雑草検出、栄養診断、線虫発見、収量予測を1つのカメラで実現し収量アップ:Gayama

今回はGamaya社による、画像処理技術を用いた、農地の分析デバイスを紹介します。新たに開発された、ハイパースペクトルカメラは、植物の反射光をとらえることで、病気や栄養不足、その他、作物に発生している問題点を迅速に検出でき、生産効率の向上に寄与する可能性があります。

Gayama社の概要

Gayama社は、スイス・Vaudにおいて、2014年に設立された企業です。Dragos Constantin氏、Igor Ivanov氏、Yosef Akhtman氏により設立され、現在では数十名規模となっている新興企業です。得られた画像を、AI技術により解析することで、生産効率の向上やリスク管理能力の向上を目指しています(1)。

Gamaya社の事業と慣行法との比較

(慣行法)

農作物の栽培では、土づくりから収穫まで多岐にわたる作業があります。また、これらに対しては、農家自身の経験や勘がとても重要です。

雑草に対する選択的除草剤の散布、病害虫に対しての殺菌剤・殺虫剤の散布、植物の栄養条件の判断と、必要に応じた追肥など、どの点においても、農家自身の長年の経験や勘が頼りです。しかしながら、現在の農業従事者の減少と、1人当たりの耕作面積の増大により、さらなる軽労化技術の導入が求められています。

(Gamaya社の事業と、その優位点)

Gayama社の新技術は、農家の負担軽減につながる可能性があります。

この新技術では、Gayama社が特許を持っている新たな、ハイパースペクトルカメラ(光の波長ごとに撮影を行うことができるカメラのこと)を用い、植物から反射される光を解析し、植物の病気や栄養条件を解析することを可能としました。

Gayamaのカメラ(https://medium.com/remote-sensing-in-agriculture/gamaya-frequently-asked-questions-faq-e537dcbc537f
ドローンや固定翼のドローンで得られた画像を機械学習で分析します。(https://www.youtube.com/watch?v=h8lRU5a_E54

実際に、サトウキビ(2)やダイズ(3)において、実用段階にあり、ダイズでは、

  • 雑草検出(自動的に雑草を検出し、雑草による減収を防ぐ)
  • 線虫害(得られた画像から、農地における線虫害多発エリアを判断、減収を防ぐ)
  • 植物の栄養診断(農地内で栄養欠乏が発生しているエリアを正確に特定するとともに、過剰施肥も防ぐ)
  • 収量予想(収穫45日前までに収量を予想し、出荷価格の交渉等早い段階から行うことができる)

の4点が特徴として挙げられており(3)、農家の軽労化、増収および施肥コストの削減につながると考えられます。

また、Gayama社はトラクター大手であるマヒンドラ&マヒンドラ社より出資・提携を受けており、今後の精密農業やデジタル農業技術など、次世代農業技術の開発・展開が、さらに促進されることが期待されます(4)。

コメント

昨今の農業従事者減少に伴い、農業の省力化技術の開発は、需要のある分野です。Gayama社の技術は、省力化のみならず、農作物を栽培する上で減収の要因となる、雑草・病害虫・植物の健康状況を適宜判断を行うことが可能になります。このことから、収量の安定や増加にも寄与することが可能となり、農家の収入向上にもつながると考えられます。このようなことから、すでに実用化に至っている、サトウキビやダイズ以外の作物にも導入されることを期待したい技術です。

参考サイト