食育推進基本計画 第4次24目標の通信簿 主要8指標がほぼ未達の現状

農林水産省「令和7年度 食育白書」は、令和3年度から7年度までを期間とする第4次食育推進基本計画の最終年の通信簿でもあります。設定された主な目標の多くが未達のまま2026年度の第5次計画へと引き継がれることになり、地場産物の活用や農林漁業体験といった、農業現場に直結するテーマでも目標に届いていません。

この記事では、第4次計画の主要目標について目標値と現状値の差を整理し、生産者にとって何が示唆されるのかを読み解きます。数値はすべて農林水産省「令和7年度 食育白書」に基づきます。

主要指標は軒並み目標未達

まず、割合(%)で示される代表的な指標を目標値と現状値で並べてみます。値が高いほど良い指標と、低いほど良い指標が混在している点に注意が必要です。

主要割合指標の目標値 vs 現状値(%)
出典: 農林水産省 令和7年度 食育白書

「より高いほど良い」指標を見ると、食育に関心を持つ国民の割合は目標90%以上に対して現状79.1%、学校給食での地場産物の使用を維持・向上させた都道府県の割合は目標90%以上に対して70.2%、農林漁業体験を経験した割合は目標70%以上に対して57.1%と、いずれも目標を下回っています。

「より低いほど良い」指標も同様です。朝食を欠食する子供の割合は目標0%に対して6.4%、朝食を欠食する若い世代の割合は目標15%以下に対して28.2%と、目標の倍近い水準にとどまっています。家族との共食の回数も、目標の週11回以上に対して現状は週8.6回でした。

農業現場に直結する2つの指標

24の目標のなかでも、生産者にとって特に関わりが深いのが学校給食での地場産物の活用農林漁業体験です。地場産物の使用を維持・向上させた都道府県の割合が70.2%にとどまっているということは、約3割の都道府県で地場産物の活用が後退、あるいは横ばいだったことを意味します。給食という安定した需要先と地域の生産をつなぐ仕組みは、まだ全国に行き渡っていません。

農林漁業体験を経験した割合が57.1%である点も見逃せません。体験は消費者が生産現場を理解し、国産農産物への関心を高める入り口になります。これは中長期的な需要づくり、ひいては食料自給率の維持にも関わるテーマです。観光農園や教育ファームなど、体験を提供できる経営体にとっては需要の余地が残されているとも読めます。

食生活そのものの目標も届かず

消費の土台となる食生活の指標も目標に達していません。1日当たりの野菜摂取量と食塩摂取量を目標値と並べると、その差がはっきりします。

1日当たり野菜・食塩摂取量の目標値 vs 現状値(g)
出典: 農林水産省 令和7年度 食育白書

1日当たりの野菜摂取量は目標350g以上に対して現状258.7gで、目標まで約90g足りていません。一方、1日当たりの食塩摂取量は目標8g以下に対して現状9.6gと、こちらは目標を上回ってしまっています。野菜摂取量の不足は、国産野菜の消費拡大という観点から生産者にとっても無関係ではありません。

第5次計画に向けて生産者が見るべき視点

第4次計画の主要目標は多くが未達のまま、2026年度から第5次計画が始動します。未達が続いているということは、裏を返せば地場産物の活用や農林漁業体験、野菜消費の拡大といった領域に、引き続き政策的な後押しと現場での取り組み余地があるということです。

給食向けの安定供給、体験型コンテンツの提供、地域内流通への参加など、これらの数字は生産者が地域の食育政策とどう接点を持つかを考える材料になります。自らの経営の方向性を考えるうえでは、需要側の動きと合わせて日本の農業従事者数のような供給側の構造変化も併せて押さえておくとよいでしょう。

データの引用について

本記事で用いた数値は農林水産省「令和7年度 食育白書」の公表値です。出典を明記すれば、本記事のグラフや数値はCC BY 4.0の範囲で自由に引用・転載いただけます。引用の際は農林水産省の原典もあわせてご確認ください。

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