会社基本情報
| 会社名 | Pairwise |
|---|---|
| 本社所在地 | アメリカ ノースカロライナ州ダーラム |
| 設立 | 2017年 |
| CEO | Tom Adams |
| 事業内容 | CRISPR遺伝子編集技術による農産物の品種改良 |
| 累計資金調達額 | 1億5,500万ドル |
| 公式サイト | https://www.pairwise.com/ |
事業概要
Pairwiseは、CRISPR遺伝子編集技術を用いて農産物の品種改良を行うバイオテック企業です。北米で初めてCRISPR編集による農産物を商業化した企業であり、遺伝子編集マスタードグリーン「Conscious Greens」を消費者向けに販売しています。

さらに、世界初のCRISPR編集ブラックベリーも開発しています。コンパクトな樹形で収量が50%以上向上する可能性があり、従来品種と比べて栽培効率の大幅な改善が期待されています。独自のCRISPR編集プラットフォーム「Fulcrum」を種苗メーカーや研究機関にライセンス供与しています。
課題と解決策
従来の品種改良の限界
伝統的な交配育種は、目的の形質を獲得するまでに10年以上かかることが一般的です。また、交配では関連する遺伝子が一括で導入されるため、目的の形質と同時に望ましくない形質まで持ち込まれるリスクがあります。消費者の嗜好変化や気候変動への対応スピードが品種改良の速度を上回っている状況です。
CRISPR編集による精密な形質改変
Pairwiseはゲノム編集技術を活用し、特定の遺伝子のみを正確に改変することで、短期間での品種改良を実現しています。例えば、マスタードグリーンの辛味成分を抑制する遺伝子を編集し、サラダとしてそのまま食べられるマイルドな風味を実現しました。
遺伝子組み換え(GMO)とは異なり、外来遺伝子を導入しないゲノム編集は規制上の扱いも異なります。USDAはCRISPR編集作物の多くをGMO規制の対象外としており、市場投入までの期間が大幅に短縮されます。
ビジネスモデル
Pairwiseは2つの収益源を持っています。1つ目は自社ブランド「Conscious Greens」による消費者向け農産物の直接販売です。2つ目は独自開発したCRISPR編集プラットフォーム「Fulcrum」のライセンス供与です。
Fulcrumは、オランダのEnza Zaden(種苗大手)、IRRI(国際稲研究所)、Bayer(バイエル)にライセンスされており、各社が自社の育種プログラムにこの技術を組み込んでいます。MIT Technology Review「2025 Climate Tech Companies to Watch」にも選出されました。
今後の計画
ブラックベリーの商業化に向けた取り組みを進めており、コンパクトな樹形による栽培効率の向上と収穫作業の省力化を両立する品種の市場投入を目指しています。
Fulcrumプラットフォームのライセンス先の拡大も重要な成長戦略です。穀物、果樹、野菜と幅広い作物でのCRISPR編集を可能にし、品種改良のインフラ企業としての地位を確立する方針です。
コメント
Pairwiseは、CRISPR技術を実際に商業化した数少ない企業として注目に値します。研究段階に留まるCRISPR応用が多い中、すでに店頭で消費者が購入できる農産物を生み出している実行力は際立っています。
農業における先端技術の活用事例については「注目の最新農法9選」でも紹介しています。また、植物工場のような環境制御型農業との組み合わせにも大きな可能性があり、「植物工場とは」もあわせてご参照ください。
ライセンスモデルの展開が本格化すれば、Pairwiseは農業バイオテクノロジー分野の重要なプラットフォーマーとなる可能性があります。