ファインバブル(マイクロバブル・ウルトラファインバブル)を農業に使うと、実際どの作物で、どんな効果が、どれくらい出ているのでしょうか。このページは、大学の査読論文・公的機関の報告・装置メーカーの導入事例・海外の実証を横断して、「作物ごとの効果と、その根拠となる出典」を一覧できる実績集です。効果が確認された事例だけでなく、効果が出なかった・条件に依存した事例も正直に載せています。技術のしくみや装置の選び方は「農業用ファインバブル・ウルトラファインバブルとは」で解説しているので、あわせてご覧ください。
出典の信頼性について:各事例には出典の性格がわかるようラベルを付けています。【査読論文】は学術誌に掲載され本文を確認したもの、【公的】は行政機関の資料、【共同実証・研究】は企業と大学・研究機関の連携発表、【メーカー公表】は装置メーカーの導入事例、【海外・企業公表】は海外企業の公表事例、【当社実証】は本メディア運営元トクイテンが関わった実証です。数値はいずれも特定の条件で得られた個別の実証値であり、どの環境でも同じ結果が出ることを保証するものではありません。
はじめに:ファインバブルは「万能」ではなく「条件が重要」
事例を読む前に押さえておきたいのは、ファインバブルの効果は気泡の種類(空気・酸素・水素・オゾン・CO2)、濃度、作物、品種、生育ステージ、水のpHや養分濃度によって大きく変わるという点です。同じ装置でも、ある条件では増収し、別の条件では効果が消える、あるいは逆効果になることが複数の研究で報告されています。実際に、酸素を過剰に溶かすとかえって減収した事例(春トウモロコシ)や、同じレタスでも品種によって効果が出たり出なかったりする事例が査読論文で確認されています。以下の一覧でも、そうした「条件依存」「効果なし」の報告をあえて残しました。導入を検討する際は、自分の作物・環境に近い条件の事例を選び、可能なら小規模での事前検証をおすすめします。
なお、35本の論文・約2,400のデータ対を統合した国際的なメタ分析(2026年)では、マイクロナノバブル水の灌漑は全作物平均で収量+13.55%、ビタミンC+18.33%、水利用効率+11.15%、根の乾燥重量+27.21%で、とくに野菜・果実で効果が大きいと報告されています(Plant and Soil, 2026)。全体像として、平均的には1割強の増収効果が見込める技術、というのが現時点の学術的な相場観です。
トマト・ミニトマト
ファインバブル農業のなかで最も研究事例が多い作物のひとつです。とくに近年は水素ナノバブルを使った圃場試験で、無施肥でも大きな増収を報告する査読論文が中国から複数出ています。
- 収量+39.7%・リコピン+22.3%(水素ナノバブル水)【査読論文】…南京農業大学ほか。2年間の圃場試験で、無施肥の水素ナノバブル水を与えたミニトマトの1株あたり収量が最大+39.7%、糖酸比+8.6%、リコピン+22.3%。無施肥の水素ナノバブル区が「地表水+施肥」区を上回った(2024年)。出典(Plants, 2024)
- 収量+22.5%・リコピン+36.1%(水素ナノバブル地中点滴)【査読論文】…中国農業大学ほか。水素ナノバブルを地下15cmから点滴灌漑したトマトで、収量+22.5%、リコピン+36.1%、抗酸化成分(グルタチオン・ビタミンC等)も増加(2024年)。出典(Horticulture Research, 2024)
- 収量+約20%・糖度+約2度(酸素UFB水耕)【公的】…経済産業省 九州経済産業局『ファインバブル活用事例集』。ウルトラファインバブル水を供給した水耕ミニトマト4品種で、収量が約20%増、糖度が約2度上昇(技術協力:Ligaric)。出典(九州経済産業局, 2018)
- 2014年5〜35%増・2015年46%増(酸素添加ファインバブル)【メーカー公表】…OKエンジニアリング。熊本県のミニトマト農家で、酸素を1割添加したファインバブル灌水により収穫増を報告。出典(OKノズル導入事例)
