【工事不要】コンパクトかつスタイリッシュな機材でIoTを身近に!日本発の圃場モニタリングデバイス Kakaxi を紹介します。

農業の担い手減少や高齢化に伴い、自動で圃場のデータを収集するIoT機器への需要が高まると予想されています。そこで農業ベンチャー Kakaxi が提供するのは、気象センサーと画像解析機能を搭載した、コンパクトなモニタリングデバイス。各地で実証試験が進められており、活躍が期待できます。

Kakaxi 基本情報

住所:440 N Wolfe Rd, W-105, Sunnyvale, CA 94085

CEO:大塚泰造

設立:2014年

従業員数:2〜10人

日本発の圃場モニタリングデバイス

Kakaxi は遠隔地の圃場を管理するモニタリングデバイス「Kakaxi」を提供する企業です。日本で発祥した農業ベンチャーであり、社名や商品名は「かかし」に由来します。

圃場を遠隔モニタリング

Kakaxi は圃場設置型のデバイスであり、太陽光発電パネルと画像解析AI、内蔵通信モジュールを搭載しています。カメラやセンサーで取得したデータは自動的にクラウドへ保存されるため、遠く離れた圃場の様子を、その場にいるかのように観察できます。これにより、毎回圃場まで足を運ぶ必要がなくなるので、圃場管理コストの大幅な削減が可能です。

機能とデザインに期待

ビッグデータ活用のノウハウが活かされるため、IT企業の日本ユニシスが2018年に Kakaxi への出資を発表しました。IT企業との提携により、データバンクの充実や解析機能の向上が期待できます。

また、機能だけでなくデザインも評価されています。作業者が親しみを感じられるように白い円筒形のデザインを採用しており、2017年のグッドデザイン賞に選出されました。

Kakaxi の機能

【観測】圃場の気象データを蓄積

Kakaxi には気象センサーが搭載されており、以下のデータを観測して自動的にクラウドに保存します。

  • 気温
  • 湿度
  • 日射量
  • 雨量

観測値の抜け・漏れはAIが推定して埋めてくれるため、連続的なデータが収集できます。

【画像解析】果実の収穫適期をAIが判定

Kakaxi には高解像度カメラが搭載されており、圃場の定点観察が可能です。さらに、撮影した画像を解析し、果実の大きさや色をもとにAIが熟し具合を判定してくれます。収穫適期であるとAIが判断した場合、管理者へアラートが送信されるため、時期を逃すことなく収穫できます。観察の手間を省きつつ、収穫適期を逃すことによる損失を防げるでしょう。

【トレーサビリティ】生産情報を消費者に届ける

Kakaxi は作物の播種から収穫までを見守り続けるため、栽培期間中の気象や作業内容、病害虫の発生などの履歴が蓄積されてゆきます。これらのデータは、出荷する作物と紐づけることが可能であり、トレーサビリティの保証に使えます。

Kakaxi の導入方法

月額9,800円で機材をリース

Kakaxi 導入に必要な機材は月額9,800円ですべてリースされるので、高額な初期投資をせずに済みます。

精密機械を屋外に設置するとき、心配なのは風雨や野生動物の接触による故障。そこでKakaxi のリース契約では、故障した場合はすぐに新しいデバイスを送付してくれます。ユーザー側が修理を負担しなくて良いので、長期間継続する場合もランニングコストは良いと考えられます。

重量590gで簡単設置

Kakaxi 本体は白い円筒形をしており、寸法と重量は以下の通りです。

  • 直径 87mm
  • 高さ 280mm
  • 重量 590g

片手で持ち運べる程度であり、高齢者が手作業で設置することも可能です。電源は小型の太陽光発電パネルを使用し、本体とUSB接続するだけで取り付けられます。

3G通信だけで遠隔モニタリング

Kakaxi には内蔵通信モジュールが搭載されており、SIMカードも入った状態で届きます。なお、通信事業者は日本ではNTTドコモ、アメリカではAT&Tです。

3G通信できる場所であればどこでもデータをクラウドに送信できるため、LAN ケーブルを引いたり Wi-Fi を新設したりといった工事は不要です。圃場に設置したその日から、速やかに観測を始められます。

目的別導入事例

Kakaxi は世界各地で導入が進められています。目的ごとに事例を紹介します。

【圃場管理】川上村での露地栽培に導入

レタスの一大産地である長野県南佐久郡川上村では、圃場管理に Kakaxi を導入する実証試験を行っています。Kakaxi の強みである画像解析機能を活かして、作物の収穫適期を判定したり、病害虫の兆候を素早く発見したりすることを可能にしました。

圃場を人が見て回る作業を Kakaxi で代替することで、農業の担い手減少への備えになると期待されています。

【栽培試験】沖縄でのカカオ栽培試験のデータ収集

沖縄県国頭郡大宜味村に本社を構える株式会社ローカルランドスケープは、沖縄県でのカカオ栽培導入に向けた研究を行っています。低温に弱いカカオを育てるため、温室に Kakaxi を設置して気温・湿度・照度などのデータを継続的に取得しています。

Kakaxi が収集したデータをもとに、栽培環境とカカオの品質の相関関係が明らかになります。そこから得られた知見は、カカオの栽培環境を最適化して沖縄県の新たな産業とすることに活かされてゆくでしょう。

【情報開示】コーヒー農園の情報を消費者に届ける

コネクテッド・コーヒー・キャンペーンは、コスタリカとコロンビアでコーヒー栽培を行っている企業です。生産したコーヒーは高級志向・環境配慮志向の消費者をターゲットとしているため、どのような栽培環境でコーヒーが生産されたのか情報開示することに努めています。

そこで同社はコーヒー農場に Kakaxi を設置して、栽培の様子をホームページ「A window to coffee farms」で公開しています。山間部で育つコーヒーの木や、農場で作業をする人々の表情が、活き活きと映し出されています。

【施設監視】穀物貯蔵施設の遠隔監視

オーストラリアのグレインコープ社は、自社の穀物貯蔵施設の遠隔監視に Kakaxi を利用しています。監視カメラとしての機能を持ち、穀物の保存環境に影響する気温や湿度をモニタリングできるため、防犯・品質管理の両面で役立っています。

Kakaxi の活用場面は農業だけではなく、倉庫や商業施設の管理にも広がってゆくでしょう。

まとめ

Kakaxi は気象センサーとカメラを搭載した、小型の圃場モニタリングデバイスです。気象データを収集したり、画像解析で作物の生育を観察したりする能力に優れ、トレーサビリティの確保にも活用されています。Kakaxi は世界各地で実証試験が行われており、取り扱いやすさと応用範囲の広さから、活躍の場が広がってゆくと予想されます。

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