摘み取るイチゴをAIで判別し傷つけずに収穫できる、AGROBOT社のロボットEシリーズについて解説

事業概要

AGROBOT社は2009年にスペインを拠点に設立された、イチゴを収穫する農業用ロボットを開発・販売する企業です。社員数は2〜10人と推定されています。

AGROBOT社はイチゴを大量かつ傷つけることなく収穫できるロボットを開発することで、労働力不足の問題や、摘み取りの難しさといったイチゴ業界のニーズに対応しています

AGROBOT社では、イチゴを大量に収穫するロボットであるEシリーズと、自立型の害虫駆除ロボットであるバグ・バキュームを展開しています。

Youtube動画:https://youtu.be/M3SGScaShhw

ビジネスモデル

AGROBOT社のイチゴ収穫ロボットEシリーズは現在開発段階のため市場に出ておらず、アメリカのカリフォルニアで試験運転を行っています。カリフォルニアを拠点としてイチゴやその他ベリー類の販売を行うDriscoll’s社はAGROBOT社に出資しており、シリーズEロボットの商業化に向けて同社の研究開発を支援しています。

テクノロジー:人間と同程度の速度で、安全にイチゴを摘み取る

AGROBOT社のイチゴ収穫ロボットEシリーズは、24の独立したロボットアームが連動して、一度に最大4列のイチゴの実を摘み取ります。摘み取るイチゴは、ロボットに搭載された短距離色彩センサーと、赤外深度センサーを元にAIによって判断され、最先端の画像処理ユニットが果実の熟度を評価します

現在実験を行なっているカリフォルニアでの人間による平均的な摘み取り速度は1.2秒ですが、AGROBOT社のEシリーズは複数のロボットアームで同時に収穫することで人間と同程度の摘み取り速度を実現しています

Eシリーズはステンレス鋼と軍用グレードのアルミニウムで作られており、高精度で動きます。自立型の分散型アーム構造により設定と保守が簡単にできます。ロボットは果物に直接接触することはなく、茎を掴んで薄い剃刀によって切断します。そのため果物を傷つけることなく収穫が可能です。イチゴに直接触れずに茎部分で切断しアームとイチゴの接触を最小限に抑えることは果実を傷つけないためだけでなく、食品としての安全のためにも重要です。

今後の計画

AGROBOT社は、現在カリフォルニア州のオックスナードで研究プロジェクトを続けており、今後はEシリーズの商業化を目指しています。また、イチゴ以外の他の作物でも、安全で収益性の高い収穫機を開発することを目標としています。

コメント

イチゴをはじめとする繊細な作物の収穫には現在も人手が必要とされており、世界的に労働力不足が問題となっています。AGROBOT社のシリーズEでは、人と同じ速度での収穫と、果実に触れない安全で優しい収穫が可能となっており、今後商業化に向けてさらに注目が集まると考えられます。

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