スマート灌漑やドローンによるモニタリング技術でスマート農業を促進する、スペインの情報通信企業Telefonica社について解説

事業概要:スペイン語圏有数の情報通信企業

Telefonica社は、1924年設立の固定電話および携帯電話サービスを提供する情報通信企業で、スペインに拠点を置いています。情報通信技術に基づく革新的なサービスを提供し、人々の生活や事業のパフォーマンスを向上させることをミッションとしています。

現在は24か国で事業を展開しており、スペイン語・ポルトガル語圏をターゲットに顧客総数は3億人以上に登ります。従業員数はおよそ1万人を超え、スペイン証券取引所と、ロンドン、ニューヨーク、リマ、ブエイノスアイレスの市場に上場しています。

Telefonica社は、2018年にFAO(国連食糧農業機関)とのパートナーシップの枠組みの中で、農業分野におけるイノベーション、デジタル化、データ分析技術を主導しており、農業と食糧の安全保障、栄養のある食事の促進に取り組んでいます。

Youtube動画:https://youtu.be/H-HVsho2J_M

情報通信技術とビッグデータを利用した精密農業技術の開発では、GPSや正確な作物データに基づいて最適な動きをするドローンなどを採用し、データ収集と分析を通じて、灌漑用水、肥料、農薬などの資源を最適化、コスト削減、農作物の品質向上、また環境にやさしい農業を促進しています。

ビジネスモデル:FAO(国際連合食糧農業機関)とのパートナーシッププロジェクト

Telefonica社は2018年よりFAO(国際連合食糧農業機関)とのパートナーシップを通じて、気候変動に強い農業に向けたプロジェクト「SMART AGRO 4.0」を行っています。

コロンビア、エルサルバドル、ペルーといった南米の小規模農家は、雨水による農業に依存しており、気候変動に弱く安定的な作物の育成が難しい現実があります。そのための技術的、財政的支援が不足しており、当プロジェクト内でTelefonica社の技術により革新的な灌漑用水管理技術の開発が行われています。土壌条件を作物の成長に最適な状態に近づけ、生産を安定させ、気候変動の悪影響を緩和することを目的としています。

テクノロジー:スマート灌漑、ドローンによる農場モニタリング

Telefonica社がパートナーシップにおいて主導的に進めている事業の中の一つとして、スマート農業技術に基づく水利用の効率化を図っています。作物にセンサーを設置することで土壌水分、灌漑、畑の水消費量を検出し、その情報をスマホやタブレット経由でクラウド対応プラットフォームに送信します。利用者は農場に関する正確な情報と天気予報など外部環境に合わせて、灌漑推奨アラートを受け取ります。

また、ドローン技術を用いた農場モニタリングも行っています。農作物の育成状況の監視、肥料の管理、灌漑、農作物の健康状態などを、ドローンを使ってモニタリングすることで、タイムリーかつ効率の良い土地の監視や、農場管理の自動化、コスト削減が可能になります。

今後の計画

世界有数の情報通信企業として、IoT、データ分析、情報通信分野の経験を生かしながら、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に向けた取り組みを今後も続けていく方針です。

コメント

国連とのパートナーシップにより、技術投資の行き届きにくい地域での取り組みを行うことは、今後の技術普及への大きなきっかけになると考えられます。知見とネットワークを生かしたスマート農業技術のさらなる開発が期待されます。

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