日本の化学肥料の輸入量・価格|尿素・塩化加里ほぼ全量輸入、特定国依存のリスク
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出典: smartagri.jp「日本の化学肥料の輸入量と価格」
https://smartagri.jp/stats/jp-fertilizer-import-and-price/この記事の結論(コピペ用1行)
日本は 尿素・リン安・塩化加里のほぼ100%を輸入。尿素はマレーシア47%+中国37%、リン安は中国76%、塩化加里はカナダ80%と 特定国依存。2022年価格は平時の約3倍まで急騰、2024年に半値まで反落するも構造的リスクは残存。
一次ソース: 農林水産省「肥料の価格情報」 / 財務省「貿易統計」

キー数値(2024年・最新)
| 指標 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 窒素肥料の自給率 | 4% | 国内アンモニア生産は限定的 |
| リン酸肥料の自給率 | 0% | リン鉱石を国内産出せず |
| カリ肥料の自給率 | 0% | カリ鉱石を国内産出せず |
| 尿素の国別シェア(輸入) | マレーシア 47% / 中国 37% | 2022年度・肥料年度 |
| リン安の国別シェア | 中国 76% / モロッコ 18% | 2022年度 |
| 塩化加里の国別シェア | カナダ 80% | ウクライナ危機以降、ロシア・ベラルーシ減 |
| 2022年4月 複合肥料価格(世界) | 815ドル/トン | 平時の約3倍 |
| 2024年4月 複合肥料価格(世界) | 327ドル/トン | 半値以下に反落 |
| 2022年6–10月 日本の尿素値上げ率 | +94% | 対前期比 |
| 2022年6–10月 日本の塩化加里値上げ率 | +80% | 対前期比 |
出典: 農林水産省「肥料の価格情報」、財務省「貿易統計」、JIRCAS、JA全農プレス
肥料原料の輸入依存度と相手国

日本の化学肥料3大原料(尿素・リン安・塩化加里)の輸入依存と国別シェア。特定国に8割集中する構造リスク。(CC BY 4.0)
尿素(窒素肥料の原料)
| 相手国 | シェア |
|---|---|
| マレーシア | 47% |
| 中国 | 37% |
| カタール | 7% |
| その他 | 9% |
リン安(リン酸アンモニウム)
| 相手国 | シェア |
|---|---|
| 中国 | 76% |
| モロッコ | 18% |
| その他 | 6% |
塩化加里(塩化カリウム)
| 相手国 | シェア |
|---|---|
| カナダ | 80% |
| ロシア | 7% |
| ベラルーシ | 5% |
| その他 | 8% |
リスク構造
– 世界のリン鉱石埋蔵量は 中国・モロッコの2カ国で70% を占める
– カリ鉱石は カナダ・ベラルーシの2カ国で70% を占める
– 資源が特定国に偏在しており、地政学的ショックで供給が一気に止まる
– 2022年のロシア・ベラルーシからのカリ肥料輸出制限で、日本はカナダ依存が急上昇
肥料価格の急騰と反落(2020–2024年)

世界の複合肥料価格は2022年4月の815ドル/tをピークに反落、2024年4月に327ドル/tへ。ただし2020年平準と比較すると依然高水準。(CC BY 4.0)
| 年月 | 複合肥料価格(ドル/トン) | 対2020年比 |
|---|---|---|
| 2020年4月 | 約250 | — |
| 2021年4月 | 約380 | +52% |
| 2022年4月(ピーク) | 815 | +226%(約3倍) |
| 2022年10月 | 約750 | +200% |
| 2023年4月 | 約500 | +100% |
| 2023年10月 | 約400 | +60% |
| 2024年4月 | 327 | +31% |
価格高騰の4要因
1. 中国の肥料輸出規制(2021年秋〜)
2. ロシア・ベラルーシのカリ肥料輸出制限(2022年ウクライナ侵攻後)
3. エネルギー価格の急騰(アンモニア合成にコスト圧迫)
4. 円安(ドル建て価格の円転で農家負担増)
日本国内の肥料小売価格推移(品目別)

日本国内での農家向け肥料小売価格。尿素・塩化加里・過リン酸石灰はいずれも2022年にピーク、2024年以降も高止まり。(CC BY 4.0)
| 年度 | 尿素(円/20kg) | 塩化加里(円/20kg) | 過リン酸石灰(円/20kg) |
|---|---|---|---|
| 2020年度 | 2,400 | 2,100 | 1,800 |
| 2021年度 | 2,900 | 2,600 | 2,150 |
| 2022年度(ピーク) | 5,600 | 4,700 | 3,400 |
| 2023年度 | 4,800 | 4,300 | 3,200 |
| 2024年度 | 3,800 | 3,700 | 2,900 |
読み解き
– 尿素は2020年の約1.6倍で推移 — 高止まりが常態化
– 価格反落は世界市場で起きたが、円安により日本は恩恵が薄い
– 農家経営への打撃: 稲作で施肥コストが前年比+30〜50%となるケースが多数
肥料原料の国内自給率と代替資源

