家畜を柵で囲まない放牧をIoTで実現。労力低減と動物福祉の両立を目指す、ノルウェーの企業 Nofence を紹介します。

ノルウェーでは、森や草原で家畜を伸び伸びと放牧するスタイルの畜産がおこなわれています。しかし、家畜が放牧地の森から脱走したり、希少な植物を食べてしまったりする恐れもあります。柵を建てて囲む方法もありますが、地形が複雑で設置しにくかったり、維持に労力がかかったりするのが課題です。そこで Nofence は、柵を建てることなく家畜の行動範囲を制限する技術を実用化しました。労力低減と動物福祉を両立できる技術として、着目されています。

Nofence 基本情報

住所:NO 6631 Møre og Romsdal Gjemnes Evjevegen 8

CEO:Olbjørn Kvernberg

設立:2011年

従業員数:11〜50人

柵で囲まずに脱走防止

作業低減と動物福祉の両立

Nofence は、放牧地に柵を建てることなく家畜の脱走を防止する「バーチャルフェンス」の技術を提供するノルウェーの企業です。家畜を柵で囲まない、「柵のない(No Fence)放牧」を実現します。

柵が不要になることで、柵の設置や補修にかかる労力を低減できます。さらに、家畜が柵に衝突して怪我をしたりストレスを感じたりすることがなくなるため、動物福祉の観点からも着目されています。

バーチャルフェンスとIoT首輪で動物を誘導

Nofence の技術を特徴づけるのは、家畜の行動範囲を指定するバーチャルフェンスと、位置情報を発信するIoT首輪です。

  • バーチャルフェンス:家畜の行動範囲を、バーチャルフェンスで囲った範囲内に制限します。専用のアプリケーションをタブレット上で起動して、バーチャルフェンスを設置したい範囲をタップ操作で設定します。
  • IoT首輪:GPSとソーラーパネルを搭載し、2G通信できる専用の首輪です。これを家畜に装着することで、家畜の位置情報がモバイルネットワークを介して Nofence のサーバーに送られ、専用アプリケーションで閲覧できるようになります。

家畜がバーチャルフェンスで囲った範囲から外へ出ると、首輪のGPS信号で検知されます。すると首輪に信号が送られて、音楽が流れ始めます。この音楽は家畜に苦痛を与えるほどではありませんが、家畜は音楽を止めようとして自発的にバーチャルフェンスの内側へ引き返します。

音楽が鳴っても家畜が意に介さず脱走した場合は、管理者へアラートが送られます。

採用実績

Nofence が事業展開するノルウェーでは、森林や自然公園周辺でウシやヒツジ、ヤギを伸び伸びと放牧するスタイルの畜産がおこなわれてきました。そのような放牧地は、地形が複雑であること、景観保全のため人工物を設置しにくいことなどが理由で、柵で囲むのが困難です。そのため、家畜が脱走したり、希少な植物を食べてしまったりする可能性があります。

そこで、柵を建てることなく家畜の行動範囲を制限するため、Nofence の技術が採用されています。バーチャルフェンスを使うことで、地形の制約を受けずに放牧地を囲んだり、希少な植物が分布するエリアに家畜が入れないようにしたりすることが可能です。

Nofence がこれまでにサービス提供した顧客は2300件に達し、家畜約25万頭分の首輪が販売されています。

Nofence の導入方法

ウシ・ヤギ・ヒツジに対応

Nofence の技術を導入するには専用の首輪が必要です。首輪はウシ・ヤギ・ヒツジ用があり、ホームページ上で家畜の種類と管理頭数、運用期間を入力して価格見積もり可能です。

専用アプリケーションでバーチャルフェンスを設定

専用アプリケーションはiOSとAndroidに対応しており、タブレット上で操作できます。放牧地の地図を表示して、バーチャルフェンスを設置したい箇所をタップ操作で指定すれば準備完了です。

まとめ

家畜の脱走を防ぐために放牧地を柵で囲むのは、柵の設置と維持に労力がかかり、家畜にもストレスを与える場合があります。そこでNofence は、柵で囲む代わりに、首輪のIoT化とバーチャルフェンスによって家畜の行動範囲を制限する技術を実用化しました。柵を管理する労力が低減され、動物福祉の観点からも着目されています。

URL

Nofence https://www.nofence.no/en/

Nofence Linkedin https://www.linkedin.com/company/nofence-as/