人工受粉システムにより、昆虫の減少とミツバチによる受粉の制約の課題を解決するEdete社について解説

事業概要

Edete Precision Technologies for Agriculture社(以下Edete社)は、果樹園における昆虫ベースの受粉プロセスへの依存を減らし、効率的な自動受粉システムを開発・製造するイスラエルの農業ベンチャー企業です。2016年に設立され、社員数は1〜10人と推定されています。

世界の作物の約75%は動物による受粉に依存しているのにもかかわらず、花粉交配社である昆虫の数は25年前と比較して75%少なく、また主な花粉交配社であるミツバチが受粉を行うには自然の制約があるという課題があります。

Edete社は最適化された受粉サービスを提供することでこれらの課題を解決し、果樹園の収穫量と品質を向上させています。

ビジネスモデル

2019年12月時点では、イスラエルとオーストラリアのアーモンド果樹園での実地実験を終了しており、今後より大規模な商業向けのテストをイスラエルとオーストラリアで継続しています。2022年には、世界最大のアーモンド栽培地であるカリフォルニアでパイロットプログラムを開始する予定です。カリフォルニアでは、1シーズンあたり4億ドルがハチによる受粉サービスに費やされています。

テクノロジー:ミツバチの行動を反映した人工受粉サービス

Edete社は、ミツバチの行動を反映した花粉の収集と分配の2つのステップで構成されるエンドツーエンドの人工受粉サービスを開発しています。

花粉を放出する機械

花粉の収集では、機械的に花を収穫したあと、花粉を花から分離し、独自の方法で生存・発芽が可能な花粉を1年以上保管することで、異なる品種が同時期に開花しない問題を克服します。そして、開花のタイミングに関係なく各品種に最適な花粉を適合させ、収穫量を保証・増加させます。

花粉の分配では、高効率の人工受粉システム「2B」に乾燥した花粉を積み込み、各樹木に分散させます。2B人工受粉システムはLIDARセンシングを利用して、各木に適切な距離で近づき、対象とする花に向けて、静電気を使って受粉させます。

夜間の受粉作業

2B人工受粉システムは昼夜を問わず動作し、日光や低温条件に制限されずに、開花している花に対して迅速かつ完全に受粉させることができます。

今後の計画

Edete社は2018年にシードラウンドとしてイスラエル政府とエンジェル投資家から300万ドルを調達しました。Edete社はまず、年間70億ドルから80億ドルの市場規模がある世界のアーモンド市場をターゲットとして、サービスの提供に向けたテストを行なっています。その中でも世界のアーモンドの80%が栽培されているカリフォルニアで2022年にはパイロットプログラムを開始し、ハチによる受粉と同等の価格でサービスを提供することを目指しています。将来的には、リンゴ、ナシ、プラム、サクランボ、スイカ、メロン、カボチャなどの作物にも対応したいとしています。

コメント

世界的な人口増加に伴い食糧需要が高まるなか、ミツバチをはじめとする動物に依存しない受粉方法へのニーズが高まっています。Edete社の画期的な人工受粉システムは、カリフォルニアのアーモンド市場をはじめ、世界中から今後さらに注目されることが期待されます。

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