化学肥料原料の自給率はほぼゼロ。代替として国内有機性資源(家畜ふん堆肥・下水汚泥資源・食品残渣)の活用拡大が政策化。(CC BY 4.0)
| 原料 | 自給率 | 代替可能な国内資源 |
|---|---|---|
| 窒素(N) | 4% | 家畜ふん尿(年間約8,000万t)、食品残渣 |
| リン酸(P) | 0% | 下水汚泥(年間リン回収可能量 約5万t) |
| カリ(K) | 0% | 家畜ふん尿、もみ殻、草木灰 |
政策動向(2023年〜)
– みどりの食料システム戦略(012_有機農業の統計予定)で 化学肥料30%減目標
– 下水汚泥からのリン回収事業が各地で始動(福岡市、鳥取市、大阪府などパイロット)
– 堆肥の広域流通(「畜産〜耕種連携」)を国が主導
– バイオスティミュラント(009_バイオスティミュラント市場)による減肥も拡大中
肥料コストと農業経営への影響

水稲10aあたりの肥料費は2020年の約4,800円から2022年に7,800円超へ+63%、2024年は6,500円で高止まり。農業所得圧迫の主要因。(CC BY 4.0)
| 年度 | 10aあたり肥料費(円) | 前年比 |
|---|---|---|
| 2019 | 4,700 | — |
| 2020 | 4,800 | +2% |
| 2021 | 5,600 | +17% |
| 2022 | 7,850 | +40% |
| 2023 | 7,200 | −8% |
| 2024 | 6,500 | −10% |
※ 農林水産省「水稲10a当たり生産費」をベースに、肥料費部分を抽出・推計
関連影響
– 007_農業所得と農家経営 の水田作「平均-3万円」の一因
– 主業稲作農家の所得を年10〜20万円押し下げる インパクト
– 野菜・畜産の飼料肥料でも同様のコスト圧迫
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- 原データ: 農林水産省「肥料の価格情報」 / 財務省「貿易統計」
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- 価格推移: slide / article / SVG
- 日本小売価格: slide / article / SVG
- 国内代替資源: slide / article / SVG
- 経営影響: slide / article / SVG
そのままスライドに貼れるテキスト
バージョンA(3行)
日本の化学肥料自給率はほぼ0%(尿素4%、リン酸・カリ 0%)
尿素はマレーシア47%+中国37%、塩化加里はカナダ80%依存
世界価格は2022年に約3倍に急騰、2024年は半値反落するも高止まり
バージョンB(5行)
日本は化学肥料の原料をほぼ全量輸入に依存し、特定国集中のリスク構造にある。
尿素はマレーシア47%・中国37%、リン安は中国76%、塩化加里はカナダ80%。
世界の複合肥料価格は2022年4月に815ドル/tへ急騰(平時の約3倍)、2024年4月に327ドル/tへ反落。
日本の尿素小売価格は2020年度2,400円/20kgから2022年度5,600円(+133%)に上昇。
水稲10aあたりの肥料費は2022年に7,850円(+40%)、農家経営を直撃している。
バージョンC(1文)
日本は化学肥料3大原料の100%近くを輸入し、特定国への依存が高く、
2022年の価格急騰で農家の肥料費は10a当たり+40%に達した(農水省・財務省)。
関連指標・内部リンク
- 006_食料自給率 — 自給率38%を支える肥料輸入の実態
- 007_農業所得と農家経営 — 肥料高騰が所得に与える影響
- 009_バイオスティミュラント市場 — 減肥ニーズを吸収する技術
- 012_有機農業の統計(予定)— 化学肥料30%減目標
出典
一次ソース
- 農林水産省「肥料の価格情報」 https://www.maff.go.jp/j/seisan/sien/sizai/s_hiryo/fertilizer_price.html
- 財務省「貿易統計」 https://www.customs.go.jp/toukei/info/
- JA全農プレス(肥料価格改定) https://www.zennoh.or.jp/press/
- 農林水産省「我が国と世界の肥料をめぐる動向」
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/jki/j_rep/monthly/attach/pdf/r5index-3.pdf
補足
- JIRCAS (国際農林水産業研究センター)「肥料資源をめぐる情勢」
https://www.jircas.go.jp/ja/publication/jircas_journal - 農林水産省「肥料価格高騰対策事業」
https://www.maff.go.jp/j/seisan/sien/sizai/s_hiryo/hiryo_kakaku.html - FAO “World Fertilizer Trends and Outlook”
https://www.fao.org/fertilizers/
ライセンスと引用方法
推奨クレジット表記
出典: smartagri.jp「日本の化学肥料の輸入量と価格」
https://smartagri.jp/stats/jp-fertilizer-import-and-price/
(原データ: 農林水産省「肥料の価格情報」 財務省「貿易統計」)
更新履歴
- 2026-04-22 v1: 初版。農林水産省「肥料の価格情報」「肥料をめぐる情勢」・財務省「貿易統計」・JA全農プレスリリース・JIRCAS・FAO World Fertilizer Trends の公的データのみを参照。5チャート(輸入依存度/世界価格/日本小売/代替資源/経営影響)を配布開始
- 2026-04-22 v2: 営利調査会社への参照を削除(再公開時修正)