ドローンによる画像収集と人工知能技術で、果樹園の個々の木の状態を判別するSeeTree社の精密農業サービスについて解説

事業概要

SeeTree社は2017年にイスラエルで設立された農業スタートアップ企業です。ドローンと人工知能の技術によって果樹の健康と生産性を管理し最適化を図ることができる幅広い精密農業サービスを提供しています。元諜報員と連続起業家によって設立され、イスラエルのテルアビブの他に、アメリカのカリフォルニアとブラジルにも拠点を置いており、人工知能と農学の専門家ら約40人の従業員がいます。

これまでドローンを利用した精密農業は果樹などの永久作物に対してうまく機能しませんでしたが、SeeTree社はドローンから収集した画像とその画像を分析する機械学習アルゴリズムに基づき、木ごとの詳細なデータを提供することでこの課題に対処しています。

Youtube動画:https://youtu.be/dRHy7js3sTA

伝統的に農家はサンプルをベースとした肉眼からの直感で大規模な農園ビジネスの意思決定を行ってきましたが、SeeTreeを利用することで、農家は正確かつ一貫したデータに基づいて現場での行動を決め、結果に結びつけることができます。

ビジネスモデル:個々の木を診断するサブスクリプションサービス

SeeTree社は、個々の樹木を認識し健康状態を診断するサブスクリプションサービスを提供しています。初めに空撮によってAIを使用しながら問題を抱える木や大きな問題を見つけ出します。

ドローンが果樹1本1本の画像を収集します

その後、問題の根本的な原因を見つけるため、木ごとに健康状態を記録します。その記録上では個々の木で異なるスコアが与えられます。

機械学習を用いて木の状態を推測します
果樹1本1本を把握します

樹木ごとの状態を把握することで、将来の果実収穫量を予測でき、事前に将来の利益状況を把握することができます

一眼で圃場全体がどうなっているのか把握できます

SeeTree社の当サービスは、口コミだけでカリフォルニア全土の新規顧客を獲得しています。

テクノロジー:ドローンと機械学習アルゴリズムで、木ごとの詳細な情報を提供する

SeeTree社は、ドローンと人工知能の技術によって、空中、地上、地下からの個々の木や樹木群についての情報を農家に提供することを目的としています。データ抽出はドローンから取得した高解像度の多次元センシング画像を使用して実行されます。地上センサーと地上担当者と連携し、さらなる分析のためのサンプルを収集します。

ドローンによって収集されたデータを使用して、農家は例えば果実のなりにくい木を植え替えたり、果実の大きさと発達段階に基づいて選択的に収穫したりと、今後の果樹の栽培について意思決定を行うことができます。そして画像データの全てを灌漑や施肥インフラと関連づけることで、農家の取組に対するROIを算出することも可能です。

SeeTree社は膨大なデータを報告するのではなく、その情報で何をすべきかを明確に農家に伝えます。そのため農家はデータ収集や分析、データの理解を行う面倒はありません

今後の計画

SeeTree社は2019年1月に1500万ドルの資金調達を完了しており、柑橘類果樹園を対象とした技術の開発に力を入れています。最終的には、ナッツなど他種類の作物に対象を拡大し、現在のカリフォルニアとブラジルの他にも拠点を増やす方針です。

コメント

果樹に対するドローンを使った精密農業が困難とされる中、SeeTree社はその測定技術によって成功を収めてきました。空中という大きな視点からデータを集め、個々の木の状態まで把握するSeeTree社のサービスは、今後世界各国へ更に拡大していくことが期待されます。

参考サイト