- 収穫量110%にアップ(UFB)【メーカー公表】…丸山製作所。既設の散水チューブにUFB水を送水したミニトマトで収穫量が110%に。出典(丸山ウルトラファインバブル導入事例)
- 果実重+9%・Pythium最大80%減(ナノバブル)【海外・企業公表】…オランダの研究機関NovaCropControlが独立評価(Moleaer社)。毛細根の発達改善、耐暑性向上、糖度・栄養密度は維持(2021年)。出典(Moleaer)
イチゴ
- 総収穫量+24%・糖度+0.9度(酸素ファインバブル・高設養液)【公的】…九州経済産業局『ファインバブル活用事例集』。酸素ファインバブル水を養液に供給した高設養液栽培イチゴで、総収穫量が24%増、果実糖度が0.9度上昇。出典(九州経済産業局, 2018)
- 単果重+14.6%・ビタミンC+29.9%(水素ナノバブル点滴・査読)【査読論文】…南京農業大学ほか。水素ナノバブル水を点滴したブルーベリー…ではなくイチゴ近縁の果実で、単果重+14.59%、ビタミンC+29.87%、抗酸化酵素の増加を確認(別途イチゴでも香気成分・糖酸比・官能評価の向上が査読論文で報告 Food Chemistry, 2022)。
- 収量+14%・Pythium菌74%減(酸素ナノバブル)【海外・企業公表】…オランダのDelphy研究所がMoleaer社の依頼で実施。酸素ナノバブル灌水でイチゴ収量が株あたり約1kg(+14%)増、根の病原菌Pythiumが未処理比74%減。溶存酸素は平均30mg/L(対照7〜9mg/L)。出典(Hortidaily)
- 販売可能収量+23.1%(ナノバブル)【海外・企業公表】…ニュージーランドWindermere Berry Farms(Nanobubble Agritech)。点滴灌漑で1シーズン、樹勢向上・病害抵抗性改善を伴い販売可能収量+23.13%。出典(Nanobubble Agritech)
レタス・葉物野菜
- 収穫重が約2.5倍(酸素UFB・植物工場)【公的】…九州経済産業局『ファインバブル活用事例集』。酸素ウルトラファインバブル水を供給した植物工場のレタスで、播種後50日の収穫重量が約2.5倍に向上(技術協力:IDEC)。根の成長促進・根腐れ防止も報告(2018年)。出典(九州経済産業局, 2018)
- 品種によって効果に差(+35.9%増〜有意差なしまで)【査読論文】…京都大学ほか。植物工場の水耕レタスでUFB処理により溶存酸素+59.5%。茎葉生重はGreenwave+35.9%、Frilly+32.3%、Romaine+28.1%と有意に増えた一方、Green leaf・Butterhead・Lambの3品種は有意差なし。同じレタスでも品種で効果が出たり出なかったりする好例(2025年)。出典(Environment Control in Biology, 2025)
- 根長が126%長く(酸素ナノバブルNFT水耕)【査読論文】…マッセー大学(ニュージーランド)。酸素ナノバブルのNFT水耕で、ある品種の根長が599mm対257mm(+126.5%)、生重・貯蔵性も向上(2023年)。出典(Acta Horticulturae, 2023)
- 結球重+11%・高温下の病害抑制(ナノバブル)【海外・企業公表】…ベルギーの野菜栽培研究センターProefstationでの試験(Moleaer社)。ナノバブル処理でレタスの結球重が対照比+11%、25℃の高温ストレス下でPhytophthora(疫病)を抑制。出典(Hortidaily)
コマツナ(小松菜)
コマツナは公的・学術・当社の事例がそろっており、「効果あり」と「条件依存」の両方を比較して見られる作物です。
本メディア「先端農業マガジン」の運営元である株式会社トクイテンが、ノリタケと共同で、自社のラボ農場(愛知県知多市)にてファインバブルの有機小松菜栽培への効果を実証しました(2025年10月〜2026年4月・3作)。
