これが日本の最先端。農業×工業のスマート農業で日本の農業の労働力不足を解決する、アグリッド社の大規模農業ハウスについて解説

事業概要:農業と工業の先端技術を駆使したスマート農業で、日本の農業の労働力不足を解決する

株式会社アグリッドは、三重県のいなべ市の大規模農業用ハウスで、スマート農業技術を駆使しながらミニトマトの栽培と出荷を行っている企業です。

アグリッド社は株式会社浅井農園と株式会社デンソーによって2018年に設立された合弁会社で、次世代施設園芸モデルを構築し、日本の農業の労働力不足を解決する生産性の高いスマート農業を普及させることをミッションとしています。

2020年4月1日に稼働開始した大規模ハウスは公式リリースによると栽培面積4.2ha(栽培面積)の規模で最先端の設備が導入されています。こちらの動画ではロボットによる収穫や運搬の様子もみられます。

2020年4月から稼働開始した大規模ハウス
デンソーが開発したロボットが収穫
収穫したトマトはロボットが自動で運搬します

ビジネスモデル

ハウス内の温度や湿度を最適化した安定的な周年栽培と自動化・省人化による24時間稼働によって効率的にトマトを生産・収穫し販売しています。

ハウスで生産しているトマトは浅井農園が品種の研究開発を行うミニトマトで、これらのトマトは浅井農園が持つ流通網である全国のスーパーマーケットやレストランのほか、直売所やトマト直販サイトで販売されています。

テクノロジー:農業x工業で飛躍的に生産性を向上させる

アググリッドの強みは、浅井農園の持つ農業技術とデンソーの持つ工業技術をかけあわせ飛躍的な生産性向上を目指していける点です。浅井農園は国内トップクラスの施設栽培技術、品種開発技術によって、デンソーはハウス内の環境制御技術や、作業改善、自動化による省人化といった工業化技術によって「働きやすい・儲かる農業」を実現します。

ハウス内部の様子(公式サイトより)

アグリッド社の大規模農業ハウスの特徴は以下の3点です。

  • 人と機械が共同するスマート生産体制
  • 自動収穫ロボット「FARO(ファーロ)」
  • 収穫物の自動搬送装置

スマート生産体制では、従業員のシフトや作業内容、勤務管理をクラウドで管理し、作業を可視化することでムリ・ムダ・ムラを削減します。また生産量のばらつきを工業化技術によって最適化・改善し、作業人員の省人化を目指します。

自動収穫ロボット「FARO」は、浅井農園とデンソーが共同開発した農業用ロボットで、収穫作業を自動化し、人の作業量を低減させます。

また自動搬送装置は1度に160kgまでのトマトを自動搬送するため、従業員の重労働や作業不可を低減します。

浅井農園:農業分野での新しいイノベーションを創出する研究開発型の農業カンパニー

浅井農園は研究開発型の農業カンパニーであり、大学や企業との共同研究開発に積極的に取り組みながら農業分野での新しいイノベーション創出を目指しています。

現在ではミニトマト品種の研究開発、生産管理技術の標準化・システム化、AIを活用したトマト生産管理技術の高度化、農作業ロボットの開発による労働生産性向上といったテーマに取り組んでいます。

例えばAIの活用では、リアルタイムで植物生態情報をセンシングすることで植物の生育状態、光合成量、色づきを計測し、これらのデータを基にした栽培管理技術の最適化を目指しています。

今後の計画

アグリッド社は今後、ハウスで実証される次世代施設園芸を通じて、生産性が高く持続可能なスマート農業技術を国内外に普及させたいと考えています。

コメント

人口減少や高齢化の問題を抱える日本では、農業における労働力不足が深刻な課題になっており、アグリッド社が開発するスマート農業が今後より活躍していくと考えられます。

参考サイト