ドローンによる植林で森林火災の課題に立ち向かうDroneSeed社について解説

事業概要:ドローンで木の種子を播種、森林火災による再植林の必要性に応える

DroneSeed社は、ドローンを使って木の種子を播種し、大規模で効率的な森林再生と、炭素排出量の削減を実現するドローンスタートアップ企業です。2015年に、アメリカのシアトルを拠点に設立されました。

近年では、森林火災が多発しており、効率的で大規模な植林の必要性が高まっています。DroneSheed社は気候変動に伴う森林火災の課題に対する再植林の新しい方法として、ドローン、人工知能、生物工学を合わせた技術による播種が有望だと考えています

Youtube動画:https://www.youtube.com/watch?v=0eqSMC-Ndtk

ビジネスモデル:作業面積ごとに料金を請求する、サービスとしての精密林業

DroneSheed社では、ドローンを用いた精密林業技術を提供しています。播種だけでなく、土地調査、除草剤の散布、森林管理のためのマッピングやモニタリングといったライフサイクル全般に関わるサービスを行っています。

1エーカーあたりのサービス料金を請求するビジネスモデルで、作付面積のサイズに基づいて見積りを出します。

播種サービスの場合、利用者は播きたい種子をDroneSeed社に送り、同社はその種子に合った特許取得済みの特別な容器を製造します。またDroneSeed社のサービスを利用することで、従来の播種方法よりも二酸化炭素排出量を最大43%抑えることができます。

一度に数千の種が入った容器をドローンに積み込み、1つのドローンあたり1回の飛行で3/4エーカー(57ポンド)を播くことができます。

テクノロジー

DroneSeed社のドローンによる精密林業技術では、まずデータ画像化のための調査フライトにより、現地の3Dモデルを作成します。

3Dモデルと飛行プラン

そうすることで、樹木が育成しやすいマイクロサイトを特定し、特注設計の種子カプセルをドローンが投下します。

複数台で同時に作業もできるようです

情報収集では、高性能のイメージングスタックを備えたドローンにより、地形や障害物の形状を理解するのに必要な空間情報を非常に高い解像度で収集します。切り株、根、茂み、新しい木、侵食など、重要な特徴をシステムが識別できるよう詳細な情報を収集します。

植樹などのプログラムに沿ったドローンの自動飛行が可能なフライト計画を作成します。1時間あたり800個の播種が可能で、必要コストは手作業の約10%です

現在では、除草剤の散布と播種はそれぞれヘリコプターと労働者によって行われており、共に難しい作業です。ドローンを利用して、必要なだけの除草剤を効率よく散布することができます。ドローンによる除草剤散布は、ヘリコプターよりも無駄と危険が少なく、非常に賢い方法だと言えます。

DroneSeedのドローンは非常に頑丈で、57ポンド以上を遥かに超える重さを持ち上げることができます。播種や散布を行う場合には、1度に5台のドローンと、ボックス、電源、地上局を備えた2台のトラックを配置します。

ドローンは自律的に飛行しますが、常にクルーが直接監視し、問題が発生した場合にはすぐに対処します。ドローンは最も効率的だと計算されたルートで飛行します。

今後の計画

2020年10月に、FFA(連邦航空局)は、カリフォルニア、コロラド、モンタナ、ネバダ、アリゾナ、ニューメキシコへの再植林のため、DroneSeed社の大型ドローン群の使用を承認しました。火災が収まり空域が空いた後で、DroneSeedは再植林を開始する予定です。

コメント

現在森林火災は世界中で大きな問題となっており、ドローンにより人が行うよりも効率良く低コストで播種を行うことのできるDroneSeed社のサービスは今後さらに注目が集まると予想されます。

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