果実を自動でカウントし収穫量を高い精度で予測するDynium Robot社のCropScoutサービスについて解説

事業概要

Dynium Robot社は、農業用の自律型トラクターおよび、作物分析システムを開発・製造する農業テクノロジー起業です。2016年にイギリスのオックスフォードを拠点に設立されました。従業員数は11〜50人と推定されます。

Dynium Robot社は、自律型ロボットを利用し、農家が販売可能な果物量を簡単かつ正確に見積もることのできるCropScoutサービスを提供しています。また、病気を検出し、灌漑を監視することによって、果樹園の生産性を向上させます。

動画:https://vimeo.com/432168185

農家にとって、収穫後に販売できる果物量を正確に予測することは困難とされてきました。Dynium Robot社のCropScoutサービスは、この課題を解決します。農家のコストとリスクを軽減するとともに、収穫量を増やし、果物生産の持続可能性を向上させます。

果物の収穫量を正確に予測することで、販売先へ提供する製品の一貫性と供給量についての信頼を保つことができます。また、貯蔵量や物流、労働要件などすべてが果物量の見積もりによって決まるため、不要なコストを削減し、リスクを軽減することができます。

ビジネスモデル:サブスクリプション型の生産予測データ提供サービス

Dynium Robot社は、現在アメリカ、EU、ニュージーランドでサブスクリプション型のCropScoutサービスを提供しています。自律型ロボットによって果樹園の果物数を数え、全ての作物について高解像度のデータを収集します。

具体的には、推定の果物量と、梱包ハウス容量に合わせた収穫スケジュール、価格と供給を最適化するための生産見積もり、収穫された果物量(残りの果物量)、剪定と間伐に関する分析といった生産予測データを農家に提供します。

テクノロジー

Dynium Robot社は、最新のコンピュータービジョンとLiDARセンサーを、衝突回避システムと共に利用することで、周囲を分析し、作物データに正確にジオタグをつけて、農家が操作することなく完全に自動でトラクターを動作できる自律型の作物分析システムを開発しました。

自動運転技術を基に構築されたナビゲーションソフトウェアは、独自のアルゴリズムを使用して、カメラとLiDARセンサーによって木や列を検出します。農場の全ての果物を生産する木や茂みをマッピングして調査し、各木の特徴をまとめたデジタル記録を3Dマップ内に作成します。

動画の中からいくつか画像を紹介します。

無人の車両が広大な果樹園を走ります
荷台にはセンサーがあり走りながら情報を収集します

今後の計画

Dynium Robot社は今後、CropScoutサービスを世界中に展開していく予定です。

コメント

農業用ロボット市場は、2020年の74億ドルから、2025年には206億ドルに成長すると予測されています。Dynium Robot社の自律型ロボットを利用したデジタル果樹園技術は、今後さらに需要が高まることが期待されます。

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