野菜が野菜に生まれ変わる。廃棄野菜から肥料を作る California Safe Soil の事業と製品を紹介

スーパーマーケットでは日々大量の廃棄野菜が発生していますが、この廃棄野菜を肥料に加工することでロスを減らそうと試みる企業がカリフォルニア州に存在します。廃棄野菜から作られた肥料「H2H」は、作物や土壌微生物の栄養となり、規制対象となる化学物質を含みません。野菜を野菜に生まれ変わらせるサイクルの仕組みと、H2Hの効果を見てみましょう。

California Safe Soil 基本情報

住所:1030 Riverside Parkway, Suite #135, W. Sacramento, CA, 95605, US

CEO:Dan Morash

設立年:2012年

従業員数:11〜50人

廃棄野菜を液肥に加工

スーパーマーケットから野菜を回収

California Safe Soil (以下「CSS」)の肥料製造は、スーパーマーケットで発生した廃棄野菜の回収から始まります。スーパーマーケットにとっては廃棄コストを削減できるメリットがあります。

回収された野菜は26μmの微細な粉末に加工され、ふるいにかけられ、成分が安定するような条件で液肥になります。このようにして作られるのがCSSの主力製品 Harvest to Harvest (H2H)です。

スーパーマーケットとの提携

廃棄野菜のリサイクル率を高めるため、CSSはカリフォルニア州のスーパーマーケットと提携を組んでいます。提携先のスーパーマーケットでは、発生した廃棄野菜をコンテナに入れ、それをCSSが回収して肥料の原料とします。

主力製品「H2H」の使い方と効果

灌漑水に混ぜて施用

H2Hは通常の液肥と同じように、灌漑水に混ぜて使えます。CSSでは、H2Hの原液と水を4:1の割合で混ぜることを推奨しています。

土壌中の微生物を活性化し、収量向上

H2Hは作物の生育に必要な養分を含んでいるだけでなく、土壌中の微生物相を豊かにするアミノ酸や有機酸も含んでいます。このため、土壌中で微生物による有機物分解や作物の根との共生関係の確立が進み、収量が増加すると考えられます。

圃場試験の結果では、葉物野菜と加工用トマトで10%以上、イチゴで30%以上の収量増加が確認されました。

廃棄野菜が、有機野菜となって帰ってくる

H2Hで栽培した野菜は有機野菜として販売することができます(国や州により基準が異なります)。廃棄された野菜が無駄にならず肥料となり、有機野菜に生まれ変わって再びスーパーマーケットへ帰ってくるという、ストーリー性を消費者へPRできそうです。

野菜の回収はカリフォルニア州のみ

CSSの工場はサクラメントにあるため、現在は同じカリフォルニア州のスーパーマーケットのみから廃棄野菜を受け付けています。H2Hは肥料として優秀ですが、あえてカリフォルニアから日本へ取り寄せるのは費用対効果の面であまり現実的でないでしょう。

しかし廃棄食品を肥料に加工する取り組み自体は日本でも広く行われており、近い将来H2Hの類似品が普及する可能性もあります。廃棄野菜から作った液肥に関心があり、少量から試してみたいという方は、CSSホームページの問合せフォームから連絡をとってみてはいかがでしょうか。

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