- ファインバブル灌水(空気):株重量 +27%、糖度 +31%、えぐみのもとになる硝酸イオン −20%、草丈 +6%
- ファインバブルミスト(オゾン):白さび病の発生率が0%(対照区は12.1%)
出典:ノリタケ公式ニュース / トクイテン プレスリリース
- 肥料20%減でも生育向上(MUFB)【共同実証・研究】…丸山製作所×高知工業高等専門学校。液肥を20%削減してもMUFB水の区では葉部の生育・成長関係ホルモン量が向上し、減肥と成長促進の両立を実証(2023年)。出典(プレスリリース)
- 本葉7.64枚 vs 6.97枚・ただし発芽には効果なし(酸素UFB)【査読論文】…新潟大学。液肥ありの酸素UFB水を与えた底面給水コマツナは本葉枚数・草丈が有意に増加。一方で発芽そのものには効果がなく、液肥なし区では有意差が出ないなど条件依存だった(2020年)。出典(森林遺伝育種, 2020)
- pH6.5では生育向上/pH4.5では逆に阻害(マイクロバブル)【査読論文】…滋賀県立大学。水耕コマツナにマイクロバブルを与えたところ、pH6.5では他区より生育が良くカリウム・カルシウム吸収も増えたが、pH4.5では生育が阻害された。気泡の電気的性質(ゼータ電位)とpHの関係が示唆された(2018年)。出典(実験力学, 2018)
- 地上部生重+34%(チンゲンサイ近縁・空気ナノバブル)【査読論文】…大阪大学。空気ナノバブル水でチンゲンサイ近縁のアブラナ科葉菜の草丈+14%、地上部生重が27.3g対20.3g(+34%)に(2013年)。出典(PLoS ONE, 2013)
ホウレンソウ
- 発芽率が約2倍(マイクロバブル)【査読論文】…滋賀県立大学。水耕ホウレンソウでマイクロバブル区の発芽率が曝気区・対照区の約2倍に。曝気のみの区では生理障害が出たのに対し、マイクロバブルは根からの養分吸収に寄与すると示唆(2016年)。出典(実験力学, 2016)
- 硝酸イオン抑制・夏場出荷が可能に(ファインバブル)【メーカー公表】…OKエンジニアリング。愛知県のホウレンソウで、通常水では硝酸イオンが上昇するのに対しファインバブル水では低く維持され、成長も促進(2017年〜)。出典(OKノズル導入事例)
- 夏場出荷が可能に・収益改善(UFB)【メーカー公表】…丸山製作所。循環式潅水にUFBを使い、ほうれん草の夏場出荷を実現、収益が70円/200g→120円/200gに。出典(丸山UFB導入事例)
キュウリ
- 収量+22.5%・ビタミンC倍増(マイクロナノ酸素灌漑)【査読論文】…寧夏大学・湖南農業大学。溶存酸素9mg/L(対照4mg/L)のマイクロナノ酸素灌漑を施設キュウリに行い、収量+22.47%(秋冬作は+28%)、ビタミンC倍増、硝酸態窒素の低下(品質向上)、光合成速度の向上を報告(2023年)。出典(Scientific Reports, 2023)
- 収量+16.2%/+10.5%/+13%(スペイン3研究機関で実証)【海外・企業公表】…スペイン・アルメリアのハウスキュウリで、Cajamar財団・Tecnova・アルメリア大学の3試験がそれぞれ増収を確認。肥料や過酸化水素の投入増なしで達成(Moleaer社供給)。出典(Fruitnet)
ピーマン・パプリカ
- 収量+40.75%(曝気点滴・査読)【査読論文】…華北水利水電大学。曝気点滴灌漑(ADI)でトウガラシ(チリペッパー)の収量+40.75%、純光合成+9〜19%、土壌の硝酸態窒素も増加(2024年)。出典(Plants, 2024)
- 根の健全性+25%・果実肥大+30%(ナノバブル)【海外・企業公表】…オランダの試験研究センターNovaCropControlでの20週間試験(Moleaer社)。パプリカで根の成長+25%、果実カリバー+30%(2022年)。出典(Moleaer)
水稲(イネ)
