複数の自律型ドローンを使って農業用フリート散布を可能にする農業ロボット技術企業Skyx社について解説

事業概要

Skyx社は、複数の自律型ドローンを使って農業用フリート散布(フリート=群れ)を可能にする農業ロボット技術企業です。2017年にアメリカのカリフォルニアを拠点に設立され、社員数は1〜10人程度と推定されます。

Skyx社では複数のドローンを使った農業用散布ソリューションを提供しており、部分的または農地全体を均一にカバーすることが可能で、コスト、精度、可用性、安全性の面で生産者に利益をもたらします。

1台のトラクターを使った農薬散布では設備コストが高い反面使用率が低く、カーブや障害物の近くの散布が困難です。また作物を踏みつける可能性があるのに加え、大雨の後に農薬散布をすることができません。

1台のドローンを1人のパイロットが操縦する農薬散布では、人件費がかかるのに加え、農地全体に均一な噴射をすることで効果な化学物質のコストがかかります。散布精度は機械を運転する人のスキルに依存し、障害物があるところや境界の散布は難しいです。

こういった課題に対して、Skyx社の複数の自律型ドローンを使ったフリート散布では、上記の課題を解決するのに加え、特定の作物や薬物に対する農業要件を適用させた散布計画に沿った最適な農薬散布を可能にします。

ビジネスモデル

SkyXのサービスは2020年に提供が開始され、生産者はドローンソリューション全体を購入することも、サービスとして散布を依頼することもできます

自律型ドローンによるスポット噴霧に加えて、生産性と安全性を高めながら、労働力、運用、サービスコストを削減します。

テクノロジー

特許出願中の独自のアルゴリズムとシステム統合により、飛行前の最適な計画、自動操縦、飛行後のデータ分析を可能にします。これは最適な噴射のため、ドローンAの自律的な判断が、ドローンBの判断と連携するようなアルゴリズムも含まれます。

地形、作物、農薬、画像、機材の情報をまとめてミッション全体の収益性を最適化し、また全体の均一散布からスポット散布まで様々な散布方法に適用したりすることができます。予期せぬ障害物を検知して迂回したり、障害物に接近して散布したりと、自律的に散布任務を遂行します。

飛行前には、地形、作物、農薬の種類などを考慮した最適な散布計画を作成します。飛行中は自動操縦され、リアルタイムでの監視、制御が行われます。飛行後にはデータを集約し、分析およびレポートを利用者に提供します。

今後の計画

短期的には、市場開拓戦略として、Skyx社のソリューションに最適な作物、地域を特定したサービスの提供を行うのに加え、他の開発企業との設計パートナーシップを予定しています。

長期的には、農業用散布の全体像として、リアルタイムイメージング、自律型基地局、2Dロボットおよび3Dロボットを組み合わせたソリューションの提供を予定しています。

コメント

1台のドローンを自ら操縦する農薬散布は一般的になってきた反面で、操縦テクニックが必要、最適化された散布が困難でコスト削減につながりにくいといった課題があります。そういった課題に対し、Skyx社は独自のアルゴリズムを活用した複数のドローンのフリート散布により、散布計画とコストを最適化することに成功しています。なお、日本のドローンによる農薬散布業者はこちらで紹介もしています。

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