屋内垂直農法で都市部での野菜栽培を手掛けるInfarm社について解説

事業概要

Infarm社は、屋内垂直農法による野菜栽培を手掛ける農業スタートアップです。2013年にドイツのベルリンを拠点に設立されました。社員数は250〜500人と推定されます。

同社は、都市の住民が新鮮な野菜を食べられるよう、効率的な縦型のモジュール式農場(スマート栽培ユニット)を都市向けに提供しています。効率的な縦型農場にIoT技術と機械学習を組み合わせおり、透明性が高く、手頃な価格の代替食料システムとして活用されています。

Infarm社は、冬が寒く農作物の育たないドイツでも、環境に左右されず新鮮な野菜を手軽に食べられるようにするアイデアとして誕生しました。

世界各地のスーパーマーケットや飲食店などの店舗内で、同社の栽培ユニットを活用して野菜を栽培し、販売することができます。

ビジネスモデル

現在までに、Infarm社は本拠地であるドイツ、フランス、スイス、ルクセンブルグ、イギリス、デンマーク、カナダ、アメリカ、日本に進出しています。現地スーパーと提携して、屋内栽培の農作物を販売しています。

世界で600以上のモジュール型垂直農場(スマート栽培ユニット)を店舗や流通センターで展開しており、毎月の植物収穫量は25万株以上とされています。

テクノロジー

Infarm社のモジュール型垂直農場(スマート栽培ユニット)はIoTや機械学習の技術を活用した効率的な栽培が可能です。作物ごとの育成状況に合わせて、気温や湿度、照明などの環境を調整できます。

室内の温度や湿度、光、pHなどが、常時クラウドを通じて最適制御されており、気候を問わず、ハーブやレタスなどの葉野菜を安定的に栽培することができます。

電気、水、WiFiのみで稼働可能で、モジュール式のためさまざまな配置場所に対応可能です。種付けなどはInfarmの施設で行われ、出荷できるようになった株が半自動的に搬出される仕組みです。野菜は店内のInfarm設備に運搬・ストックされるため、消費者は新鮮な状態の野菜を店頭で購入することができます。

同社のスマート栽培ユニットは、土を使用しない水耕栽培を採用しており、土を使った従来の農法と比べて肥料は75%、水は95%の削減が可能です。農薬は一切使用することなく、安全性の高い栽培を行うことができます。

また、消費者の多い都市部で野菜栽培を行うため、輸送費も90%の削減が可能です。

今後の計画

Infarm社は2020年2月に、アジア初の拠点として、東京都にInfarm-Indoor Urban Farming Japan株式会社を設立しました。

日本での事業展開にあたり東日本旅客鉄道株式会社と提携し、傘下の株式会社紀ノ國屋の店舗にスマート栽培ユニットを導入しています。

日本では、まずは首都圏で認知を高めた後、関西圏、札幌、仙台、名古屋、福岡、広島などの都市に進出したいと考えています。現在はスーパーのみで展開していますが、今後は飲食店業界ともタッグを組み、事業拡大していきたいと考えています。

コメント

日本の農業界では、大量の廃棄ロスや、自然災害の多さ、農家の高齢化といったさまざまな問題があります。Infarm社の提供するスマート農業は、これらの課題を解決するソリューションとして、今後さらに導入が進むことが期待されます。

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