地域計画(人・農地プラン)策定状況2025|全国1,615市町村・18,894地区の現在地

2025年4月末時点で、全国1,615市町村・18,894地区において「地域計画(人・農地プラン)」が策定されました。これは、誰がどの農地を耕すのかという地域農業の将来像を、市町村と地域の話し合いで描き直す取り組みです。ところが、将来の受け手に農地を集約化できた地域計画は約1割にとどまっています。策定という入口は広がった一方、本来の目的である「集約化」はこれからが本番であることを示す数字です。

中規模以上の農家や農業法人にとって、この約1割という数字は他人事ではありません。受け手が決まっていない農地が地域にどれだけ残っているかは、自分の経営規模をこれから広げられるかどうかに直結するからです。

策定は1,615市町村・18,894地区まで広がった

地域計画は、2023年の法改正で従来の「人・農地プラン」を法定化したものです。市町村ごとに、農地を10年後に誰が耕すのかを地図(目標地図)に落とし込み、地域の合意のもとで決めていきます。2025年4月末時点で1,615市町村が策定主体となり、その下で18,894地区分の計画がまとまりました。

市町村単位で見れば全国の大半をカバーする規模であり、地域農業の将来像を文書化する作業自体は、ひとまず全国に行き渡ったといえます。農地の出し手・受け手をめぐる話し合いの土台が、制度として全国に敷かれたことの意味は小さくありません。

地域計画 策定済み地区数と集約化できた地区(約1割)の対比
出典: 農林水産省 令和7年度 食料・農業・農村白書(2025年4月末時点)。集約化分は約1割としての概算値

「集約化できた約1割」という現在地

注目すべきは、策定された地域計画のうち、将来の受け手に農地を集約化できたものは約1割にとどまるという点です。残りの多くは、計画として地図は描いたものの、誰が引き継ぐかという受け手が定まっていない農地を抱えています。白書は、この受け手が未設定の農地面積を今後の課題として明確に位置づけています。

つまり「策定済み」と「集約化済み」のあいだには、約9割分の大きな開きがあります。計画づくりはゴールではなく、そこからどう実際の担い手につないでいくかが、地域計画の真価を問う段階に入っているということです。

農家・農業法人にとっての含意

受け手が決まっていない農地が地域に多く残っているという状況は、規模拡大を狙う経営体にとっては機会でもあります。地域計画の目標地図には、将来手放される可能性のある農地と、その引き受け手の候補が書き込まれています。自分の地域の計画にどの農地が「受け手未設定」として残っているかを確認することは、次の借り受けや農地集積を考えるうえでの具体的な手がかりになります。

農地の集約が進むかどうかは、日本の農業従事者数の減少と表裏一体です。耕す人が減るなかで、限られた担い手に農地をどう束ねるかが問われています。同時に、受け手が見つからないまま放置される農地は、耕地面積と荒廃農地の問題に直結します。約1割という集約化の数字は、こうした構造的な課題の入口を示す指標として読み取ることができます。

  • 自分の地域の地域計画で「受け手未設定」の農地がどこに残っているかを確認する
  • 目標地図に自経営を将来の受け手として位置づけられているかを点検する
  • 市町村・農業委員会との話し合いの場に、規模拡大の意思を早めに伝える

データの引用について

本記事で用いた数値は、農林水産省「令和7年度 食料・農業・農村白書」のトピックスに基づきます。これらの政府統計は、出典を明記すればクリエイティブ・コモンズ表示4.0国際(CC BY 4.0)に準拠して自由に引用・再配布が可能です。引用の際は出典元(農林水産省)の明記をお願いします。

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