【企業向け】農業研修の5つの内容!おすすめの研修先や選び方を解説

「農業に新規参入する際に、自社の社員に農業研修を受講してもらいたいけど、どのようなことが学べるのかわからない」

「どのような農業研修先がある?」

このように考えていませんか?農業参入時には、ノウハウがなく技術や知識を身につけられるサポートを受けたいですよね。

そこで本記事では、農業研修の内容や研修先の選び方を解説します。農業研修は、農業の基礎知識から栽培方法、経営戦略まで幅広いスキルが身につくため、新規参入に役立つでしょう。

費用や補助金など、研修を受ける際に知っておきたいことも説明しますので、農業研修を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。

新規参入を成功につなげる農業研修とは?

農業研修とは、農業の基礎知識から栽培技術までを学べるプログラムです。未経験者でも、農作業の技術や農業経営、最新の栽培方法など、農業に必要な知識と実地経験を身につけられます。

農業研修では、座学に加えて、実際の農作業を体験しながら以下の実践的なスキルを習得できます。

  • 土地の有効活用方法
  • 適切な栽培技術
  • 農業機械の操作
  • 農産物の流通や販売戦略

農業研修を通じて単なる技術習得にとどまらず、農業経営分野まで学べます。さらに、研修で得た知識や経験を活かして、地域農業の活性化や新たなビジネスモデルの創出にも役立つでしょう。

農業研修は、政府にも支援されています。農林水産省は「農の雇用事業」を実施し、農業法人や農家が就農希望者を雇用し、実践的な研修を行うことを支援しています。

政府によっても推進されているので、新規参入する際にも安心して活用しやすいでしょう。

農業研修で学べる5つのスキル・研修内容

「農業に新規参入したいが、どのような内容を学べるのか詳しく知りたい」という方に向けて、農業研修で学べる5つのスキルと研修内容について解説します。

1.農業の基礎知識

農業研修では、農産物を栽培する上で必要不可欠な農業の基礎知識を学べます。下記のような基本的な知識を習得すると、安定した農業ができます。

  • 作物の種類や特性
  • 肥料の使い方
  • 土壌管理

例えば、作物の種類ごとの特性を把握すると「安定した収穫をしたい」といった目的にあった栽培方法を選ぶことに役立ちます。

2.栽培方法

農業研修では、目的や環境によって最適な栽培方法が異なるので、各手法の特徴や適用場面を理解する点が重要です。

栽培方法特徴
施設栽培ビニールハウスやガラス温室を利用して作物を栽培する方法
畑作広い面積を持つ畑で野菜や穀物などを栽培する方法
露地栽培自然環境の下で作物を育てる方法
果樹栽培樹木に成る植物の果実を食用として育てる方法
水耕栽培土を使わずに水溶液で作物を育てる方法

栽培方法は知識を勉強できるだけでなく、実際の畑やハウスでの栽培を通して学習できます。

農業の栽培方法については、下記の記事で解説しているので参考にしてみてください。

農業の9種類の栽培方法!メリット・デメリットや3つの選び方を解説

3.販路確保・開拓、マーケティング

栽培した作物から収益を上げるために必要な販路確保・開拓とマーケティングについても学習できます。特に、参入企業の場合、販売するノウハウがない中で行うので、売上を上げるマーケティングを勉強することが必要です。

下記のような販路を学べる可能性があります。

販路特徴
農協(JA)マーケティングや分析、販売促進活動を依頼可能
卸売市場生産したものを全量買い取ってもらえる
直売所・道の駅生産者は自ら価格を設定でき、出店料が低いため利益率が高い傾向

下記の記事でも、農業の販路について解説しているので参考にしてみてください。

農業の販路開拓・確保先8選!販売を成功させる2つのコツや事例を紹介

4.農業経営・経営戦略

事業成功につながる経営計画や経営戦略も農業研修で学べる重要なポイントです。現代の農業経営では、単に作物を栽培するだけでなく、下記のような総合的な経営スキルが求められるからです。

  • 市場調査
  • ブランディング
  • 販売チャネルの確立

農業研修では、土地選びから作物の選定、販売戦略まで、経営に必要な要素を網羅的に学習します。例えば、市場動向を理解し、需要が高く栽培しやすい作物を見極めるコツや有機栽培などで市場との差別化を図り、より高い利益率を出す方法です。

