「農業ビジネスに新規参入したいけど、他社はどのような施策を行っているの?」
「農業に参入している企業の成果や状況を知りたい」
「農業参入に失敗している企業の特徴を知りたい」
このように考えていませんか?農業に参入する際に、他社の状況を知り、自社のビジネスに活かしたいですよね。
そこで本記事では、企業の農業参入の成功・失敗事例を紹介します。
失敗原因や成功につなげる戦略まで紹介するため、農業に新規参入する際の参考にしてください。
トクイテンでは、農業に参入したい企業に向けて、有機農業の新規参入を実現する「トクイテンパッケージ」を提供しています。
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企業の農業参入の成功事例6選
1.アイリスオーヤマ株式会社
アイリスオーヤマ株式会社は、2013年に精米事業へ参入し、東日本大震災の被災地を支援すると共に、農業の復興に貢献してきました。「簡単・おいしい・便利」というコンセプトのもと、生鮮米やパックごはんの生産・販売を行っています。
農業参入時の課題として、精米した新米は時間が経過すると酸化や劣化が進み、風味が損なわれる点が挙げられました。この課題を解決するために、米の保管に適した15℃以下の低温工場で保存・精米・包装を行う製法である「トータルコールド製法」を開発しています。これにより、米を低温で保管して、低温状態で精米や包装を行い、精米したての鮮度と美味しさを長期間保てるようになりました。
さらに、高気密性の小分けパックに窒素と脱酸素剤を封入する「新鮮小袋パック」方式を導入しています。
このような取り組みにより、今後は鮮度を保った日本の米を海外への輸出を目指しています。
2.株式会社JTB
株式会社JTBは、ワーケーションとして地方に訪れる人々を一時的に雇用する施策により、農業における人手不足の問題に対応しています。普段、農業に関わる機会のない人々に対して、生活の大部分を自分の本業や家庭、趣味などに充てつつ、残りの一部を農業体験に捧げる新しいライフスタイルを提唱しています。
例えば、高知県では、ゆずやポンカンの収穫体験ツアーを企画し、230人以上が参加しました。また、福島県ではブロッコリーやリンゴの収穫に135人以上が参加しています。これらのツアーでは、参加者がハサミの使い方や果物の摘み取り方など、基本的な農作業を学べます。
このように、農業の生産だけでなく、雇用という観点から農業ビジネスに参入している企業も存在するのです。
3.パナソニックホールディングス株式会社
パナソニックホールディングス株式会社は、農業参入において、植物の成長を促進する「Novitek(ノビテク)」を開発しました。この技術は、光合成を行う微生物であるシアノバクテリアを研究して、植物の成長を刺激する成分を発見したものです。
実際に成長条件を整えて行った検証では、以下のような結果が出ています。
また、品質面では、Novitekを使用した区画の野菜や果物は、使用していない区画のものに比べて色つやがよく、収穫量も最大で50%近く増加する結果がでました。
このように、独自の技術開発により、農業分野において顕著な成果を上げています。Novitekは、2024年度内に販売開始する予定です。
4.カゴメ株式会社
カゴメ株式会社は、トマトを中心に、野菜の飲料や調味料の製造だけでなく、国内外での原料農産物や種苗の生産にも取り組んできました。
農業従事者の高齢化や生産者の減少が進む中、国内での加工用トマトの需要は増加しています。この問題に対応するため、カゴメ株式会社は農業機械メーカーと共同で、加工用トマトの収穫を効率化する収穫機「Kagome Tomato Harvester(KTH)」を開発しました。
KTHの導入によって、従来の手作業による収穫と比べて、収穫時間を約60%削減できています。実際に、2021年時点で、カゴメが国内で栽培する加工用トマトの全作付け面積の約26%(約75ヘクタール)で、KTHが広がっています。
5.NECキャピタルソリューション株式会社
NECキャピタルソリューション株式会社は、農業法人である「株式会社みらい共創ファーム秋田」を設立し、働き手の高齢化による後継者不足や耕作放棄地の増加などの問題に対処しようとしています。
具体的には、大型機械を駆使した水稲やタマネギ栽培を効率よく行い、収益性に優れた大規模な営農モデルの運営を行っています。
さらに、地域の活性化と農業振興を図るため「株式会社シラサギファーム」の共同設立を果たしました。
米の生産から加工、販売に至るまでの一連のバリューチェーンを確立し、遊休農地(現在農地として利用されていない土地)の有効活用を通じて地域の課題解決と活性化を進めています。
6.イオンアグリ創造株式会社
イオン株式会社は、農業への参入を目的として、イオンアグリ創造株式会社を創設しました。目的は、全国の小売業を展開する過程で、生産者の大変さを知るためや、高齢化により農業の担い手が減少し農作物の仕入先の減少を防ぐためです。
実際の取り組みとして、21か所の直営農場で、青果や米など約20種類の農作物を生産しています。総作付面積は約350ヘクタール(東京ドーム約74個分)で、国内最大級の農業法人としての地位を確立しました。約500人のイオン社員が、農地選定から生産、出荷に至るまでのプロセスを手がけています。
