石炭から腐植を作る。即効性と持続性を兼ね備えた土壌改良剤 NOVIHUM のご紹介

肥沃な畑の土の組成を研究し、人工的に再現した土壌改良剤がNOVIHUMです。通常の堆肥と同じように施用できますが、大きな特長は成分が安定しており腐植の含量が保証されていることです。家畜糞などを熟成させる場合と異なり、NOVIHUMは石炭を原料として工場で製造することで、含量の均一化と品質の安定性を実現しました。NOVIHUMの製法や導入メリットを見てみましょう。

NOVIHUM 基本情報

住所:150 Main Street, Suite 130, Salinas, CA 93901, California, USA

CEO:Andre Moreira

設立年:2012年

従業員数:11〜50人

肥沃な土を化学的に再現することに成功

最適な配合を提供

NOVIHUM が一般的な堆肥と異なる点は成分含量や品質の均一性が高いことです。作物収量が上がる腐植の組成を調査し、その組成が再現できるよう設計されました。公開されているNOVIHUM の組成や性質は以下の通りです。

  • 腐植成分(フミン酸、フルボ酸など):60%以上含有
  • 比重:0.8 kg/L
  • pH7.7
  • 炭素:41%
  • 窒素:3.5%(アンモニア態窒素1.1%、不溶性窒素2.4%)
  • 灰分:3.3%
  • CEC:100gあたり138ミリモル当量

製造方法

NOVIHUM は褐炭(純度の低い石炭)を主原料とし、アンモニアや酸素を添加して製造しています。詳しい製法は公開されていませんが、製造過程でフミン酸やフルボ酸などの有機酸が発生し、自然の腐植と近い組成になります。

製造所はドイツ・ルール地方のドルトムントにあります。この地域は主原料の褐炭の採掘場から近いため、NOVIHUMの連続生産が可能になっています。

NOVIHUM のメリット

即効性と持続性

NOVIHUMは窒素を含み、即効性もあります。たとえばNOVIHUM 25 という製品の場合、C/N比が11とやや低めなので、施用年から窒素の肥料効果が現れます。

一方、土壌改良材としての効果は長期間持続します。屋外圃場で5t/ha施用したところ、地力が増したことで15年間高い収量を維持しました。

清潔かつ成分含量が安定

家畜堆肥の場合、未完熟堆肥の問題があります。堆肥の腐熟が十分でないと植物の病気の原因になったり、無機態窒素が急激に増加して作物の生育に影響したりする場合があります。しかしNOVIHUMは褐炭を原料とし、工場で生産されるため、病原体を含まず成分含量が安定しています。衛生管理や成分コントロールでは、家畜堆肥に勝ると言えるでしょう。

NOVIHUM が日本に進出する可能性は?

NOVIHUM は主にヨーロッパ、アメリカ、中東で事業展開しています。これらの地域の土壌肥沃度が低い農地を対象として、広い圃場に施用できる土壌改良剤を提供するのをミッションに掲げています。そのため、日本の農業とは想定する環境や営農方法が異なると思われます。

ドイツの製造所から日本へ輸送するコストもあるため、あえて従来の堆肥や土壌改良剤をNOVIHUMで代替するメリットは、現時点ではまだ低いでしょう。雨が多く腐植が流されやすい地域(南西諸島など)で本州と同等の農業を営みたい、というような特殊なケースでは、NOVIHUMの利用も考えられるかもしれません。

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