- 収量+8%、または同収量を肥料25%減で達成(ナノバブル)【査読論文】…ニュージャージー工科大学(米国)。ナノバブル水で水稲の収量+8%、あるいは同じ収量を肥料約25%減で実現。窒素・カリウム吸収に関わる遺伝子の発現が高まった(2021年)。出典(Science of the Total Environment, 2021)
- 二期作で早稲+4.8〜11%・晩稲+6.1〜14%(マイクロナノバブル)【査読論文】…江西省農業科学院(中国)。気泡濃度が高いほど増収する傾向(2022年)。出典(Agronomy, 2022)
- 栄養成長期は生育促進、ただし最終収量は有意差なし(UFB灌漑)【査読論文】…近畿大学・滋賀県立大学・福島大学ほか。UFB水を灌漑した水田では栄養成長期の草丈・分げつ数が増えたが、生殖成長期には効果が減衰し、最終収量には有意差が出なかった。一方で根が深く伸び、水田からのメタン放出が低下する副次効果も確認(2022年)。出典(日本作物学会, 2022)
育苗(種まき・苗づくり)
種子の発芽や苗づくりの段階でファインバブル水を使う取り組みも進んでいます。ただし発芽はとくに条件依存が強い分野で、適正な濃度では発芽を早める一方、濃度が高すぎると逆に発芽を抑える研究もあります。「発芽率が必ず上がる」と決めつけず、自分の作物・種子で試すのが安全です。
- 水稲の育苗で根の長さが2倍以上(UFB)【公的】…九州経済産業局『ファインバブル活用事例集』。稲苗の育苗でUFB水を活用した事例で、根の長さが通常の2倍以上に成長したと報告(数値の出所は装置メーカーの提供事例)。出典(九州経済産業局, 2018)
- 水稲の育苗で理想的な根張り・欠株の防止(UFB)【メーカー公表】…丸山製作所。育苗の潅水にUFB水を使い、例年より理想的な根張り、通常黄変する苗が緑色を維持、欠株を防げたと報告(数値なしの定性事例)。出典(丸山UFB導入事例 case-001)
- 乾燥ワサビ種子の発芽率が約10%→約71%(酸素ナノバブル)【査読論文】…東北大学ほか。通常は発芽率が非常に低い保管後の乾燥ワサビ種子で、カリウムを含む酸素ナノバブル水を用いると発芽率が大幅に回復。種子内外のイオン交換が発芽を後押しすると報告(2023年)。出典(Scientific Reports, 2023)
- 適正濃度で発芽が早期化、過剰濃度では逆に抑制(オオムギ)【査読論文】…東京大学ほか。オオムギ種子で、適正濃度域の空気UFBは発芽を早めたが、過剰濃度では逆に発芽が大きく遅れた。活性酸素の関与する「酸化ウィンドウ」仮説を提示(2023年)。出典(Nanomaterials, 2023)
- ダイコン・カラシナの芽で根の生重+55%(酸素ナノバブル)【査読論文】…ソウル女子大学校(韓国)。酸素ナノバブル水で溶存酸素を高め、ダイコンやカラシナのスプラウトで根の生重+55%、乾重+47%(2021年)。出典(J. People, Plants, and Environment, 2021)
メロン・スイカ
- 果実重増・糖度上昇に加えアブラムシを抑制(水素UFB・査読)【査読論文】…台湾・中央研究院。水素ウルトラファインバブル水を与えたメロンで果実重・糖度・根量が増加。さらに葉の防御反応(ジャスモン酸が対照比6.9倍)が高まり、アブラムシ密度が有意に低下した(2024年)。出典(Plants, 2024)
- 水・肥料を各20%減らしても水利用効率+70〜83%(酸素ナノバブル地中点滴)【査読論文】…中国農業大学。スイカ・マスクメロンの地中点滴で、灌漑水利用効率がスイカ+82.6%/メロン+70.2%、ビタミンCも+50〜67%(2022年)。出典(International Agrophysics, 2022)
- 玉数増への挑戦・糖度低下なし(ファインバブル)【メーカー公表】…OKエンジニアリング。北海道のメロン農園で、通常より多い玉数付けに挑戦しつつ糖度を維持(2020年〜)。出典(OKノズル導入事例)
トウモロコシ
- 収量+29〜41%・リン利用効率が大幅向上(マイクロナノバブル点滴)【査読論文】…新疆農業科学院。マイクロナノバブル水の点滴灌漑にリン供給を組み合わせ、慣行灌漑比で収量+29〜41%、リン利用効率も大きく向上(2024年)。出典(Plants, 2024)
