Kokomodo:細胞農業でカカオを培養生産するイスラエル発スタートアップ、Cargillとも提携

会社基本情報

  • 会社名:Kokomodo Ltd.(現在はPluri Inc.の子会社)
  • 所在地:イスラエル・テルアビブ
  • 設立:2024年(The Kitchen FoodTech HubとPlantae Bioscienceのジョイントベンチャーとして)
  • 創業者:Tal Govrin
  • 親会社:Pluri Inc.(NASDAQ上場、2025年に71%の株式を450万ドルで取得)
  • 主要パートナー:Cargill

Kokomodoは、イスラエルのフードテックエコシステムから生まれた培養カカオのスタートアップです。The Kitchen FoodTech Hub(Strauss Groupのフードテックインキュベーター)とPlantae Bioscienceのジョイントベンチャーとして設立されました。

事業概要

Kokomodoは、細胞農業(セルラーアグリカルチャー)技術を使って、カカオを培養生産する企業です。中南米の高品質カカオ豆から採取した細胞を使い、先進的なバイオリアクターで培養することで、土地や気候、熱帯地域に依存しない「100%本物のカカオ」を生産します。

同社の技術の特徴は以下の通りです。

  • 細胞培養技術:カカオ豆の植物細胞を培養してカカオ成分を生産
  • 気候非依存:熱帯地域の気候変動や病害に左右されない安定供給
  • 年間生産:季節を問わず通年生産が可能
  • ラボスケール完了:研究室規模での生産は完了済み

どういう課題をどう解決しているか

カカオ産業が抱える課題

カカオは世界で最も重要な農産物の一つですが、深刻な危機に直面しています。カカオ生産は赤道付近の限られた熱帯地域に集中しており、気候変動、病害(黒莢病やスウォーレンシュートウイルスなど)、森林伐採による環境破壊が供給を脅かしています。2024年にはカカオ先物価格が記録的な高騰を見せ、チョコレート業界全体に大きな影響を与えました。

Kokomodoのアプローチ

Kokomodoは、カカオ生産を「農場からバイオリアクターへ」移行させるアプローチを採用しています。植物細胞を培養することで、熱帯の農場に依存せずにカカオ成分を生産できます。これにより、気候変動リスクの軽減、森林伐採の回避、サプライチェーンの安定化を同時に実現します。

世界最大の穀物・食品商社であるCargillが同社とパートナーシップを締結し、セルベースのチョコレート原料を実際の食品アプリケーションで評価する共同プロジェクトを進めています。これは、培養カカオの商業的な実現可能性が大手からも認められている証拠です。

ビジネスモデル

Kokomodoは現在、技術開発と商業化準備の段階にあります。

  • 2024年:The Kitchen FoodTech Hubとイスラエル・イノベーション庁から75万ドルの投資を受けてステルスから表舞台に
  • 2025年:Pluri Inc.(NASDAQ: PLUR)が71%の株式を450万ドルで取得し、戦略的買収を完了

Pluri社は細胞農業プラットフォーム技術を持つ企業で、Kokomodoの培養カカオ技術のスケールアップに必要なバイオリアクター技術を提供しています。この買収により、Kokomodoはラボスケールから商業スケールへの移行を加速する体制を整えました。

今後の計画

  • Pluri社のバイオリアクター技術を活用した生産のスケールアップ
  • Cargillとのパートナーシップによる商業アプリケーションの開発
  • 規制当局の承認取得に向けた準備

コメント

Kokomodoは農業テクノロジーの中でも最先端の「セルラーアグリカルチャー(細胞農業)」分野に位置します。培養肉が注目を集める中、培養カカオは比較的新しいカテゴリですが、2024年のカカオ価格高騰を受けて市場の関心が急速に高まっています。

Cargillという世界的な食品商社とのパートナーシップは、技術の商業的な実現可能性に対する業界の期待を示しています。また、NASDAQ上場企業であるPluriによる買収は、スケールアップに必要な資金力とバイオリアクター技術の両方を獲得したことを意味します。

一方で、培養農産物は規制承認のハードルが高く、消費者の受容性も未知数です。また、ラボスケールから商業スケールへのスケールアップは培養食品分野全体の課題でもあります。しかし、気候変動によるカカオ供給の不安定化は構造的な問題であり、長期的には培養カカオの需要が高まる可能性は十分にあるでしょう。

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