比較です。販売価格、交付金、地域の適性は別に確認します。
調査対象は10a以上を作付けして販売する個別経営体です。自社の作付け規模や地域が調査対象と大きく異なる場合は、数値を目安として使います。食料全体の動きは日本の食料自給率、地域別の産出額は都道府県別 農業産出額ランキング、米のコスト構造は米の適正価格とコスト指標の記事にまとめています。
データの引用について
出典: 農林水産省「農業経営統計調査 令和7年産 大豆・そば・てんさい・原料用かんしょ・さとうきび生産費」(令和8年8月21日公表)、同「なたね生産費」「麦類生産費」(令和8年6月30日公表)をもとに先端農業マガジンが作成。農林水産省のウェブサイトの利用規約(政府標準利用規約・PDL1.0)に基づき、数値を表に整理し、グラフを描き直しています。表の数値は出典を明記すれば再利用できます。