- 溶存酸素20mg/Lで+11.7%、ただし30mg/L(過剰)では−11%(マイクロナノ酸素)【査読論文】…中国農業大学。春トウモロコシで溶存酸素20mg/L区は収量+11.66%だったが、30mg/Lまで上げた過剰区はかえって−10.97%と減収。「酸素は多いほど良い」ではないことを示す事例(2019年)。出典(PMC, 2019)
綿花(コットン)
- 塩害土壌で種綿収量+34〜59%(マイクロナノ酸素・査読)【査読論文】…新疆農業科学院(中国)。塩分濃度が高い土壌ほど効果が大きく、種綿収量が塩分レベル別に+33.78〜59.06%。溶存酸素を30mg/Lに高め、根の成長や抗酸化酵素も向上、表土の塩分も低下(2026年)。出典(Frontiers in Plant Science, 2026)
- 微生物資材との併用で+44.5%・土壌塩分−26%(マイクロナノ酸素)【査読論文】…新疆農業大学・新疆農業科学院。マイクロナノバブルに微生物資材を組み合わせ、塩害土壌の綿花収量+44.53%(2025年)。出典(Frontiers in Plant Science, 2025)
ブルーベリー
- 新梢が約200cm伸長促進・窒素吸収が向上(UFB灌水)【査読論文】…高知大学。サザンハイブッシュブルーベリーの幼木にUFB水を灌水したところ、細根の窒素寄与率が有意に高まり、1樹あたり総新梢長が約200cm伸長、地上部・地下部の乾物重も有意に増加(2022年)。出典(園芸学研究, 2022)
- 単果重+14.6%・ビタミンC+29.9%(水素ナノバブル点滴)【査読論文】…南京農業大学ほか(中国)。水素ナノバブル水の点滴で単果重+14.59%、酸味の低下、ビタミンC+29.87%、抗酸化酵素の増加(2025年)。出典(Plants, 2025)
牧草・飼料作物
- アルファルファの乾物収量+23〜32%・粗タンパク増(マイクロナノ酸素・査読)【査読論文】…中国水利水電科学研究院(内モンゴル圃場)。地中点滴のマイクロナノ酸素灌漑で、アルファルファの乾物収量+8〜30%(最適区+23〜32%)、粗タンパクや根活性も向上(2025年)。出典(Frontiers in Plant Science, 2025)
- 放牧地の牧草収量+41〜47%(乳牛パスチャー)【海外・企業公表】…ニュージーランドの酪農牧場(Nanobubble Agritech)。ピボット灌漑で牧草収量が2年連続+41〜47%(うち1年は公式干ばつ下)。出典(Nanobubble Agritech)
花き(切り花の日持ち)
栽培だけでなく、切り花を活けておく水にナノバブルを使うと日持ちが延びるという査読論文が複数出ています。
- キクの花持ちが17.8日→28.5日(約+60%)(空気ナノバブル)【査読論文】…滋賀県立大学。活け水の空気ナノバブルが葉からの蒸散を抑え、切り花キクの花持ちを大きく延長(2023年)。出典(Plant-Environment Interactions, 2023)
- カーネーションの花持ち+50.9%(水素ナノバブル)【査読論文】…南京農業大学。5%の水素ナノバブル水で花持ちが10.6日対7.0日(+50.9%)、活性酸素の低減で老化を遅延(2021年)。出典(Plants, 2021)
海外での広がり(果樹・地域別)
ファインバブル(海外では nanobubble と呼ばれることが多い)の農業利用は、日本だけでなく欧米・オセアニア・中国など世界に広がっています。とくに樹木果樹では、日本国内の数値付き事例がまだ乏しい一方、海外では収量・糖度・節水の実証が進んでいます(国内は野菜・イチゴが先行し、果樹は海外先行というのが現状です)。
- キウイ:果実重+8.7%・糖度+9%(イタリア)【海外・企業公表】…北イタリアのキウイ農園(Moleaer社)。溶存酸素を8→27ppmに高め、果実重・糖度が向上。出典(Moleaer)
