リジェネラティブ農業とは?有機農業との違い・具体的な実践方法をQ&Aで解説

「リジェネラティブ農業」という言葉を耳にする機会が増えてきました。有機農業やサステナブル農業とどう違うのか、実際に何をするのか——よく寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。

リジェネラティブ農業って何ですか?有機農業と違うの?

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農家

リジェネラティブ農業ってよく聞くようになりましたが、有機農業とどう違うんでしょうか?

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中村さん

有機農業は「農薬・化学肥料を使わない」という基準が中心。リジェネラティブ農業はもう一歩踏み込んで、土壌・生態系・水循環を積極的に再生することを目指す考え方です。有機農業を含みつつ、それ以上のことをしようという発想ですね。

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農家

「再生」というのはどういうことですか?

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中村さん

現代農業は耕起・農薬・単一作物の繰り返しで土壌が劣化しがちです。リジェネラティブは劣化した土を元に戻すだけでなく、もともとよりも豊かにしていくという意味合いがあります。持続(サステナブル)で止まらず、回復・向上させる点が違います。

具体的に何をするんですか?

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農家

実際の圃場で何をすればリジェネラティブ農業になるんでしょう?

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中村さん

代表的な実践は5つあります。①不耕起・省耕起(土を極力耕さない)、②カバークロップ(収穫後に土を裸にしない被覆作物)、③輪作・多様な作物、④堆肥・有機物の還元、⑤家畜との統合(牛や羊が草を食べ糞を落とすことで土が豊かになる)。

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農家

不耕起というのは、一切耕さないということですか?

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中村さん

「一切耕さない」完全不耕起から、「最小限にする」省耕起まで段階があります。耕すと土壌の微生物ネットワークが壊れ、固定していた炭素が大気中に放出されてしまう。耕さないことでその損失を防ぐのが基本的な考え方です。

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農家

カバークロップって何を植えるんですか?

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中村さん

ライ麦やクローバー、ヘアリーベッチがよく使われます。マメ科のカバークロップは根粒菌が窒素固定をしてくれるので、化学肥料の代わりになる窒素を土に供給できます。土を覆うことで雑草も抑制でき、雨による土壌侵食も防げます。

気候変動対策になると聞きましたが本当ですか?

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農家

リジェネラティブ農業が温暖化対策になると記事で読みました。どういうことですか?

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中村さん

植物は光合成でCO₂を吸収し、その一部が根を通じて土壌に炭素として蓄積されます(土壌炭素固定)。不耕起やカバークロップでこの蓄積量を増やせることが研究で確認されています。Frontiers in Sustainable Food Systemsの2023年の論文でも、不耕起+カバークロップの組み合わせで炭素固定量が有意に増加することが示されています。

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農家

農業単体で気候変動を止められるくらいの効果があるんですか?

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中村さん

それは誇張です。WRI(世界資源研究所)の分析では、リジェネラティブ農業の炭素固定効果は気候変動対策の一部にはなるが、排出量全体をカバーするには不十分と結論づけています。ただし土壌の質が上がることで食料安全保障や生態系回復には確実に貢献します。

日本での普及状況は?

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農家

日本でもリジェネラティブ農業をやっているところはありますか?

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中村さん

少しずつ増えています。北海道では放牧と不耕起を組み合わせた取り組みが出ており、一部の企業農場もリジェネラティブを掲げはじめています。ただし日本は高温多雨でモンスーン気候のため、草の繁殖が速く不耕起管理が難しいという固有の課題があります。

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農家

日本の気候には向いていないということですか?

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中村さん

向いていない、というより米国・欧州とは異なる工夫が必要ということです。日本の自然農法には不耕起・草生栽培の長い歴史があって、その知恵がリジェネラティブの考え方とも重なります。欧米の手法をそのまま持ち込むより、日本の農法と組み合わせる方向が現実的です。

どうやって始めればいいですか?

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農家

リジェネラティブ農業を取り入れてみたい場合、何から始めるのがいいですか?

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中村さん

一番取り入れやすいのはカバークロップの導入です。収穫後の圃場にライ麦やクローバーを播くだけで始められます。耕起回数を減らすことも同時に試してみると、土の変化を実感しやすい。いきなり全部変えるより、まず一枚の圃場で試すのが現実的です。

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農家

有機JAS認証のような「リジェネラティブ認証」みたいなものはありますか?

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中村さん

海外ではRegenerative Organic Certified(ROC)という認証が存在します。日本ではまだ公的な認証制度はありませんが、国際認証を取得している日本の農場も出てきています。認証より先に実践の積み重ねが重要で、土壌分析で炭素量や微生物量を数値化して変化を追うことが、長期的な取り組みを支えます。

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