また、生産された農作物は、全国のイオングループのスーパーマーケットに入荷されます。既存の物流網の活用により、流通コストを削減し、卸売市場や物流センターを経由せずに店舗へ直送が可能です。これにより、消費者には低価格で鮮度の高い農作物を提供できます。
そのほかの事例として、有機農業の新規参入事例を知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
企業の農業参入の失敗事例
農業参入の失敗事例として、N社の事例を挙げます。
N社は、6次産業化(生産や製造・加工、販売まで取り組むこと)を目指した事業組合を立ち上げています。内容は、農家が収穫した野菜を高度な貯蔵システムで最適な状態に保ち、出荷を平準化し価格の安定を図ったものです。国の補助金も合わせた投資総額は10億円にも上っています。
しかし、事業開始から間もなく、天候不順による野菜価格の高騰が発生しました。それに伴い、事業組合と契約していたにも関わらず、農家がより高値で売れる市場へ野菜を出荷する事例が相次ぎました。この背景として、農家の経営課題を解決するという目標を掲げながら、農家の経営ニーズを十分に理解していなかったのです。
さらに、N社が担当した販売面でも、想定していた売価を確保できず、売れ残りが続出する問題が生じました。結果として、経営難に陥り、2013年に事業を撤退しています。
このように、取引先の経営ニーズをくみ取れておらず、市場のニーズを把握できずに売り残りが発生して、農業参入が失敗する場合があります。
企業における農業の新規参入が難しい理由や失敗原因
企業における農業の新規参入が難しい理由や失敗原因は、以下の3点です。
- 消費者のニーズをくみとれていない
- 明確な生産計画がとれていない
- 取引先との連携ができていない
市場調査を十分に実施せず、消費者の需要に合わない商品を開発すると、売れ残りが発生します。例えば、一時的なトレンドに乗っかり商品開発を進めても、商品が市場にでる時には流行が過ぎ去っている場合があります。それにより、商品が売れ残る可能性があるのです。
また、明確な生産計画がなく、需要と供給のバランスを考慮していなければ、供給が需要に追いつかない場合があります。具体的なプランなしに設備投資を行ったり、大口の販売契約を結んだりすると、商品を供給できずに、契約を満たせなくなるリスクがあります。これにより、設備投資の負債が返済できなくなる恐れもあるでしょう。
さらに、取引先との連携不足も失敗の原因です。特に農業参入の場合、農家との連携を行う場合がありますが、経営ニーズを理解していないと、当初の約束と違う行動を取られる場合もあります。
企業が農業参入に失敗しないための戦略
企業が農業ビジネスに新規参入する際には、農業に関わる情報を収集し、生産計画を立てる点が重要です。
農業は、工業製品とは異なり、土の状態や天候に大きく影響されるので、計画通りの生産が難しい分野です。そのため、周辺の農家やすでに参入している企業からの情報収集を推奨します。また、他社や農家と協力して事業を行う際には、事業内容に賛同してもらえるかどうかを確認する点も必要です。
さらに、農業経営が安定し、利益を生みだすまでには3~5年が必要という分析結果もあります。したがって、生産コストや売上などの経済的側面について正確な情報を収集し、精度の高い計画を立てる必要があるでしょう。
そのほか、スマート農業への参入は、農業経営の効率化に寄与します。位置情報と連動した経営管理アプリや、スマートフォンで操作できる水田の水管理システムなどを活用すれば、作業の自動化ができ、労力を削減できるでしょう。これにより、熟練者でなくても農業生産を行えます。
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本記事では、農業参入の成功事例として以下の6社を紹介しました。
- アイリスオーヤマ株式会社
- 株式会社JTB
- パナソニックホールディングス株式会社
- カゴメ株式会社
- NECキャピタルソリューション株式会社
- イオンアグリ創造株式会社
企業が農業に参入する際には、消費者のニーズを捉えられていなかったり、生産計画がとれていなかったりすると、失敗する恐れがあります。そのため、周辺農家への聞き取りやスマート農業を行い、農業参入を成功につなげましょう。
トクイテンでは、農業に新規参入したい企業に向けて、AIとロボットにより有機農業の自動化をサポートする「トクイテンパッケージ」を提供しています。トクイテンパッケージにより、収穫量を2倍にし、人件費を50%程度に削減することも可能です。
「新規事業として農業に参入したいが、ノウハウがなく不安がある」という企業は、一度お問い合わせください。
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参考サイト
事業者へのインタビュー|農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/kagome.html
企業の農業参入ガイド|広島県
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/332159.pdf
スマート農業の展開について|総務省