肥料や農薬とは異なる、新たな資材カテゴリー「バイオスティミュラント」。作物の生理活動を活性化して病害虫や環境ストレスへの耐性を高め、結果的に肥料や農薬のコストも減らせるのではと期待されています。その中でも、微生物を利用した独自技術で業界を牽引する企業 Concentric Ag をご紹介します。
Concentric Ag 基本情報
住所:PO Box 370370, Denver, Colorado, 80210, US
CEO:Donald R. Marvin
設立年:2007年
従業員数:51〜200人
バイオスティミュラントとは
バイオスティミュラント(Biostimulant、略称BS)は作物の生理活動を活発にすることを目的とした資材です。BS自体が作物の養分になるわけではなく、作物の耐病性を上げたり生育を加速したりすることを狙っている点が、従来の肥料や農薬とは異なります。近年研究開発が進みつつある新しい資材カテゴリーですが、ヨーロッパで需要を伸ばしており、市場規模は2021年には2900億円に達すると予測されています。
Concentric Ag の技術は微生物が鍵
BSの有効成分はメーカーにより様々(有機酸、アミノ酸、植物ホルモンなど)ですが、Concentric Ag は生きたままの微生物を施用する Inocucor Garden Solution という製品を発売しています。土壌中で微生物が生合成する化学物質が、植物の生育に良い影響を与えて生育加速や収量向上につながります。
Concentric Ag は微生物をBSとして活用するために、微生物が植物に与える影響を長年研究してきました。植物の生理活性を高める菌類を選抜し、最適な組み合わせと培養条件を検討した末に実用化に成功し、2015年11月に特許を取得しました。
Inocucor Garden Solution の使い方
Concentric Ag の代表的製品であるInocucor Garden Solution の使い方を解説します。
- 施用量:1haあたり原液10L
- 施用頻度:3〜4週間に1度
- 散布方法:水で100倍くらいに希釈して、葉面または土壌に散布
使用例と効果の検証
肝心の効果はどうなのでしょうか。Concentric Ag のHPで、Inocucor Garden Solution の使用例と効果が閲覧できます。公開されている作物のうち、日本で出荷量が多いものをピックアップしました。
トマト
水耕栽培施設(1平方メートルあたり株数3本)に1haあたり1.8Lを月1回施用(6か月間)したところ、平均枝重が4.4%増大し、果実重量が6.3%増加しました。
タマネギ
1haあたり2.5Lを月2回散布したところ、収量が5.9%増えました。オンタリオ州の農場では、収量を8.5%増やすことに成功し、利益が10%近く増えました。
リンゴ
1haあたり5Lを栽培シーズン中4回散布したところ、収量が29.2%増えました。
これらの他にもイチゴ、レタス、ブロッコリーなどで効果が確認されており、汎用性の高い資材だと言えるでしょう。
URL
- Concentric Ag https://www.concentricag.com
- LinkedIn | Concentric Ag https://www.linkedin.com/company/concentricag
- 日本バイオスティミュラント協議会 https://www.japanbsa.com/index.html