高品質なタンパク質を含む昆虫から養殖、ペット、作物向け飼料を自動化した農場で製造するYnsect社について解説

事業概要

Ynsect社は、2011年にフランスを拠点に設立された、昆虫由来の動物飼料生産する企業です。従業員数は100〜250人と推定されます。

昆虫由来の水産養殖向け及びペット、作物向けの高品質なタンパク質を含む飼料を生産しています。現在、家畜や養殖が世界のタンパク質の20%を消費していると言われており、人間の食糧と競合することが問題となっています。そのため世界的に持続可能で人間の食糧と競合しない動物の餌の需要が高まっており、Ynsect社は昆虫由来の飼料を生産することでそのニーズに応えています

人間の飢餓を回避するためには、タンパク質の生産性を大幅に向上させる必要があり、Ynsect社は栄養素が高くタンパク質を多く含む昆虫タンパク質がその課題の解決策となると考えています。現在では、昆虫の大規模飼育のための革新的な技術を開発し、昆虫から動物飼料を生産する工程を自動化しています。

Ynsect社は、従来の魚由来の飼料を昆虫タンパク質に置き換えることで、2050年に20億人以上となる人口を養うために必要な海洋魚資源の競争を相殺し、魚、水、土壌の枯渇を防ぎ、農業によって排出される温室効果ガスを25%削減できると考えています。

Youtube動画:https://www.youtube.com/watch?v=52lzZpfKIAs

ビジネスモデル:昆虫由来の水産養殖、ペット、作物向けの動物飼料を生産

Ynsectは昆虫由来の水産養殖、ペット、作物向けの動物飼料を生産し、販売しています。

Ynsectの主力製品は養殖漁業、ペット、作物向けの飼料で、ミールワーム(ゴミムシダマシ科の甲虫)の幼虫に由来する粉末である「ŸnMeal」です。魚粉ベースの飼料よりも、魚や動物の成長と健康にとって有益な昆虫タンパク源となっています。

水産養殖は、人間の栄養において重要な役割を果たしており、人間が消費する他のどのタンパク質源よりも早く成長します。人間が食べる魚の半分は養殖資源であるにもかかわらず、養殖魚の腫瘍な食糧源である魚粉は危機に瀕している入手困難な飼料成分となっています。

ペット用にも提供しており、ペットの健康を維持するのに最適なタンパク質を提供しています。

また植物の肥料としてプレミアム肥料である「YnFrass」も販売しています。ミールワームの鋳物でできており、土壌の栄養価を高めることができ、石油化学製品の代替となる環境に優しい肥料として利用可能です。

テクノロジー

Ynsect社が育成する昆虫ミールワームは、高品質のタンパク質だけでなく、人間、動物、植物の健康に不可欠な栄養素を豊富に含んでいます。ミールワームは群生し、夜行性であるため、育成が容易です。

ミールワームの幼虫は、制御された最適な条件下で、数週間餌を与えられて成長します。

成熟段階に達すると、95%は化学薬品を使用することなく蒸して殺菌し、高品質なタンパク質とオイルに加工されます。残りの5%は成虫になるまで育成し、繁殖させます。

今後の計画

Ynsect社は2019年の2月に1億2500万ドルの資金調達を終え、この資金により年間20000トンの昆虫タンパク質を生産できる世界最大級の昆虫農場を建設しています。

コメント

家畜や養殖で必要となる飼料と人間の食糧とが競合してしまう課題を、昆虫によって解決し、大規模生産に取り組むYnsect社の技術は今後さらに注目されることが期待されます。

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