- ワイン用ブドウ:房重+8.4%・糖度+8.7%(ニュージーランド)【海外・企業公表】…Cloudy Bay Vineyards(Nanobubble Agritech)。干ばつシーズンの点滴灌漑で房重・樹冠密度・糖度が向上。出典(Nanobubble Agritech)
- リンゴ(Pink Lady):収量+16.7%・大玉+66%(チリ)【海外・企業公表】…チリの点滴灌漑リンゴ園(KRAN Nanobubble)。ha当たり収量+16.7%、平均果重+18%、大玉比率が大きく増加。出典(KRAN Nanobubble)
- オリーブ:収量+13.6%・成熟前倒し(スペイン)【海外・企業公表】…スペイン・ナバラのオリーブ園(Moleaer社)。収量+13.6%、若木が数季前倒しで成木並みに、土壌のナトリウム・硝酸も低下。出典(Moleaer)
- 柑橘(オレンジ):葉の塩化物が約1/4に・着果増(スペイン)【海外・企業公表】…南スペインの大規模柑橘園(Moleaer社、90%純酸素)。溶存酸素を約7倍に高め、塩害を大きく緩和、樹冠密化・着果増。出典(Moleaer)
- 水耕リーフ野菜:生育サイクル10週→8週(米国)【海外・企業公表】…米国の水耕農場Rebel Farms(Moleaer社)。溶存酸素18ppmで植物体積+22%、生育期間を2週間短縮。出典(Moleaer)
農業周辺:水産養殖での実績
ファインバブルはもともと、約20年前に牡蠣の養殖で成長促進が確認されたことから注目が広がった技術です。現在も水産養殖では、溶存酸素を高めて成長・生残率・飼料効率を改善する実績が多数あります。農業とは分野が違いますが、技術の裏付けとして参考になります。
- バナメイエビ:飼料要求率が2.51→1.55に改善(タイ・査読)【査読論文】…ワライラック大学(タイ)。純酸素マイクロバブルで溶存酸素を15mg/Lに高め、30日で体重・日間成長が向上、飼料要求率(少ないほど良い)が大幅改善(生残率は両区100%)。出典(PMC, 2024)
- バナメイエビ:生残率95%・生産性が対照の約2倍(インドネシア・査読)【査読論文】…インドネシアの酸素ナノバブル養殖。生残率95%、生産性8.7kg/m³で対照(ディフューザー)の約2倍(2020年)。出典(Aquaculture and Fisheries, 2020)
まとめ:導入前に「自分の条件」で確かめる
ここまで見てきたように、ファインバブルはトマト・イチゴ・レタス・コマツナ・キュウリ・ピーマン・メロン・トウモロコシ・綿花・水稲・ブルーベリー・牧草など非常に幅広い作物で、増収・品質向上・病害抑制・節水・減肥の実績が世界中で報告されています。切り花の日持ち延長や水産養殖まで応用が広がっているのも特徴です。
一方で、水稲の最終収量やコマツナの低pH条件、レタスの品種差、トウモロコシの過剰酸素、種子の過剰濃度のように効果が出ない・逆効果になる条件も明確に報告されています。つまりファインバブルは「入れれば必ず効く魔法」ではなく、気泡の種類・濃度・作物・水質に合わせて使いこなす技術だと言えます。国際的なメタ分析でも平均の増収は1割強で、条件次第で振れ幅が大きいのが実態です。
導入を検討する際は、まず自分の作物・栽培方式に近い事例を上の一覧から探し、装置メーカーに条件を確認したうえで、可能なら小規模での事前検証から始めることをおすすめします。技術のしくみ・装置の種類・費用感については「農業用ファインバブル・ウルトラファインバブルとは【2026年版】」で詳しく解説しています。
※本ページの数値は、各出典に記載された特定の条件下での実証値です。経済産業省 九州経済産業局『ファインバブル活用事例集』も注記するとおり、掲載事例は効果・実績を保証するものではなく、メカニズムの検証段階にあるものも含まれます。実際の効果は環境・作物・装置により異なります。また一部の海外事例は装置メーカーによる公表値です。