Carbon Robotics:レーザー除草ロボットで年商1億ドルを突破した農業AI企業

会社基本情報

  • 会社名:Carbon Robotics, Inc.
  • 本社所在地:807 Aurora Ave N, Seattle, WA 98109, United States
  • 代表者:Paul Mikesell(創業者兼CEO)
  • 設立年:2018年
  • 従業員数:約270名(2026年2月時点)
  • 展開地域:15カ国(北米、欧州、オーストラリア、ニュージーランド)
  • 公式サイトhttps://carbonrobotics.com/
Carbon Robotics公式サイト
出典:Carbon Robotics

事業概要

Carbon Roboticsは、AI画像認識と高出力レーザーを組み合わせた除草ロボット「LaserWeeder」を開発・販売する農業ロボット企業です。2026年1月期の会計年度で年間売上高1億ドル(約150億円)を突破し、農業ロボット企業として初めてこの水準に到達しました。

創業者のPaul Mikesell氏は、分散ストレージ企業Isilon Systemsの共同創業者としても知られています。Isilon Systemsは2006年に上場し、2010年にEMC(現Dell Technologies)に約25億ドルで買収された実績があります。Mikesell氏はその後Uberでエンジニアリングチームを率い、2018年にCarbon Roboticsを創業しました。

同社の主力製品は以下の3つです。

  • LaserWeeder G2:AI駆動のレーザー除草システム
  • Carbon ATK(Autonomous Tractor Kit):既存のトラクターに後付けして自律走行を可能にするキット
  • Carbon AI(Large Plant Model):1億5,000万の植物データで学習した世界初の「大規模植物モデル」

課題と解決策

農業が直面する除草の課題

除草は農業における最も労働集約的な作業の一つです。従来の除草方法には大きく2つのアプローチがあり、それぞれ課題を抱えています。

  • 除草剤の散布:環境負荷が高く、土壌微生物への影響や除草剤耐性雑草の出現が問題化
  • 手作業による除草:人件費が高騰しており、労働力の確保自体が困難

既存の除草ロボットの多くは、機械的な方法(刃や耕耘)で雑草を処理するため、作物を傷つけるリスクがあり、精度にも限界がありました。

Carbon Roboticsのレーザー除草アプローチ

LaserWeederは、コンピュータビジョンとディープラーニングで作物と雑草をリアルタイムに識別し、雑草だけにレーザーを照射して熱エネルギーで破壊します。レーザーは雑草の成長点(メリステム)を破壊するため、再生長を防止できます。

最上位モデルのLaserWeeder G2 600の主な仕様は以下の通りです。

  • 24基の240Wダイオードレーザーを搭載
  • 36台の高解像度カメラによるリアルタイム画像認識
  • 毎分最大10,000本の雑草を処理可能
  • 1時間あたり1.5~3.0エーカーをカバー
  • サブミリメートル精度で99%の雑草を除去

この技術により、除草剤を使用せず、作物を傷つけることなく、従来の除草コストを最大80%削減できるとされています。これまでに250,000エーカー以上で使用され、100種類以上の作物に対応し、累計150億本以上の雑草を除去した実績があります。

ビジネスモデル

Carbon Roboticsの収益は、主にハードウェア(LaserWeeder G2、Carbon ATK)の販売によるものです。同社はこれまでに累計2億7,600万ドルの資金調達を実施しており、主な調達ラウンドは以下の通りです。

  • Series A(2019年):840万ドル
  • Series B(2021年):2,700万ドル
  • Series C:3,000万ドル(Sozo Ventures主導)
  • Series D(2024年):7,000万ドル(NVIDIAのVC部門NVenturesも参加)

主な投資家にはAnthos Capital、Bond、Voyager Capital、Ignition、FUSE、Revolution、NVenturesなどが名を連ねています。

2026年3月にはCFOとしてKevan Krysler氏を迎え入れました。同氏はVMwareやKPMGでの経験を持つベテランで、IPOを見据えた体制強化と見られています。

今後の計画

Carbon Roboticsは、2026年2月に発表した世界初の「Large Plant Model(大規模植物モデル)」を軸に、AI農業プラットフォームとしての展開を加速させています。このモデルは1億5,000万の植物データで学習されており、新しい植物種にも写真1枚で即座に対応できる仕組みです。農家がタブレット画面を数回タップするだけで、未知の雑草種を認識対象に追加できます。

また、Carbon ATK(Autonomous Tractor Kit)により、既存のトラクターへの自律走行機能の後付けを推進しています。これにより、新たに高額なロボットを購入しなくても、農家が段階的に自動化を導入できる道が開かれます。

15カ国での展開をさらに拡大し、CFO採用による経営体制の強化からIPOの可能性も視野に入っていると考えられます。

コメント

Carbon Roboticsの年商1億ドル突破は、農業ロボット業界にとって画期的な出来事です。同業の除草ロボット企業であるFarmWiseやDanish発のFarmdroidなど、機械式やソーラー駆動の除草ロボットを展開する競合と比較して、レーザーという非接触型のアプローチで差別化に成功しています。

特に注目すべきは、単なるハードウェア企業ではなく「Large Plant Model」というAI基盤を構築し始めた点です。これはOpenAIのGPTが汎用言語モデルとして様々なアプリケーションの基盤となったように、植物認識においてプラットフォーム企業へと進化する戦略と言えます。

CNBC Disruptor 50に2年連続選出(2024年・2025年)、TIME誌のAmerica’s Top Greentech Companies(2024年)にも選ばれるなど、農業テック企業としての評価も急速に高まっています。農業用ドローンと並んで、今後の先端農業を牽引する存在となることは間違いないでしょう。

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