また、実際の農業経営者の事例を通じて、成功の秘訣や失敗からの教訓を学習できます。

農業研修で経営戦略を学ぶことで、新規参入時に直面する人材不足や消費者ニーズの細分化による販売問題などの課題解決にも役立つでしょう。

5.農業に関わるIT技術・スマート農業

近年、農業現場では「スマート農業」の活用が進んでいます。農業研修では、IT技術を活用したスマート農業についても学べます。

具体的には、下記のような技術や知識です。

  • 収穫ロボットの活用方法
  • スマート農業に関わる情報収集の仕方
  • データ分析の方法
  • ICT技術への投資判断

例えば、ドローンを使用した農薬散布や、AIを活用した生育状況の分析など、最新技術の応用方法を習得できます。

総務省によると、スマート農業の導入により、作業時間の大幅な削減や収量・品質の向上が実現していると報告されています。新規参入時にはノウハウがない中で栽培を始めるため、ICT技術についての理解を深めると、農業経営を効率的に行えるでしょう。

効果的な農業研修先の2つの選び方

新規参入を成功につなげるには、適切な農業研修先を選ぶ点が重要です。効果的な農業研修先を見つけるポイントは、以下の2つが挙げられます。

  • 参入したい農業ビジネスの知識があるか
  • 研修先が参入予定地か

1.参入したい農業ビジネスの知識があるか

農業研修先を選ぶ際は、自分が目指す農業ビジネスに関する知識や経験が豊富な箇所を選びましょう。

例を挙げると、有機農業で少量多品目栽培を行い、配達での販売を考えている場合は、関連した実績のある農家や法人での研修が適しています。

一方、有機野菜の卸売に重点を置くなら、品目を絞って大量生産している農業研修先で学ぶのが得策です。販売チャネルによって求められる栽培方法が大きく異なることから、自社のやり方に合った研修先を見つけましょう。

2.研修先が参入予定地か

農業研修先は、自分が将来的に参入を予定している地域である点が望ましいでしょう。研修期間中に、参入予定地の気候風土や農業事情についての知識を得られるからです。同じ土地で学んだ技術やノウハウは、自分の農業ビジネスに活用できます。

また、研修を通じてその地域に人脈を作り、地元の人々に認知してもらうと、参入後の営農や販路開拓がよりスムーズに進む可能性が高まります。

農業研修先のおすすめ3選

本項では、農業研修先のおすすめを3選を紹介します。

  • 農業法人
  • 地方自治体やJA
  • 農業大学校などの学校

農業参入を検討している企業にとって、どの農業研修先を選ぶのかは重要です。特徴をよく理解し、自社の目的や社員のスキルレベルに合わせて、最適な農業研修先を選びましょう。

1.農業法人

農業法人で研修を受けることで、実践的な技術やノウハウを習得できます。先進的な農業経営を行っている場合があるので、最新の農業技術や経営手法を学べるのが魅力です。

また、農業コンサルティングを行っている企業で研修を受けるのもおすすめです。農業経営に関する深い知見を持つコンサルタントから、栽培方法やスマート農業に関する知識を学べます。

農業のコンサルティングについては、下記の記事で解説しているため参考にしてください。

【参入企業向け】農業コンサルティングとは?2つのメリットや選び方・おすすめの会社を紹介

2.地方自治体やJA

地方自治体やJAが主催する農業研修は、初心者向けの入門講座から、専門的な農作物の栽培講座まで、幅広い内容が用意されているのが特徴です。

各地域によって、稲作や野菜、果樹栽培など、特色ある農業が営まれており、研修内容や期間も地域ごとに異なります。

基礎研修では、就農に必要な農業の基本知識や技術を一から学べます。

一方で、実践研修では、地域の先輩農家の指導を受けながら、農作物の栽培と農業経営の両方が学べます。 実践研修では、栽培技術だけでなく、農業経営のノウハウも学べるのが魅力です。

