木材自給率42.5%へV字回復 人工林の高齢化という次の課題

日本の木材自給率が2024年に42.5%まで回復しました。前年比では0.4ポイントの低下ですが、長期で見ると一時20%を下回った底からのV字回復であり、国産材が再び使われる構造に戻りつつあることを示す数字です。一方で、森林の約4割を占める人工林の高齢化という新たな課題も浮かび上がっています。

この記事では、林野庁「木材需給表」と令和7年度 森林・林業白書のデータをもとに、木材自給率の現在地と、農林業の経営者が押さえておくべき背景を整理します。

木材自給率はなぜV字回復したのか

木材自給率は、戦後の高度経済成長期に進んだ木材輸入の自由化により長期的に低下し、一時は20%を下回る水準まで落ち込みました。国内に森林資源は豊富にありながら、価格競争力で輸入材に押され、国産材が使われない状態が続いたのです。

そこから2024年の42.5%まで戻ってきた背景には、植林された人工林が利用に適した樹齢を迎えたこと、合板や製材の分野で国産材を活用する技術と需要が広がったことがあります。下のグラフは、底を打ってから現在までの自給率の推移を示したものです。

木材自給率の推移(底からのV字回復)
出典: 林野庁 木材需給表(令和7年度 森林・林業白書)

2024年は前年から0.4ポイント低下していますが、これは長期の上昇トレンドのなかの小さな揺り戻しと見るべき水準です。底からおよそ2倍以上に回復した流れそのものは大きく変わっていません。

需要・国産・輸入の内訳をどう読むか

自給率という一つの割合だけを見ると見落としがちですが、その内側にある実数を押さえると構造がより立体的になります。2024年の木材需要量は8,187万㎥。このうち国産材の供給量が3,481万㎥、木材輸入量が4,707万㎥です。

木材需要量の内訳(2024年)
出典: 林野庁 木材需給表(令和7年度 森林・林業白書)

つまり、回復したとはいえ需要の半分以上はなお輸入材に依存しています。用途別に見ると、建築用材等の自給率は52.9%と全体の42.5%を上回っており、家屋や建築物に使う木材では国産材が過半を占める段階に入りました。全体の数字より用途を分けて見たほうが、国産材の浸透度を正しくつかめます。

食料の世界で食料自給率が品目ごとに大きく異なるのと同じように、木材も「全体の自給率」と「用途別の自給率」を分けて読むことが重要です。平均値だけを見て判断すると、強い分野と弱い分野の差を見誤ります。

人工林の高齢化という次の課題

自給率の回復を支えてきた森林資源そのものに、いま転換点が訪れています。日本の森林の約4割は人の手で植えられた人工林であり、そのうち約6割が51年生以上、すなわち本格的に伐採して利用できる時期(利用期)に入っています。

これは資源が充実したという良い側面であると同時に、放置すれば過熟化が進むという課題でもあります。木は適切な時期に伐って使い、再び植え育てる循環を回してこそ資源として持続します。利用期の人工林が大量にあるということは、伐採・搬出・再造林の担い手を確保し、需要をつくり続けなければ、せっかくの資源を活かしきれないことを意味します。

担い手という観点では、林業も農業と共通の課題を抱えています。日本の農業従事者数が減少と高齢化に直面しているのと同様に、山の手入れと木材の供給を担う人材をどう確保するかが、自給率を今後さらに高められるかどうかを左右します。資源は育った。次に問われるのは、それを使い切り、植え継ぐ仕組みです。

農林業の経営者にとっての含意

木材自給率の回復は、国産材を扱う事業者にとって追い風です。建築用材等で自給率が過半を超えた事実は、国産材の調達ルートや加工・流通に関わる事業の市場が広がっていることを示します。林地を持つ農業法人や、農業と林業を兼業する経営体にとっては、利用期を迎えた人工林の資源価値を見直す好機といえます。

同時に、需要の半分以上がなお輸入材であるという事実は、国産材が伸びる余地がまだ大きいことの裏返しでもあります。数字を「もう回復した」と読むか「ここからが本番」と読むかで、打つ手は変わります。

データの引用について

本記事の数値は林野庁の公的統計(令和7年度 森林・林業白書、木材需給表)に基づいています。これらの公的データおよび本記事のグラフは、CC BY 4.0のもとで出典を明記いただければ自由に引用・転載いただけます。引用の際は出典元へのリンクを併記してください。

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