環境に優しく運用コスト削減も可能な電気トラクター「ALPO」を開発する、フランスのエンジニアリング企業Sabi Agriについて解説

事業概要

Sabi Agri社は2017年にフランスでAlexandre Prévault氏とLaure PREVAULT OSMANI氏によって設立されたエンジニアリング企業で、電気トラクターの設計および製造を行っています。従業員数は7人ほどと推定されます。

主力製品として、サーマル40HPトラクター(40馬力)と同じ操作を実現できる電気トラクターALPOを設計・開発しています。ALPOを利用することで、通常のトラクターを使用する場合よりも収益性が向上し、使いやすい設計になっていることが特徴です。

テクノロジー:環境に優しくコストダウンも可能な電気トラクター

Sabi Agri社の主力製品であるALPOは、40馬力に匹敵するパワーのサーマルトラクターと同等の作業を行うことができます。重要な機能のみを保持することで、450kgという軽い車体を実現させており農地の土壌圧縮を防ぐことに役立っています。また電気による駆動のため、騒音やガスによる環境汚染の心配もありません。

Youtube動画: https://youtu.be/yGszM9-ond0

Sabi Agriの筐体。エンジンがないのですっきりしています。

除草している様子が動画でみれますが、小枝が折れる音が聞こえるほど静かでトラクターのうるさいというイメージを覆されます。

Sabi Agri社の代表であるAlexandre Prévault氏は、Sigma Clermont大学院を卒業し、Busiインキュベータにて1年間この電気トラクターを開発しました。

最長8時間持続可能なバッテリーの場合は、2時間未満で充電が完了します。フル充電にかかる費用は約1ユーロで、ALPOの運転費用は通常のサーマルトラクターの1/6ほどになるというコストメリットが特徴です。

また、ALPOの機械構造と電気構造は頑丈に作られているため、5000時間分の作業を行うまではメンテナンスが不要です。運転の質は高く正確で快適になっており、騒音やガスによる環境汚染がありません。

ビジネスモデル

Sabi Agri社の電気トラクターALPOは、野菜栽培業者、ブドウ栽培業者、樹木栽培者といった、様々な利用者を対象に販売されています。農場のサイズに応じて、日常利用用のトラクター、農作物用のトラクターまたはメイントラクターとして利用することができます。

車台は、ニーズに合わせてカスタマイズが可能となっており、さまざまな電動トラクターを市場に出しています。エレクトリックPTO、エレクトリカルトップリンク、追跡バーションなど、幅広いオプションも利用可能です。

今後の計画

Sabi Agri社は2018年9月に資金調達を行い、生産工場の設立と、マーケティング活動を開始しました。現在は各農家のそれぞれの作業方法に合ったカスタマイズ可能なトラクターを提供しており、今後は作業やパフォーマンスの監視までサポートするようなサービスを提供する予定です。

コメント

環境問題への関心の高まりから、自動車業界では世界的に電気自動車への移行の流れが出来つつあります。農業機器においても、ALPOのようなガソリンを利用しない電気駆動の商品がさらに増えてくることが期待されます。

参考サイト