比較的低コストで受講できるケースが多いメリットもあります。

3.農業大学校などの学校

農業大学校や民間の農業学校では、多様な農業分野の研修を受けられます。42の道府県で農業大学校が開校しており、本格的な農業教育を受けられるため、農業初心者でも体系的に学べます。

さらに、座学だけでなく、実習も充実しているのが特徴です。農作物の栽培はもちろん、農業機械の操作や農産物の加工・販売など、幅広い知識とスキルを身につけられます。

一般社員に研修を受けてもらうのも効果的ですが、経営者や管理職が学ぶのもおすすめです。

農業研修を受ける際に知っておきたいこと

本項では、農業の研修時において、かかる費用や補助金などについて解説します。

あらかじめ費用や補助金について知り、農業研修をスムーズに受講しましょう。

1.農業研修の費用

農業研修の費用は、研修内容や期間によって大きく異なりますが、一般的には数万円から数十万円程度が相場です。例えば、農業大学校での研修は、主に1年から2年の期間で行われ、年間の授業料は約12万円が目安です。

一方、民間の農業学校では、数ヶ月から2年までさまざまな期間の研修が用意されており、費用は15万円から150万円程度と幅広い傾向にあります。

下記で解説するように、補助金も活用できるため利用してください。

2.農業研修に関する補助金

農業研修を受ける際の費用負担を軽減するために、国や自治体による助成金や給付金制度を活用しましょう。例えば「雇用就農資金」には、さまざまなタイプの助成金があります。

種類内容金額
雇用就農者育成・独立支援タイプ新たに就農する人材を雇用し、技術・経営ノウハウ習得のための研修を実施する農業法人等を対象年間最大60万円
新法人設立支援タイプ独立就農を目指す新規就農者を一定期間雇用し、研修を実施する農業法人・農業者向け年間最大120万円
新法人設立支援タイプ職員を次世代の経営候補者として育成するために、国内外の先進的な農業法人等に派遣して研修を行う際に活用可能月最大10万円

参考:農林水産省「雇用就農資金

このように、農業研修に関連するさまざまな補助金制度を活用することで、費用負担を抑えつつ、充実した研修を受けられるでしょう。自分の条件に合った制度を探し、有効に活用していきましょう。

農業研修を受けて新規参入時の技術習得をしよう

農業研修では、農業の基礎知識から栽培技術までを学べます。先進的な農業法人や農業参入企業、地方自治体やJA、農業大学校などで研修を受けると、農業の基礎知識から実践的なスキルまで幅広く習得できます。

特に、参入予定の地域で実績のある研修先を選ぶことで、地域特有の栽培ノウハウや気象条件への対応策などを身につけられるでしょう。

研修費用や期間、カリキュラム内容は農業研修先によって異なりますが、補助金制度を活用すれば費用負担を軽減できるケースもあります。自社の目的や予算に合わせて、最適な研修先を選びましょう。

農業研修以外にも、農業参入をサポートするサービスがあります。

トクイテンでは、科学的手法を用いた有機農業でミニトマトを栽培し、収穫ロボットなどを開発した実績から、農業参入を目指す企業向けにコンサルティングサービスを提供しています。

農業の栽培方法や農業ビジネスに関心のある方は、ぜひトクイテンにお問い合わせください。

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トクイテンホームページ

参考サイト

・新規雇用就農者に対する支援の実施状況 |農林水産省

https://www.soumu.go.jp/main_content/000607935.pdf

・長期研修|農林水産省

https://www.maff.go.jp/j/keiei/nougyou_jinzaiikusei_kakuho/attach/pdf/roudouryoku-95.pdf

・農業経営力や指導力強化のための各種研修について|農林水産省

https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/n_kyoiku/kennsyuu.html

・農業大学校等におけるスマート農業教育について|農林水産省

https://www.maff.go.jp/j/keiei/nougyou_jinzaiikusei_kakuho/smart_kyoiku.html

・雇用就農資金|農林水産省

https://www.maff.go.jp/j/keiei/nougyou_jinzaiikusei_kakuho/shikin.html

企業の農業参入マニュアル|長野県農政部

https://naganokaigi.com/ikusei/images/pdf/kigyou_manual_r2.pdf

・スマート農業の展開について|総務省

https://www.soumu.go.jp/main_content/000775128.pdf